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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez
モデル/品番 Model/No.
001_020_arcangel_03_203
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2003年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。

少年時代は映画俳優志望で実際に数本の映画にも出演、13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターの演奏も始めます。相当な腕前だった彼は兵役を終えた頃にはプロギタリストとしての道を模索するようになりますが、1954年、当時サントス・エルナンデス(1874~1943)の後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得てその工房に足繁く通うようになると、この名工のすすめに応じて弟子入りします。アルカンヘルは師バルベロの作るギターに強い興味を抱き、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間に職人として成長してゆきます。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、唯一の弟子であったアルカンヘルはバルベロの残された注文分のギターをすべて製作した後、1957年に師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに自身の工房を設立。この開始時からアルカンヘルの職人としての充実度はすさまじいほどで、造作と音響の両方において若さゆえの甘さなどみじんもなく、透徹した精神が隅々まで行き渡った名品を作り出しています。そしてそれはその後50年に渡り一切弛緩することなく続いてゆくことになります。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました。

自身のラベルによるものはクラシック、フラメンコそれぞれ一貫してワンモデルのみを製作。それ以外には工房品(「Para Casa Arcangel Fernandez」ラベル)としてバルベロ・イーホやマヌエル・カセレスらが製作を担当して出荷もしています。この二人はそれぞれ自身のオリジナルラベルでの製作も行っていますが、アルカンヘル工房品として出荷されたものも完全手工品として(ラベルには製作者の名前が明記されています)極めて高いクオリティのもので評価も高く、現在中古市場でも人気のアイテムとなっています。

アルカンヘルの造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 2003年製作 クラシックモデルUsed の入荷です。名工アルカンヘルの達意のクラシック、マドリッド派の純粋形態を21世紀の現在に具現化したような一本で、まさに逸品です。いかにも彼らしい硬質な、強い粘りを持った発音で、倍音を抑えた音像は一つ一つが洗練されており、凛としてストイックな佇まい。旋律になると全く自然なしなやかさとうねりを生み出し、音は楽想に応じて(あくまでも控えめながら)可愛らしさからデモーニッシュなものまでも表出する、そのクラシカルな表現力が素晴らしい。スパニッシュギターらしい重厚で豊かな音量を備えていますが、「箱がよく鳴っている」というよりも、何か大きなものがそこに存在してるかのようなアルカンヘルの特徴的な音圧感。それはモダンギター的な、小さなものを増幅しているような(どこか無理やりな感がなくもない)音量のあり方とは全く異なる極めて有機的なもので、ギターという楽器の自然な性質として現れた音圧の高さであり、その迫力はやはり比類がありません。音響バランスもすぐれていて、重心の低いしっかりとした低音から繊細かつ力強い高音までの自然なつながり。それでいて各弦はそれぞれに明確なアイデンティティを持っており、ポリフォニックな曲においては各声部の性格をしっかりと弾き分けることができます。しばしば引き合いに出される「小さなオーケストラ」のたとえを参照するなら、ここではむしろ弦楽四重奏的な、より緊密な音響が立ち現れてきます。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は6本が、センターに配置された1本を境として低音側に2本、高音側に3本配置され、ボトム部でそれらの先端を受け止めるようにハの字型のクロージングバーを設置、駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに補強プレートが貼られている、アルカンヘルのクラッシックモデルの定式の配置となっています(これらのバーや力木はそれぞれ通常のギターよりも太く高く、強固に作られています)。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

