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区分 輸入クラシック 新作
製作家/商品名 アントニオ・ラジャ・フェレール  Antonio Raya Ferrer演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. No.250
001_007_arFerrer_01_225
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2025年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 3.7mm

[製作家情報]
アントニオ・ラジャ・フェレール Antonio Raya Ferrer 1980年 スペイン、グラナダの生まれ。現在も同地に工房を構え製作を行っています。父は同地を代表する製作家の一人として日本でも人気のあったアントニオ・ラジャ・パルド(1950~2022)、そして母ピラール・フェレールは現在のグラナダ派形成の最重要人物ともいえるエドゥアルド・フェレール(1905~1988)の孫娘であり、彼は物心つく前からこの二人の名工が工房で製作する姿を見ながら育ったといいます。14歳の頃より父の工房で働き始め、17歳の時には自身のラベルで製作を開始。父親そしてグラナダの伝統に最大限の敬意を払いながら慎ましくその継承者としての任を自覚している誠実な彼は、父親同様にどこか柔和で素朴な作風が魅力的なブランドとして出発し、そして現在彼自身の成熟ゆえの帰結として、音響的そして造作精度的に高度の洗練を成し遂げた俊秀としての位置を確立するに至っています。

[楽器情報]
アントニオ・ラジャ・フェレール 2025年新作 No.250 の入荷です。グラナダ派の次世代を担うべきブランドの充実した新作。彼らしい、あくまでグラナダ的伝統を基礎としながら、彼の中に自然に生成されていったであろう現代的な感性(イノヴェイティブな挑戦という意味ではなく)と、職人としての熟練が高次において極めて自然に融和しており、なんとも清々しく力強い一本に仕上がっています。

グラナダ派ならではの木を叩いたような生々しく高い音圧で明るく響き、しかし乾き過ぎず、その音像は洗練されて艶があり、発音から終止までの充実したニュアンスが持続します。各弦が明確なアイデンティティを持ちながら全体の統一したまとまりを形成しており、これが曲の中で各声部間の彫りの深さと遠近感を生み出すのに寄与しています。その響きのたたずまいは洒脱で時に紳士的でさえあり、雑味がなくクリアに拡がってゆくような投射感が心地よい。また音だけでなく外観もいかにもグラナダ的な爽やかさがあり、細部の造りの細やかさ、そしてセラック塗装の美しい仕上げに至るまで高い完成度。

表面板内部構造は、サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと1枚の補強板、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木にこれらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置には短辺が駒板の2/3ほどの、しかし長辺は駒板よりも長い補強板がちょうど7本の扇状力木の間に収まるように設置されているという全体の構造。またサウンドホール周りにも補強板が、このパーツとしては珍しいと言えるほどに薄くされた、しかもサウンドホールと同心円上にではなく左右それぞれが「く」の字のように横板方向に張り出すような形状で造られています。また7本の扇状力木は一番両外側の計2本のみ他の5本の力木の2/3ほどの長さとなっており、隣の力木との間隔もわずかに狭く位置しています。レゾナンスはG~G#の間に設定されています。

ネック形状はDシェイプの普通の厚み。弦高は出荷時のままで 3.2/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~2.5mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。指板は高音側20フレット仕様。糸巻はスペインの高級糸巻Fustero製。重量は1.53㎏。




新入荷 定価(税込) : 1,650,000 円 販売価格(税込) :  1,567,500 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー2世 Hermann Hauser II
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル Segovia No.999
001_017_hauser_2_03_175
弦長 Scale Length 653mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1975年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー2世(1911~1988)
20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し100年以上にわたって一子相伝で製作を続けている老舗工房です。ヘルマン・ハウザーI世(1884-1952)の息子2世はドイツ屈指の弦楽器製作都市として知られるミッテンヴァルトで4年間ヴァイオリン製作学校で学んだ後、1930年より父の工房で働き始めます。彼ら親子はほぼ共同作業でギターを製作していましたが、ラベルはハウザー1世として出荷されています。1世が亡くなる1952年、彼は正式にこのブランドを受け継ぎ、彼自身のラベルによる最初のラベル(No.500)を製作。1974年からは息子のハウザー3世(1958~)が工房に加わり、以来1983年に引退するまで極めて旺盛な活動をし、500本以上のギターを出荷しています。

〔楽器情報〕
ヘルマン・ハウザー2世 1975年 No.999 Usedの入荷です。表面板駒板下部分に弦交換時のものと思われるキズが数点見られるほかは、ボディ全体でも数か所の軽微な打痕、スクラッチ傷、衣服によるごくわずかな擦れのみの非常にきれいな状態。表面板指板両脇には内部から見るとスリットが入っていますが、製作時に意図的に入れられたものか、または後年に生じた割れの修理跡かどうかは不明。ネック、フレット、糸巻きなど演奏性に関わる部分も問題ありません。