コンディションはとても良好で、表面板サウンドホールまわりにわずかに微細な弾き傷、ブリッジ下1弦部分に弦とび補修あとがあるほかはわずかに衣服の摩擦があるのみのとなっています。ネック、フレット等演奏性に関わる部分も問題ございません。ネックは普通の厚みの
Dシェイプ。弦高は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.5~2.0mmの余剰がありますのでさらに低く設定することが可能です。糸巻はスペインの老舗ブランドFustero製を装着しており、こちらも現状で機能に問題ありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入フラメンコ オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez
モデル/品番 Model/No. フラメンコ ブランカ No.71
001_020_arcangel_1_03_159_01
弦長 Scale Length 658mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1959年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス単板 Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.0mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。少年時代には映画俳優になることを夢見て、実際に数本の映画にも出演したほど。しかし13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターを弾くようになると忽ち演奏の腕前を上げていった彼は、兵役を終えたのちプロギタリストのとしての道を模索します。そのような折の1954年、当時サントス・エルナンデスの後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得て、その工房に足繁く通うようになります。この名工にギター製作をすすめられ、やがて唯一の弟子として工房に入ることになり、アルカンヘルはギタリストと製作とを両立する生活を当初はしていました。しかし自身も家具製作で培った高い木工技術の持ち主であり同時に優れたギタリストであるアルカンヘルは、師の作るギターの音そして工法とに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間にバルベロの片腕となるまでに成長します。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、アルカンヘルはバルベロの残された注文分をすべて製作した後、師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに1957年自身の工房を立ち上げます。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に製作を続けていました。

造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス製作、フラメンコブランカ 1959年 No.71 Usedの入荷です。この製作家のフラメンコモデルについて語るとき、やはりサントス・エルナンデスから師であるマルセロ・バルベロ1世、そして自身へと繋がる系譜が自然に思い起こされます。この三人の名工によって作られたそれぞれのギターが持つストイックなまでの気品と力強さ、妙なる表情の変化と深みはスペインギターのエッセンスを体現しており、21世紀に至るまでアルカンヘルがそれを継承したことの功績は計り知れないものがあります。本器1959年製はアルカンヘルが独立してわずか2年目の作ですが、フラメンコとしての機能性を完璧と言えるレベルで備えており、多くを含みながら語り過ぎず悠然とした響き、といった彼の揺るぎのない個性が深く刻印された逸品となっています。

アルカンヘルにおける音圧の高さは独特なもので、増幅された音量というよりは木のごく自然な性質としての響きの大きさをそのまま音に純化したようなマッシヴな質量感があり、何か大きなものがそこに存在してるかのような異様な迫力があります(これは彼のクラシックモデルにも同様に言えます)。そしてその音色もまた極度に洗練され、ストイックなまでに渋いのですが表情の変化は実は繊細かつ多彩。発音における反応性、サスティーン、ダイナミズムも申し分なく、このジャンル特有の身振り(リズムの強さと速さ、旋律のうねりなど)に十全に対応する機能性の高さ、その絶妙の着地点はさすがに自身すぐれたフラメンコギタリストであった彼ならでは。音像はシャープ過ぎず、むしろ現代のフラメンコギターよりもやや角の取れた感触でこれがまた耳に心地よく魅力的。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして左右対称5本のそれぞれが太く厚めに加工された扇状力木が中央に寄り添うように(ブリッジプレートの幅に収まるように)配置され、それらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄いパッチ板が貼られているという全体の配置。レゾナンスはF~F#に設定されています。2本のクロージングバーの中央角に変化はありますが、これはアルカンヘルがフラメンコモデルで変わらず採用し続けた基本構造となっています。

全面セラックのよる再塗装が施されています(出荷時のオリジナル仕様もセラック塗装)。表面板は指板両脇歴に各一か所とサウンドホールからブリッジプレートにかけてに一か所(内側よりパッチ補修あり、表側はゴルペ板の下になります)の割れ補修歴があります。また裏板センターよりやや高音側寄りのボトム部分に割れ補修歴があります。ブリッジプレート下1弦位置に弦とび補修あと、その他全体に細かな弾きキズ、スクラッチ痕などありますが年代考慮すると良好と言える状態。板は経年による歪みなどがほとんどなく、ネックは真っ直ぐで、フレットも適正値を維持しています。ネック形状はフラットな加工がされた薄めのDシェイプ。弦高値は2.0/3.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰1.0~1.5mmとなっています。糸巻はスペインの老舗ブランド フステーロを装着しています。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero Hijo
モデル/品番 Model/No. オリジナルモデル Original model
001_021_barberohijo_03_195
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1995年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。


〔楽器情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ 1995年製作のオリジナルモデル Usedの入荷です。アルカンヘル・フェルナンデス工房品として出荷していたものとは別に、彼自身のラベル、父バルベロ1世と師アルカンヘルのデザインを踏襲したヘッドシェイプによるフラッグシップモデルとして、1990年代半ばより出荷され始めたもの。