商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 エルナンデス・イ・アグアド Hernandez y Aguado
モデル/品番 Model/No. No.304
001_018_hernanagua_03_165
弦長 Scale Length 660mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1965年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.5mm

[製作家情報]
「エルナンデス・イ・アグアド」Hernandez y Aguado
サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(1895~1975)と ビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス(1897~1972)の二人による共同ブランドで、エルナンデスが本体の製作、アグアドが塗装とヘッドの細工そして全体の監修をそれぞれ担当。通称「アグアド」と呼ばれ、20世紀後半以降の数多くのクラシックギターブランドの中でも屈指の名品とされています。

エルナンデスはスペイン、トレド近郊の村Valmojadoに生まれ、8歳の時に一家でマドリッドに移住。アグアドはマドリッド生まれ。2人はマドリッドにある「Corredera」というピアノ工房で一緒に働き、良き友人の間柄であったといいます。この工房でエルナンデスは14歳のころから徒弟として働き、その優れた技術と情熱的な仕事ぶりからすぐに主要な工程を任されることになります。アグアドもまたこの工房で腕の良い塗装職人としてその仕上げを任されていたので、二人での製作スタイルのひな形がこの時すでに出来上がっていたと言えます。1941年にこのピアノ工房が閉鎖された後、2人は共同でマドリッドのリベラ・デ・クルティドーレス9番地にピアノと家具の修理工房を開きます。

1945年、プライベート用に製作した2本のギターについて、作曲家であり当時随一の名ギタリストであったレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに助言を仰ぐ機会を得ます。この名手は二人の才能を高く評価し、ギター製作を勧めるとともに自身が所有していたサントス・エルナンデスのギターを研究のために貸し与えています。さらにはサントスと同じくマヌエル・ラミレス工房出身の製作家で、終戦直後の当時貧窮の中にあったモデスト・ボレゲーロ(1893~1969)に仕事のためのスペースを工房内に貸し与えることになり、そのギター製作の工程をつぶさに観察。これが決定的となり、ギターへの情熱がさらに高まった二人は工房をギター製作に一本化することに決め、1950年より再発進します。デ・ラ・マーサという稀代の名手とマヌエル・ラミレスのメソッドを深く知るボレゲーロ(彼は1952年までアグアドの工房を間借りして製作を続けた後に独立しています)という素晴らしい二人の助言をもとに改良、発展を遂げて世に出されたアグアドのギターは大変な評判となり、一時期70人以上ものウェイティングリストを抱えるほどの人気ブランドになりました。

出荷第一号はNo.100(※1945年に製作した個人用のギターがNo.1)で、1974年の最後の一本となるNo.454まで連続番号が付与されました。1970年前後に出荷されたものの中には同じマドリッドの製作家マルセリーノ・ロペス・ニエト(1931~2018)や、やはりボレゲーロの薫陶を受けたビセンテ・カマチョ(1928~2013)が製作したものも含まれており、これは殺到する注文に応えるため、エルナンデスが当時高く評価していた2人を任命したと伝えられています。

しばしば美しい女性に喩えられる優美なボディライン、シンプルで個性的かつこの上ない威厳を備えたヘッドデザインなどの外観的な特徴もさることながら、やはりこのブランドの最大の特徴はその音色の絶対的ともいえる魅力にあると言えるでしょう。人間の声のような肌理をもち、表情豊かで温かく、時にまるで打楽器のような瞬発性とマッシヴな迫力で湧き出してくる響きと音色は比類がなく、二人だけが持つある種の天才性さえ感じさせます。

このブランドの有名な逸話にも登場するエルナンデスの愛娘のエミリアは1945年にヘスス・ベレサール・ガルシア(1920~1986)と結婚。ベレサールはアグアドの正統的な後継者として、その精神的な面までも受け継ぎ、名品を世に出す存在になります。

アグアドがギター製作を始めるうえでの大きなきっかけとなったデ・ラ・マーサはその後彼らのギターを数本購入し愛用しているほか、ジョン・ウィリアムスやユパンキなどの名手たちが使用しています。

[楽器情報]
エルナンデス・イ・アグアド 1965年製 No.304 の入荷です。ブランドの最盛期、ギターという楽器の表現力における異様なまでのポテンシャルの高さを体感できる一本です。増え続けるバックオーダーへの対応策として、また特に1960年代後期からは病身であったビクトリアーノの「代理」として複数の製作家が起用されたことから、二人の真の共作であることがギターファンの間ではとかく価値基準とされてしまう向きがあり、ここであの駒板の補強プレートに描かれたてるてる坊主のような図像の有無が取り沙汰されてしまうのですが、本作にはまさしくその図像が描かれています。