基本的にアルカンヘル工房品を構造的な部分は踏襲していますが、特別に選りすぐられた材(アルカンヘルは数あるスペイン工房の中でも特にハイクオリティな材のストックで知られ、本器でも横裏板ハカランダ材の美しい柾目が特徴的)、そしてなによりもバルベロ・イーホ本人の作家としての充実度には瞠目すべきものがあり、結果このオリジナルモデルをマドリッドでも屈指の名品とするに至っています。

「楽音」としてのニュアンスを自然にそして濃密に備えた音。彼らしい心地よい粘りをともなった発音で、タッチとシンクロするような反応とともに瞬間的に充実した音像が現れ、その密度を保ちながら綺麗に終止してゆきます。倍音を見事にコントロールされた単音は凛として無駄がなく、その連なりは旋律に自然なうねりと有機性を生み出し、和音では各音のクリアネスを保ちながら豊かに拡がります。しっかりとした重心感覚の低音からぐっと引き締まる高音までの音響バランスも見事。そのバランスの中で各弦がそれぞれしっかりとしたアイデンティティを持っているので、曲の中で各旋律が自然にパースペクティヴを生み出し充実したポリフォニーを形成してゆきます。

音響の機能的な洗練とともに、彼自身の個性ともいうべき、どこか人間的で温かみがあり、常に紳士的な音のたたずまいも本当に魅力的。音像はクリアで芯がありながら絶妙に柔らかな触感があり、なんとも耳に心地よい。個性そして機能性とバランスその全体のクオリティにおいてまさしくクラシカルな完成度を備えた1本。

表面板内部構造はアルカンヘルクラシックモデルの定番的なもので、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は計6本がセンターに配された1本を境として低音側に2本、高音側に3本が、ほぼ駒板の横幅に収まるように寄り添って配置され、ボトム部にはこれらの力木の先端を受け止めるように2本のハの字型に配されたクロージングバーという構造。指板低音側の位置には木材にフレキシビリティを確保するため意図的にスリットが入れてあります(これはアルカンヘル工房の標準的な処置)。レゾナンスはG~G#の間に設定されています。

全体に軽微な弾きキズ、衣服等の摩擦あと、打痕等はありますが年代考慮すると良好と言える状態です。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。ネックは真直ぐを維持しており、フレットは1~7フレットでやや摩耗見られますが適正値の範囲。ネック形状は薄めのDシェイプでフラットな加工がされています。弦高は2.7/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)で弾きやすい設定になっています。サドル余剰は1.5~2.7mmあります。糸巻はスペイン製Fusteroを装着しておりこちらも現時点で機能的に良好です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. コンセルヴァトワール Conservatoire
001_fischerP_03_194
弦長 Scale Length 640mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1994年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 4.0 mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。

〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作 1994年製 Conservatoire(コンセルヴァトワール)モデル 640㎜のショートスケール仕様の Usedです。 Virtuosoと並んでこのブランドのフラッグシップモデルとなっているフィッシャー的個性に溢れた一本。注目すべきはその表面板内部構造で、彼が ’TAUT’ システムと名付けた格子状の力木配置。表面板上部はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本で計3本のハーモックバーで通常のスパニッシュスタイルですが、表面板下部は計4本のトランスヴァースバーが等間隔に設置され(うち一本はちょうどブリッジサドルの位置に設置されている)これらと直角に交差するように11本の長短の力木が板の木目に沿って等間隔に隅々にまで設置されており、精緻な格子状構造を形成しています。これらの力木とバーの高さと大きさは高音側と低音側とで同じサイズで加工されており、全体が均質な振動特性を得られるような工夫がされています。レゾナンスはAの上に設定されています。薄い表面板と格子状力木構造との組み合わせはオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンが開発したギターが有名ですが、スモールマンは表面板の木目に対し45度の角度で力木を交差させることで、菱形状の格子構造を表面板に行き渡らせるように作られています。

低音から高音までの全ての音が均質に、同じフェーズで響いているような整ったバランス感覚があり、どの音も互いに自然に繋がるような(ギターとしてはむしろ特異と言える)音響設計が試みられています。そしてそのフラットな音響の中で、一つ一つの音には表情の意外なまでの深さと多彩さがあり、また音楽的な身振り(スラ―、スタッカート、ヴィブラート、そして速い旋律等)における反応性も非常なものがあります。

割れなどの大きな修理履歴はございません。表面板はサウンドホール周辺やブリッジ下などに細かな弾きキズや摩擦痕等が集中して見られますが年代相応のレベル、また全体はラッカー塗装のひび割れが生じていますが現状で継続使用に問題ありません。横裏板は衣服などによる細かな摩擦あとと数か所の小さな打痕等のみで良好な状態。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットも適正値を維持しています。ネック形状は通常の厚みのDシェイプ。弦長が640㎜のショートスケール設定に加え、ナット幅は49.5mm、ナット弦幅も41.0mmとコンパクトなサイズ感になっています。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers製を装着しており、こちらも現状で動作状況に問題ありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. アルト ALTO No.906
001_fischerP_03_195
弦長 Scale Length 542mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1995年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option 専用ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:メイシー
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。


〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作のアルトギター、1995年製 No.905 Usedの入荷です。彼の通常サイズでのフラッグシップモデルとなるConcervatoire や Virtuosoのハイスペックな仕様をそのまま落とし込んだようなギターで、使用木材のグレード、デザインから細部の仕上げ、そして音響的な質とバランスにおいて極めて充実したアルトとなっています。透明感のある洗練された音色はいかにも高級感があり、また重心もしっかりした響きなので合奏用としてだけでなく単独での使用でも十分に楽しめます。表面板内部構造は7本の左右対称の扇状力木とV字型に配置された2本のクロージングバー、そしてサウンドホール上下に計3本のハーモニックバーというオーソドックスなスタイル。レゾナンスはA#の少し上に設定されています。アルトの基本チューニングは B、E、A、D,F#,B となっていますが、レキントチューニング(A、D、G、C、E、A)に落としてご使用頂く事も可能です。

表面板全体はラッカー塗装に細かくにウェザーチェック(ひび割れ)が入っておりますが塗装の性質上、経年での標準的な症状ですので使用には全く問題ありません。サウンドホール周りなど少々弾きキズ、またブリッジ下1弦2弦位置に弦とび跡があります。横裏板は傷はほとんどなくとてもきれいな状態ですが、裏板センター付近に1か所木目に沿っての割れ補修歴があります。ただしとても丁寧に補修がされており、内側からもパッチ補強がされていますので見た目と状態ともに問題ありません。ネックは真っすぐを維持しており、フレットも摩耗なく良好な状態。糸巻きも動作状況問題ありません。Kingham Case社製の高級専用ハードケース付き。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  330,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. コンセルヴァトワール Conservatoire
001_fischerP_03_196
弦長 Scale Length 640mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1996年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板:セラック/横裏板:ラッカー
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 3.9mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。

〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作 1996年製 Conservatoire(コンセルヴァトワール)モデル 640㎜のショートスケール仕様のUsedです。表面板内部構造に彼が「TAUT」システムと名付けた格子状の力木配置を採用したもので、伝統的なスペインギターとは大きく異なり、音響と構造におけるフィッシャー独自の現代性を確立したモデルとして発表当時非常に話題になったモデルです。

表面板上部(くびれ部から上)はサウンドホール上側に2本、下側に1本で計3本のハーモックバーを設置している通常のスパニッシュスタイルですが、表面板下部(ブリッジを中心とする、くびれ部より下側のエリア)は計4本のトランスヴァースバーが等間隔に設置され(うち一本はちょうどブリッジサドルの位置に設置されている)、これらと直角に交差するように11本の長短の力木が表面板の木目に沿って等間隔に隅々にまで設置されており、精緻な格子状構造を形成しています。これらの力木とバーの高さと大きさは高音側と低音側とで同じサイズで加工されており、全体が均質な振動特性を得られるような工夫がされています。ただしバー自体の高さは4本の中でブリッジサドル位置のものだけがわずかに高く加工されています。また裏板のバーは設置されている計4本のうちの2本がX状に交差するXブレーシングシステムを採用しています(裏板にこのシステムを採用するのは、いくつか例はあるものの珍しい)。レゾナンスはA~A#とやや高めの設定。格子状力木構造と言えばオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンが開発したギターが有名ですが、スモールマンは表面板の木目に対し45度の角度で力木を交差させることで、菱形状の格子構造を表面板に行き渡らせるように作られており、また表面板上部の構造においてもより強固で複雑なシステムで設計され、フィッシャーのここでの構造とは全く異なる発想で造られています。フィッシャーはスモールマンと比較するとスペイン的なものへの憧憬がまだ色濃く残っており、例えばバルセロナの名工フランシスコ・シンプリシオの独創的な分割楕円サウンドホールのモデルを上記の「TAUT」システムで作り上げるなどの試みも行っています。