‘Making Master Guitar’の著者ロイ・コートナルが喝破したようにアグアドの魅力(の一つ)は「強烈な個性を演奏家に押しつけないこと」であり、美しく調和したギターはただただ「生命を与えられるまで演奏家の技能や解釈を待っている」。そして敢えて付言すれば、アグアドの最大の特徴はその「歌う声」としての音の全き実在性にあると言えます。点の連なりとしてしか音を繋げてゆくことのできないギターが、アグアドにおいては有機的な線を生み出し、まさに生き物のように繊細でダイナミックな表情の揺らぎが現れてくるのは感動的ですらあるでしょう。この時、コートナルが言うように、あくまでも楽器が持つ個性ではなく、奏者の心に寄り添うように音が表出されるところ、そして曲の演奏が進むにつれてまるで楽器のほうから自然に音楽を提案してくるような一体感(今風に言えばグルーヴ感とも言うことのできる)が生まれてくるのは、まさしくアグアドならでは。これもまたよく言われるように各音各弦の相互の均質性ということではかなりのアンバランスさが随所で目立つものの、むしろ表情の生々しい揺らぎの中に収まることで音楽の細部に貢献さえしてしまうところは、楽器の不完全性と音楽の原理とが偶然に親和してしまったかのようなスリルさえ感じさせます。「個性を押しつけることはない」もののアグアドには他にはない唯一無二の音色があり、それはクラシカルな翳を内包した慎ましい明るさなのですが、揺るぎない力強さとともに現れるこれらの音もやはり魅力的。

アグアドはまた機能的にも優れており、撥弦における適度な反発感と粘りのある発音、そして自然にドライブ感を生み出すような絶妙な反応性があり、奏者のタッチにしっかりと寄り添います。そしてまさにこれゆえにこそ奏者にはしかるべきタッチの熟練が求められるのですが、一致した瞬間の音楽的な充実感はなんとも素晴らしく、このブランドが現代においても名品とされる所以でしょう。

表面板力木配置に関してアグアドはいくつもの設計パターンを持っていますが、本器ではサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、そして下側の方のバーのほぼ中央部分(つまりサウンドホールの真下の位置)から高音側横板に向かって斜めに下がってゆくように配置されたもう一本のいわゆるトレブルバー、7本の扇状力木とこれらの先端をボトム付近で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置にはほぼ同じ面積の薄い補強プレート(「落書き」と製造番号がここに書かれています)が貼られているという全体の構造。上記のトレブルバーの設置はこの後も継続してゆきますが、扇状力木は後年6本(センターに配置された1本を境として高音側に2本、低音側に3本)に変わり定着してゆきます。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

おそらくボディ全体はオリジナルの塗装を残したまま上塗りがされていますが、オリジナルの触感を十分に感じさせるほどに最小限の処置が施されています。現状で傷は少なく、ほとんど衣服等により軽微な摩擦あとのみの良好な状態。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も良好な状態を維持しています。ネック形状は薄めでフラットなDシェイプでコンパクトな握り心地。弦高は現在値で3.0/4.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.5~2.5mmの余剰がありますのでお好みに応じてさらに低く設定することが可能です。660mmの弦長ですが弦の張りは中庸でネックの差し込み角度も深くなく、弦高値の割には弾きやすく感じます。糸巻はスペインの老舗Fustero製を装着しておりこちらも現状で機能的な問題は特にありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 エルナンデス・イ・アグアド Hernandez y Aguado
モデル/品番 Model/No. No.343
001_018_hernanagua_03_167
弦長 Scale Length 660mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1967年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ライトケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
「エルナンデス・イ・アグアド」Hernandez y Aguado
サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(1895~1975)と ビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス(1897~1972)の二人による共同ブランドで、エルナンデスが本体の製作、アグアドが塗装とヘッドの細工そして全体の監修をそれぞれ担当。通称「アグアド」と呼ばれ、20世紀後半以降の数多くのクラシックギターブランドの中でも屈指の名品とされています。

エルナンデスはスペイン、トレド近郊の村Valmojadoに生まれ、8歳の時に一家でマドリッドに移住。アグアドはマドリッド生まれ。2人はマドリッドにある「Corredera」というピアノ工房で一緒に働き、良き友人の間柄であったといいます。この工房でエルナンデスは14歳のころから徒弟として働き、その優れた技術と情熱的な仕事ぶりからすぐに主要な工程を任されることになります。アグアドもまたこの工房で腕の良い塗装職人としてその仕上げを任されていたので、二人での製作スタイルのひな形がこの時すでに出来上がっていたと言えます。1941年にこのピアノ工房が閉鎖された後、2人は共同でマドリッドのリベラ・デ・クルティドーレス9番地にピアノと家具の修理工房を開きます。

1945年、プライベート用に製作した2本のギターについて、作曲家であり当時随一の名ギタリストであったレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに助言を仰ぐ機会を得ます。この名手は二人の才能を高く評価し、ギター製作を勧めるとともに自身が所有していたサントス・エルナンデスのギターを研究のために貸し与えています。さらにはサントスと同じくマヌエル・ラミレス工房出身の製作家で、終戦直後の当時貧窮の中にあったモデスト・ボレゲーロ(1893~1969)に仕事のためのスペースを工房内に貸し与えることになり、そのギター製作の工程をつぶさに観察。これが決定的となり、ギターへの情熱がさらに高まった二人は工房をギター製作に一本化することに決め、1950年より再発進します。デ・ラ・マーサという稀代の名手とマヌエル・ラミレスのメソッドを深く知るボレゲーロ(彼は1952年までアグアドの工房を間借りして製作を続けた後に独立しています)という素晴らしい二人の助言をもとに改良、発展を遂げて世に出されたアグアドのギターは大変な評判となり、一時期70人以上ものウェイティングリストを抱えるほどの人気ブランドになりました。

出荷第一号はNo.100(※1945年に製作した個人用のギターがNo.1)で、1974年の最後の一本となるNo.454まで連続番号が付与されました。1970年前後に出荷されたものの中には同じマドリッドの製作家マルセリーノ・ロペス・ニエト(1931~2018)や、やはりボレゲーロの薫陶を受けたビセンテ・カマチョ(1928~2013)が製作したものも含まれており、これは殺到する注文に応えるため、エルナンデスが当時高く評価していた2人を任命したと伝えられています。

しばしば美しい女性に喩えられる優美なボディライン、シンプルで個性的かつこの上ない威厳を備えたヘッドデザインなどの外観的な特徴もさることながら、やはりこのブランドの最大の特徴はその音色の絶対的ともいえる魅力にあると言えるでしょう。人間の声のような肌理をもち、表情豊かで温かく、時にまるで打楽器のような瞬発性とマッシヴな迫力で湧き出してくる響きと音色は比類がなく、二人だけが持つある種の天才性さえ感じさせます。

このブランドの有名な逸話にも登場するエルナンデスの愛娘のエミリアは1945年にヘスス・ベレサール・ガルシア(1920~1986)と結婚。ベレサールはアグアドの正統的な後継者として、その精神的な面までも受け継ぎ、名品を世に出す存在になります。

アグアドがギター製作を始めるうえでの大きなきっかけとなったデ・ラ・マーサはその後彼らのギターを数本購入し愛用しているほか、ジョン・ウィリアムスやユパンキなどの名手たちが使用しています。

[楽器情報]
エルナンデス・イ・アグアド 1967年製 No.343 の入荷です。ラベルには「私の小さな孫へ」との直筆の文言が書かれており、プライベートに製作された一本であることがうかがえます。ロゼッタが有名なジグザグの模様ではなく細やかな落ち着いた意匠になっており、これもあまりにも有名なヘッドデザインはその曲線部分などにやや優美なニュアンスが感じられるものになっているのですが、内部設計のほうは後期アグアドの典型的なものが採用されています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして下側の方のバーの中央からわずかに低音寄りの部分から高音側横板の方向に斜めに下がってゆくように配置されたもう一本のいわゆるトレブルバー、扇状力木は6本がセンターに配された1本を境として低音側に3本、高音側に2本を配置、ボトム部でこれらの先端を受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には補強板が丁度駒板の幅と合致するように(同時に一番低音側の一本を除く5本の扇状力木の範囲に丁度収まるように設置されているという全体の設計。駒板部分の補強板は厳密にいえばアグアドとしてはやや厚めに2mmほどの厚みのものとなっています。またこの部分に年式や製造番号などは記載されておりません。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

アグアドの特徴である実に適切な、それゆえにこそ個性的な粘りと反発感のある発音と引き締まった音像というよりは、箱全体を十全に響かせてオーディトリアムな奥行きと力強さを持った、良い意味でマドリッド的な響きが特徴です。そしてこのブランドのもう一つの特徴である表情の繊細と機微においてはやはりさすがで、可憐さから豪壮までの振幅があり、そしてとても音楽的。高音はあくまでもきりっとして女性的でさえあり、中低音から低音のふっくらとした拡がりがそれを包むように響く全体のバランスも心地よい。またアグアドは演奏性における機能面でも秀逸で、ネックの差し込み角度等の設定による絶妙さゆえか左手はストレスがなく、弦のテンションも中庸から弱めであるのに音自体には張りと力強さがあり(これについては弦長660mmの設定であることも関係しているでしょう)、発音の反応性も優れています。

表面板全体(特に指板両脇とサウンドホールの高音側、駒板下部分など)に弾きキズや搔きキズありますがあまり深くなく、外観を著しく損なうものではありません。また横裏板とネック裏は衣服等による細かな摩擦あとや数か所の小さな打痕とキズはありますが軽微なものとなっており、年代を考慮すると良好な状態と言えます。割れ等の修理歴もありません。ネック、フレット等の演奏性にかかかわる部分も適正な状態。ネックシェイプはDシェイプの薄めの形状でグリップ感が良く、弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0~2.0mmあります。糸巻はスペインの老舗ブランド Fustero製を装着、こちらも現状で機能的な問題はありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 エルナンデス・イ・アグアド Hernandez y Aguado
モデル/品番 Model/No. No.363
001_018_hernanagua_03_168
弦長 Scale Length 660mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1968年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option HISCOX ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
「エルナンデス・イ・アグアド」Hernandez y Aguado
サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(1895~1975)と ビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス(1897~1972)の二人による共同ブランドで、エルナンデスが本体の製作、アグアドが塗装とヘッドの細工そして全体の監修をそれぞれ担当。通称「アグアド」と呼ばれ、20世紀後半以降の数多くのクラシックギターブランドの中でも屈指の名品とされています。