振動を均質に行き渡らせるような上記のシステムを採用していることにより、低音から高音までの全ての音が均質に、同じフェーズで響いているような整ったバランス感覚があり、どの音も互いに自然に繋がるような(ギターとしてはむしろ特異と言える)音響設計が実現しています。そしてそのフラットな音響の中で、一つ一つの音には表情の意外なまでの深さと多彩さがあり、また音楽的な身振り(スラ―、スタッカート、ヴィブラート、そして速い旋律等)における反応性も非常なものがあります。再びグレッグ・スモールマンとの比較で言えば、音量としてはオーソドックスですが各音の音像が磨かれたように艶やかで、音響全体の均質感もあり、演奏においては粒立ちの整った音がちりばめられてゆくような感覚があります。

割れなどの大きな修理履歴はございませんが、十分に弾き込まれており、全体に弾き傷やスクラッチ傷、衣服等の摩擦跡が多くみられます。表面板はセラックによる上塗り処置が施されており。現状は傷の凹凸等が目立たなくなっています。横裏板はオリジナルのラッカー塗装。ネックはほぼ真っ直ぐを維持しています。フレットは1~7フレットでやや摩耗がありますが現時点で演奏性に影響はありません。ネック形状は通常の厚みのDシェイプ。弦高は3.0/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには0.5~1.0㎜弱の余剰があります。640mmのスケールに加えてネックの差し込み角が浅いので、上記弦高値の割に左手は抑えやすく感じます。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers製を装着しており、一部つまみに変形や欠損がありますが、現状で機能的な問題はありません。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ラミレス2世 Jose Ramirez II
モデル/品番 Model/No.
001_joseramirez_02_157
弦長 Scale Length 652mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1957年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides マホガニー Mahogany
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。

ラミレス3世を息子に持つホセ・ラミレス2世(1885~1957)は非常に早い時期から父1世の工房で働き始めます。3世によればその当時工房には1世の弟子であるエンリケ・ガルシアやフリアン・ゴメス・ラミレスといった歴史的な名工たちが働いており、製作を学ぶには絶好の環境だったと述懐しています。しかし優れたギタリストでもあった彼はある楽団からの誘いを受けて1904年に南米への演奏旅行に同行しますが、そのままアルゼンチン、ブエノスアイレスの地に居を構え、そこで家庭を持つことになります(ラミレス3世はこの時に生まれています)。1923年に1世が亡くなり、2世はその2年後にマドリッドに戻り父の工房を引き継ぎます。その時工房にはアルフォンソ・ベニート、マヌエル・ロドリゲスらが職人として製作に従事していたほか、のちに20世紀前半の代表的な名工と呼ばれることになるマルセロ・バルベロ1世(1904~1956)も徒弟として働いていました(バルベロ1世は自身が独立する前にまだ若いラミレス3世に製作の手ほどきをしています)。2世のギターは好評でいくつかの受賞歴もあり、スペイン内戦中(1936~1939)は経営的に厳しい局面を経験したもののその後はおおむね順調で、3世の仕事の充実、そして1953年にはパウリーノ・ベルナベが工房に加わることでやがて訪れる豊穣の時代の素地を着実に形成してゆきます。

[楽器情報]
ホセ・ラミレス2世 1957年作 Usedの入荷です。2世が亡くなる年に製作されたもので、当時工房で辣腕を振るっていた3世やベルナベらの監修もあったことが推測されます。