エルナンデスはスペイン、トレド近郊の村Valmojadoに生まれ、8歳の時に一家でマドリッドに移住。アグアドはマドリッド生まれ。2人はマドリッドにある「Corredera」というピアノ工房で一緒に働き、良き友人の間柄であったといいます。この工房でエルナンデスは14歳のころから徒弟として働き、その優れた技術と情熱的な仕事ぶりからすぐに主要な工程を任されることになります。アグアドもまたこの工房で腕の良い塗装職人としてその仕上げを任されていたので、二人での製作スタイルのひな形がこの時すでに出来上がっていたと言えます。1941年にこのピアノ工房が閉鎖された後、2人は共同でマドリッドのリベラ・デ・クルティドーレス9番地にピアノと家具の修理工房を開きます。

1945年、プライベート用に製作した2本のギターについて、作曲家であり当時随一の名ギタリストであったレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに助言を仰ぐ機会を得ます。この名手は二人の才能を高く評価し、ギター製作を勧めるとともに自身が所有していたサントス・エルナンデスのギターを研究のために貸し与えています。さらにはサントスと同じくマヌエル・ラミレス工房出身の製作家で、終戦直後の当時貧窮の中にあったモデスト・ボレゲーロ(1893~1969)に仕事のためのスペースを工房内に貸し与えることになり、そのギター製作の工程をつぶさに観察。これが決定的となり、ギターへの情熱がさらに高まった二人は工房をギター製作に一本化することに決め、1950年より再発進します。デ・ラ・マーサという稀代の名手とマヌエル・ラミレスのメソッドを深く知るボレゲーロ(彼は1952年までアグアドの工房を間借りして製作を続けた後に独立しています)という素晴らしい二人の助言をもとに改良、発展を遂げて世に出されたアグアドのギターは大変な評判となり、一時期70人以上ものウェイティングリストを抱えるほどの人気ブランドになりました。

出荷第一号はNo.100(※1945年に製作した個人用のギターがNo.1)で、1974年の最後の一本となるNo.454まで連続番号が付与されました。1970年前後に出荷されたものの中には同じマドリッドの製作家マルセリーノ・ロペス・ニエト(1931~2018)や、やはりボレゲーロの薫陶を受けたビセンテ・カマチョ(1928~2013)が製作したものも含まれており、これは殺到する注文に応えるため、エルナンデスが当時高く評価していた2人を任命したと伝えられています。

しばしば美しい女性に喩えられる優美なボディライン、シンプルで個性的かつこの上ない威厳を備えたヘッドデザインなどの外観的な特徴もさることながら、やはりこのブランドの最大の特徴はその音色の絶対的ともいえる魅力にあると言えるでしょう。人間の声のような肌理をもち、表情豊かで温かく、時にまるで打楽器のような瞬発性とマッシヴな迫力で湧き出してくる響きと音色は比類がなく、二人だけが持つある種の天才性さえ感じさせます。

このブランドの有名な逸話にも登場するエルナンデスの愛娘のエミリアは1945年にヘスス・ベレサール・ガルシア(1920~1986)と結婚。ベレサールはアグアドの正統的な後継者として、その精神的な面までも受け継ぎ、名品を世に出す存在になります。

アグアドがギター製作を始めるうえでの大きなきっかけとなったデ・ラ・マーサはその後彼らのギターを数本購入し愛用しているほか、ジョン・ウィリアムスやユパンキなどの名手たちが使用しています。


[楽器情報]
エルナンデス・イ・アグアド 1968年製 No.363 の入荷です。ブランドとしては珍しく、表面板に杉材を使用したモデル。表面板力木配置はアグアド後期の典型的なもので、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして下側の方のバーのほぼ中央部分(つまりサウンドホールの真下の位置)から高音側横板との接合部に向かって斜めに下がってゆくように配置されたもう一本のいわゆるトレブルバー、扇状力木は6本がセンターに配された1本を境として低音側に3本、高音側に2本を配置、ボトム部でこれらの先端を受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄い補強板が丁度駒板の幅と合致するように(同時に一番低音側の一本を除く5本の扇状力木の範囲に丁度収まるように設置されているという全体の設計。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

アグアドの発音の特徴として、撥弦時の適度な粘りと反発感を伴いながら、実に適切な質量を持った音像の跳躍するような発音とひとまずいうことができますが、本作ではこの粘りと反発感が薄れ、ストレスのない発音になっています。しかしながらいたずらに放射してゆくようなプロジェクションではなく、音としての上品で確かな佇まいがあり、色彩は控えめながらも表情の機微と多様さはやはり人間の声にも比すべきもので、非常に音楽的。基音の硬質さとほんのりとエコーをまとったような響きに杉材の特徴が現れており、また特に高音の純度の高い樹脂のような音像は魅力的。全体に各音の分離も優れ、低音から中低音そして高音に至るバランスも秀逸です。

裏板はセンターからやや低音寄りの部分、木目に沿って約40センチほどの割れ埋木補修歴がありますが、非常に適切な処置がされていますので継続しての使用に問題なく、また外観にもほとんど影響ありません。全体はセラックによる再塗装が施されており、現状でほんのわずかなスクラッチ傷や微細な打痕があるのみでとても綺麗な状態です。またフレットも全交換がされておりこちらも現状で(ピッチ含め)適正値の状態。ネックの状態も完璧と言える設定を維持しています。ネックシェイプは薄めのDシェイプでコンパクトなグリップ感。弦高値は2.8/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.5mmあります。弦の張りは中庸でとても押さえやすいので現状でも弾き易く感じますが、お好みに応じて弦高はさらに低く設定することが可能です。糸巻はスペインの老舗ブランドFustero製を装着。重量は1.38kgとこのブランドとしてはやや軽めの造りになっています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez
モデル/品番 Model/No.
001_020_arcangel_03_167
弦長 Scale Length 656mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1967年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.2mm

アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez 1931年スペイン、マドリッド生まれ。
マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。

少年時代は映画俳優志望で実際に数本の映画にも出演、13歳になると家具職人として働き、同時にフラメンコギターの演奏も始め、相当な演奏の腕前だった彼は兵役を終えた頃にはプロギタリストとしての道を模索しますが、1954年に当時サントス・エルナンデス(1874~1943)の後継者とされていたマルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得てその工房に足繁く通うようになると、この名工のすすめもあってギター製作の弟子となります。アルカンヘルは師バルベロの作るギターに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間に職人として成長してゆきますが、バルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、唯一の弟子であったアルカンヘルはバルベロの残された注文分のギターをすべて製作した後、1957年に師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに自身の工房を設立。この開始時からアルカンヘルの職人としての充実度はすさまじいほどで、造作と音響の両方において若さゆえの甘さなどみじんもなく、透徹した精神が隅々まで行き渡った名品を作り出します。彼のそうした製作哲学と楽器の密度はその後50年以上に渡り一切弛緩することなく続いてゆくことになります。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました。

自身のラベルによるものはクラシック、フラメンコそれぞれ一貫してワンモデルのみを製作。それ以外には工房品(「Para Casa Arcangel Fernandez」ラベル)としてバルベロ・イーホやマヌエル・カセレスらが製作を担当して出荷もしています。この二人はそれぞれ自身のオリジナルラベルでの製作も行っていますが、アルカンヘル工房品として出荷されたものも完全手工品として(ラベルには製作者の名前が明記されています)極めて高いクオリティのもので評価も高く、現在中古市場でも人気のアイテムとなっています。

アルカンヘルの造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。

[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 1967年製 クラシックモデル Usedです。
表面板内部構造はスペインギターでは極めてオーソドックスなものですが、彼のギターとしては珍しい配置を採用しています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして左右対称7本の扇状力木とこれらの先端を受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに渡って貼られた薄い補強板という設計。アルカンヘルは表面板中央に寄り添うようにして殆どお互いに角度をつけずに配置された5本(クラシックの場合は高音側にのみ短い一本を加えて6本)の扇状力木で一貫しており、本器の様に左右対称7本という設計はこのブランドとしては非常に珍しい。またそれぞれの力木も通常では幅も高さもあるしっかりとした造りのものであるのに対し、本器のものは対照的にサイズ的にはほぼ半分ほどの繊細な造りとなっており、さらには表面板の厚みもまた通常よりも薄いものを使用しています。レゾナンスはF♯の少し上に設定されています。

上記のような仕様ゆえか、このブランド特有の撥弦における強い粘りと反発感(ここからあの重厚かつ弾性感のある発音が生まれる)を備えながらも、音は剛健さよりもむしろ繊細で時にチャーミングとさえいえるような佇まいを聴かせます。そしてそこにはアルカンヘルならではのストイックな表情ながら、音楽の機微を十全に伝える表現のポテンシャルを有しており、その控えめな雄弁さがやはり魅力的。形の整った点のように弾け出してくるくる高音と、其れを堅実に支えるような低音とのバランスと対比も心地よく、そして全体はあくまでも古典的な雰囲気をまとっているところもアルカンヘルらしい。