構造的には極めてオーソドックスなスタイルで、表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、サウンドホール回りにやや広めの範囲で貼られた補強プレート、そして左右対称7本の扇状力木という全体構造。レゾナンスはG#~Aに設定されています。

やや強めの粘りと反発感を伴いながらきりっとした音が立ち上がってくる発音感はいかにもマドリッド的。木質で生々しい響きながら音像には密度と艶があり、音圧も充分に高い。高音が前景化してくるような音響設計はのちのラミレス3世のフラッグシップモデル1Aをさえ想起させるようなところがあり、その歌心いっぱいの音色はやはり魅力があります。

表面板のセンター、指板両脇、ボトム部低音側に複合的な割れの補修履歴があります。内側からパッチ補強はされておらず、接着のみの補修ですがそれぞれ適切な処置がされています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ラミレス3世 Jose Ramirez III(MC)
モデル/品番 Model/No. 1a  No.4768
001_joseramirez_03_171
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1971年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.3mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。

〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス3世 モデル1A 1971年製作 No.4768 MCスタンプのUsed入荷です。表面板はラミレスの符牒ともいえるウェスタン・レッド・セダー(杉)、横裏板は中南米産ローズウッドで、横板内側はシープレス材となっています。MCはマヌエル・カセレス(1947~)の頭文字。カセレスは1963年にラミレスの工房に入り、当時職工長であったパウリーノ・ベルナベ(1932~2007)のもとで研鑽を積んだ後にほどなくしてマスタークラフツマンに昇格し自身のスタンプで製作を許されます。彼はラミレスから独立して自らの工房を起ち上げた後には自身のモデルのほか名工アルカンヘル・フェルナンデスとの共同作業的な仕事も注目され、数年前に工房を閉鎖し実質引退するまで実に精力的に製作活動を行い、特に2000年代に入ってからはアルカンヘルと並んでマドリッド派を代表する製作家として人気を博しました。

表面板内部構造は1A モデルの基本形を踏襲しており、サウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、そしてそのうち下側のバーの中央で(つまりサウンドホールのちょうど真下のところで)低音側から高音側に向かって下がってゆくように斜めに交差するもう一本のバーを設置。そしてボディ下部は6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配し、ボトム部分でそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されています。ブリッジ位置には駒板よりも長いパッチ板が貼られています。レゾナンスはG~G#の間に設定されています。

ラミレス的特性をしっかりと体現しながらも甘すぎず、ほどよい上品さをまとったカセレスらしい仕上がり。高い音圧で箱がたっぷりと鳴り、程よいエコー感と伴いながら非常な迫力で立ち上がってくる濃密な音。実はラミレスの低音は重く太くなり過ぎずに高音との同質な音響設計が構築されているのですが、ここでもむしろ高音のほうが自然に前景化してくるような感覚があり、そのコクのある音のロマンティックな響きはやはり独特の魅力があります。

裏板の下部高音側に10cmほどの割れ補修履歴がありますが見た目では判別できないほどに綺麗に処置されています(内側にはパッチ補強が施されています)。表面板は指板両脇にそれぞれ数か所の2~3mmほどの打痕を部分修正したあとがありますがその他は微細な傷が少々あるのみとなっています。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分は良好です。ネックはDシェイプの薄めでフラットな形状。糸巻は出荷時オリジナルのFustero 製が装着されています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ラミレス 3世 Jose Ramirez III
モデル/品番 Model/No. 1a  No.13502
001_joseramirez_03_179
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1979年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.3mm/6弦 4.7mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。

〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス3世のフラッグシップモデル「1A」のインディアンローズウッド仕様、1979年製Usedです。このモデルの基本形は1964年に出来上がり、それは1986年頃を境として弦長を664mmから650mmに、またボディサイズやネック仕様もそれに即したサイズへと変更するまで同じ仕様で製作され続け、世界中で大変な人気を博しました。しかしながら1960年代から1980年代前半に至るまでの時期においても、やはり時代の要請に応じてかいくつものマイナーチェンジが行われており、それぞれ年代ごとに異なる特徴のあるギターとなっています。