表面板の指板脇低音側に割れ、駒板下センター付近に2カ所割れ補修歴があり板の歪みが生じていますが現状でしっかりと補強処置がされており、継続しての使用に問題はありません。また表面板はおそらく再塗装が施されています。駒板下には1弦部分に弦飛びあとがあります。横裏板は若干の塗装のひび割れと部分的な変色のほか衣服等による細かな摩擦跡などありますが割れ等の大きな修理歴はありません。ネック裏も演奏による細かな爪キズが全体についています。表面板と横板とのボトム接合部分は前述の表面板の歪みに伴うものか、剥がれを補修した履歴があります。ネックはほんのわずかに順反りですが許容範囲内、フレットは適正値を維持しています。ネックシェイプは角の取れた丸みのあるDシェイプで薄めの造り。弦高値は3.0/4.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0~1.5mmあります。糸巻はスペインの老舗ブランドFustero製のFleta タイプのものが装着されていますが、おそらく過去に交換されたものと思われます。現状で動作状況に問題ありません。重量は1.57kg。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero hijo
モデル/品番 Model/No. パラ・カサ・アルカンヘル 
001_021_barberohijo_03_182
弦長 Scale Length 655mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1982年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。

[楽器情報]
マルセロ・バルベロ・イーホ製作 1982年製 クラシックモデルのUsed入荷致しました。過去に全面の再塗装が施されており、外観はとてもきれいな状態。表面板のサウンドホール周辺などの演奏時に指が触れる部分などは若干のキズがあり、駒板下の2弦位置には弦とびあと、その他小さな打痕数か所(再塗装の際にタッチアップ修正されたものと思われます)があるのみで、横裏板も衣服等による摩擦あとのみとなっています。割れなどの大きな修理歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットも1~3フレットでわずかに摩耗見られますが演奏性には全く問題ありません。ネック形状はDシェイプの普通の厚みで加工されています。弦の張りは中庸で、弦高値は2.8/4.0㎜(1弦/6弦 12フレット)サドル余剰は1.0~1.5㎜となっています。糸巻は出荷時のフステーロ製からGotoh 510シリーズのモデルに交換されています。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック 新作
製作家/商品名 ホセ・ゴンサレス・ロペス Jose Gonzalez Lopez
モデル/品番 Model/No. No.316
001_JGLopez_01_225
弦長 Scale Length 640mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2025年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エビニー
塗 装:セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
ホセ・ゴンサレス・ロペス、1961年 スペイン、グラナダに生まれ同地で育つ。もともとギター製作とは関わりのない仕事に就いていましたが、ホセ・マリン・プラスエロの妹との結婚を機に1989年、28歳の時にアントニオ・マリン・モンテロの工房に入ります。アントニオとホセの二人の指導のもとおよそ10年の修行を経て1999年に自身のラベルによる最初のギターを製作。アントニオの製作哲学を工法、そして音響において堅実に受け継いでおり、しかも彼自身の高い木工の才からなる非常な完成度を有したそのギターは偉大な二人の師とも比肩しうるものとして、国際的に高い評価を得るに至っています。現在も同工房にて極めて精力的に製作を続けている、グラナダの名ブランドの一つ。

[楽器情報]
ホセ・ゴンサレス・ロペス 2025年新作 No.316 640mmスケール仕様の入荷です。スペイン屈指の工房の名に恥じない、非常なクオリティを有した一本です。内部構造的にはアントニオ、そしてホセ・プラスエロと同じでいわゆるBouchetスタイルとなりますが、ホセ・ゴンサレスの個性が慎ましくも力強い音となってあらわれており、隅々までゆきわたった精緻な造作と相まって濃密な一本に仕上がっています。



新入荷 定価(税込) : 1,650,000 円 販売価格(税込) :  1,650,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ヤコピ Jose Yacopi
モデル/品番 Model/No. No.1219
001_Jyacopi_1_03_178
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アルゼンチン Argentina
製作年 Year 1978年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
ホセ・ヤコピ Jose Yacopi(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。
現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報]
ホセ・ヤコピ 1978年製 No.1219 Usedです。横裏板に中南米ローズ材を使用したハイスペックなモデルで(ヤコピはこの他にインディアン・ローズウッド、アイアンウッド仕様のモデルや、より一般向けのワークショップモデルなども製作していました)、このブランドの音色と外観における魅力が円満に備わった1本となっています。湿度を含んだような独特のリヴァーブ感、爪弾きの感触が生々しい彫りの深い和音、艶というよりはさらっとした粒子的な肌理を持った音像、どこか翳のある響き等々は「南米的」というカテゴライズでは括りきることのできないこのブランドの独自性があり、クラシックそして南米音楽の双方のユーザーからの支持をいまなお集めています。艶やかな飴色のセラック塗装で仕上げられた全体の外観も相変わらずエキゾチックな味わいを醸し出しています。

表面板力木構造もヤコピ独自のもので、扇状力木(通常は3~11本ほどの力木をサウンドホールからボトム方向に向かって扇状に拡がってゆくようにして配置される)を、その支点をエンドブロック側に設定し、通常とは逆にボトム側からネック方向に向かって扇が広がってゆくように配置しています。センターの板の接ぎ部分は12枚の小さな補強板を貼り付けており、高音側低音側それぞれ3本ずつ左右対称に力木を設置。サウンドホールの下側に1本、上側には長短1本ずつのハーモニックバーを設置しているという全体の配置構造。レゾナンスはG~G#の間に設定されています。

裏板低音側上部に木目に沿って15cmほどの割れ補修歴がありますが丁寧な処置が施されており、外観を損ねることなくまた継続しての使用にも問題ありません。その他横裏板は衣服等による摩擦や細かな搔き傷等あります。表面板は全体に弾き傷や大小の打痕・搔き傷などがあり、駒板下は1弦と2弦部分に弦とび傷があるほか弦交換時の傷が多くついているなど年代相応の使用感があります。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分は良好で、ネックは薄めのCシェイプでコンパクトなグリップ感、弦高値は3.0/4.0mmですが弦の張りは中庸で数値の割に押さえ易く感じます。サドル余剰は現状でありません。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers製に交換されており、現状で動作状況は良好です。全体の重量は1.69㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 カール・ハインツ・ルーミッヒ Karl Heinz Rommich
モデル/品番 Model/No.
001_KHRommich_02_219_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2019年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ヒスコックケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
1953年生まれ。ドイツ、フランケンハルトに工房を構える製作家。伝統的なスパニッシュギターに傾倒し、製作を学ぶためにスペインのグラナダを訪れ,
同地のマリン、フェレールら名工たちの工房に足しげく通い見識を深めていた時期もあったようです。その後はギターメーカーのヘフナーに一時就職し、マイスターの称号も得ています。1980年代に独立して工房を立ち上げ1990年代になるとヨーロッパを中心に名前が知られるようになりますが、ヨーゼフ・エトベシュが「ゴールドベルク変奏曲」の全曲をギター用に編曲して演奏したアルバムで使用したことから一気に世界的な名声が高まります。製作家曰く材の選定には取り分けこだわり40年以上ねかせた材のみを選定。接着は全て膠を使用しており、全てセラックでの仕上げがなされています。彼の楽器はスパニッシュギターの生々しく明朗で解放的な響きを全体にクラシカルな洗練を施したような音色で、ロマンティックと透徹さが同居した稀有な楽器となっている。上述のエトベシュのほかにもパヴェル・シュタイドル、マルコ・トプチなどのギタリストが使用しています。

[楽器情報]
カール・ハインツ・ルーミッヒ製作 2019年製 Usedの入荷です。柔らかなレモン色の松材と特徴的な赤みのココボロ単板(Cocobolo)との組み合わせによる外観はいかにもこの製作家が好みそうなコントラストで、それを爽やかに、そしてきりっとした佇まいに着地させているところはさすが。ドイツ的な重厚さよりも、どこかスペインへの憧れを彼なりに投影したようなところがあり、瑞々しくそして落ち着いたルックスなのですがそれが自然と彼の個性となっています。

音もまたスペイン的な響きを基本としながらもルーミッヒのスマートな感性が行き渡ったもので、これがとても魅力的。深い奥行きとともに、撥弦の瞬間から洗練され整った音像がくっきりと立ち現れ、その密度を終止まで持続する。一つ一つの音の粒が揃い、低音から高音まできれいな線を形成するような音響はドイツ的と言えますが、その中にクラシック音楽的、ヨーロッパ的としか言いようがない表情の機微が自然に表れてきます。音響設計的にも単旋律では雑味のない凛とした音を、そして和声的旋律では豊かなポリフォニーをしっかりと構築します。奏者のタッチとのリニアニティも高く、旋律の身振りの隅々にまでニュアンスが行き渡る感覚がとても心地よい。ドイツと言えばいまやモダンスタイルのギターですぐれた製作家が多く出てきていますが、ここでのルーミッヒはあくまでもトラディショナルなスタイルで貫徹しており、確固たるブランドカラーを提示しています。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木、駒板(ちょうどサドルと同一線上)の位置には薄く細く繊細な加工によるプレートが横幅いっぱいにわたって設置されており、さらにボトム寄りのエンドブロックのすぐ近くにはさらに繊細な加工による薄く短いプレートが貼られており、扇状力木はこれらの上を通過してボトム部まで伸びています。この2枚の繊細なプレートの設置はそれぞれの位置関係的にも、また加工処理的にも他には見られない個性的なもので、ルーミッヒの近年の特徴となっています。レゾナンスはF#~Gに設定されています。

割れなどの大きな修理履歴はありません。表面板の指板脇からサウンドホール周りにかけてやや多めに弾きキズがあります。裏板の演奏時に胸が当たる部分に支持具等の装着によるものと思われる四角形の塗装ムラが生じていますが、現状で状態に問題はありません。その他は衣服等による摩擦跡が若干あります。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分は良好です。ネックシェイプは普通の厚みでややラウンド型のDシェイプに加工されています。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~3.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することが可能です。糸巻はスペインのFustero製を装着。重量は1.51㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。


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