1960年代の末頃から70年代のラミレスではネックのボディに対する差し込み角が深くなり、同時に指板は6弦側から1弦側にかけてかなりの傾斜角で設定され、その結果弦高値が低音から高音かけて一気に低くなってゆくような独特の演奏性を確立します。またこれによって全体の立体感と音圧における迫力が更に増大し、この時期のコンサートギターにおける一つの定式を作り上げたと言えます。

本作は1979年製作 ボディ内部には「17」の数字がスタンプされており、これはラミレス公式の職人リストによるとエンリケ・ボレゲーロ・マルコス Enrique Borreguero Marcos が製作を担当したことになります(エンリケはマヌエル・ラミレス工房でサントス・エルナンデスやドミンゴ・エステソと一緒に職人として働いていた製作家のモデスト・ボレゲーロの息子)。

当機で聴かれるのは非常なスマートさを感じさせる音響であり(迫力も豊かな鳴りも失われたという意味では決してなく)、特に1970年代半ばまでの同モデルにおいてしばしば見られるダイナミズム追及のあまりにバランスを欠いた個体とは異なる、ギターという楽器におけるごく自然な音響特性を備えたものとなっていることが特筆されます。ラミレスのそれまでの(1970年代半ばまでの)独特の生々しさを備えた音の肌理はここでは洗練され、繊細で、整い、軽快ささえも感じさせる響きとなっているのですが、「ラミレストーン」最大の特徴であるロマンティックな表情と艶やかな質感はそのままに、同時に奏者のタッチ感覚に寄り添うような高いリニアニティと演奏性が追及されているのは嬉しいところ。低音の音圧とほぼ同等かと思われるほどに強い高音、ポリフォニックな演奏における彫りの深い音響とそのきれいな余韻(倍音が程よくコントロールされている)、そして終止におけるきりっとした身振りも音楽的。ここには3世が開発した1Aというモデルの純粋に高いポテンシャルが、エンリケ・ボレゲーロという職人によって無駄なくそして円満に具現化されており、現代においても通用するクオリティを十全に備えた一本となっています。

表面板内部構造は1A モデルの基本形を踏襲しており、サウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、そしてそのうち下側のバーの中央で(つまりサウンドホールのちょうど真下のところで)低音側から高音側に向かって下がってゆくように斜めに交差するもう一本のバーを設置。そしてボディ下部は6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配し、ボトム部分でそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されています。ブリッジ位置には駒板よりも長いパッチ板が貼られています。レゾナンスはG~G#の間に設定されています。

割れや改造、再塗装などの大きな修理履歴はなく、表面板は指板脇やサウンドホール周りに軽微な傷があるのみ、また横裏板も衣服の摩擦や経年による自然な塗装のむらなどが見られるのみで良好な状態。表面板は力木の位置に沿ってわずかに波うちが見られるものの年代考慮すると標準的な症状で問題ありません。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分の状態も良好です。ネック形状は普通の厚みのDシェイプでフラットな加工がされており、指板は若干のラウンド加工がされています。弦高は3.3/4.7mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は0.5~1.0mmとなっています。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ヤコピ Jose Yacopi
モデル/品番 Model/No. No.1455
001_Jyacopi_1_03_176_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アルゼンチン Argentina
製作年 Year 1976年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
ホセ・ヤコピ(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。
現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報]
ホセ・ヤコピ製作 1976年製 No.1455 Usedの入荷です。1960~70年代の人気の高い時期の一本。ヤコピのイメージとして定着している琥珀色の塗装で仕上げられた外観はフォトジェニックで、全体にどっしりと落ち着いた佇まい。特徴的な低音は太く耳に柔らかい感触があり、対して高音は1音1音に芯がしっかり通った、明確で強い表情を備えており、その対比とバランスによる音楽的な表現力は他にはない魅力を放っています。内部構造は胴底のフットブロックを頂点とするように配された左右対称6本の扇状力木で、通常の扇状力木とは開く方向が逆になっているヤコピ特有の構造(センターのマッチング部分は力木の代わりに小さなパッチ板が十数枚貼られており、これもヤコピの標準的な仕様)。レゾナンスはGの少し下に設定されています。

特に割れ等の修理履歴はありません。弾き傷等の状態に関しても年代相応の状態。糸巻はオリジナルのものを装着しており、現状で機能的に良好です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。


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