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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー2世 Hermann Hauser II
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル Segovia No.672
001_017_hauser_2_03_160_672
弦長 Scale Length 648mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1960年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:ランドストルファー
弦 高:1弦 2.6mm /6弦 3.5mm


〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー2世(1911~1988)
ハウザーギターは疑いなく20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し100年以上にわたって一子相伝で製作を続けている老舗です。ヘルマン・ハウザーI世(1884-1952)が、ミゲル・リョベートが所有していたアントニオ・トーレスとアンドレス・セゴビア所有のマヌエル・ラミレスをベースにして自身のギターを改良し、後にセゴビアモデルと呼ばれることになる「究極の」名モデルを製作した事は良く知られています。それはトーレスがギターの改革を行って以来最大のギター製作史における事件となり、その後のギター演奏と製作との両方に大きな影響を与えることになります。1世の息子ハウザー2世はドイツ屈指の弦楽器製作都市として知られるミッテンヴァルトで4年間ヴァイオリン製作学校で学んだ後、1930年より父の工房で働き始めます。彼ら親子はほぼ共同作業でギターを製作していましたが、ラベルはハウザー1世として出荷されています。1世が亡くなる1952年、彼は正式にこのブランドを受け継ぎ、彼自身のラベルによる最初のラベル(No.500)を製作。以来1983年に引退するまで極めて旺盛な活動をし、500本以上のギターを出荷しています。

ハウザー2世もまた父親同様に名手たち(セゴビア、ジュリアン・ブリーム、ペペ・ロメロ等)との交流から自身の製作哲学を熟成させていったところがあり、また彼自身の資質であろうドイツ的な音響指向をより明確化することで、1世とはまた異なるニュアンスを持つ名品を数多く世に出しました。有名なところではなんといってもブリームが愛用した1957年製のギターですが、その音響は1世以上に透徹さを極め、すべての単音の完璧なバランスの中にクラシカルな気品を纏わせたもので、ストイックさと抒情とを併せもった唯一無二のギターとなっています。

1970年代以降の彼は特にその独創性において注目されるべきペペ・ロメロモデルや、おそらくは急速に拡大した需要への柔軟な姿勢としてそれまでには採用していなかった仕様での製作も多く手がけるようになりますが、やはり完成度の高さの点では1世より引き継いだ「セゴビア」モデルが抜きんでています。その後1980年代からモダンギターの潮流が新たなスタンダードと目されていく中でも、ハウザーギターは究極のモデルとしての価値を全く減ずることなく、現在においてもマーケットでは最高値で取引されるブランドの一つとなっています。

1974年からは息子のハウザー3世(1958~)が工房に加わりおよそ10年間製作をともにします。3世もまた2世のエッセンスに独自の嗜好を加味しながら、ブランドの名に恥じぬ極めて高度な完成度を有したモデルを製作し続けています。


[楽器情報]
ヘルマン・ハウザー2世 セゴビアモデル 1960年製 No.672 の入荷です。2世最盛期の逸品。父1世において濃厚だったスペイン的性質から自身のドイツ的傾向を強めてゆく時期で、ジュリアン・ブリームの名演を例に出すまでもなく(彼が愛用していたのは1957年製)、2世のギターは楽器としての芸術性において異様な高みに達しており、いまなお究極のギターとしてのアクチュアリティ―を失っていません。本作はまさしくその証左ともいえる一本。

かなりタフに弾き込まれてきたためボディ全体は大小のスクラッチや打痕が多くあり、特に表面板指板脇から駒板にかけては演奏によるキズが集中して見られ、塗装に一部木地の露出箇所があります。また同じ表面板のボトム付近は5~10㎝ほどの何か硬いものによって生じたようなやや深い掻きキズが数か所あり、駒下は1弦と5弦部分に弦とび跡があります。横裏板も全体に衣服等の摩擦跡のほか、演奏時に胸と肘が当たる部分は塗装の擦れ、ひび割れ、変色等を生じています。再塗装の履歴はなく、出荷時のままのオリジナルラッカー塗装で、経年の自然変化によるウェザーチェックが全体に見られます。キズはかなり多く目立つものの割れや改造など大きな修理歴もなく、演奏性の点でもネックはほぼ完璧に近い状態を維持しており、フレットは1~8フレットでやや減りが見られますが、現時点で継続使用に問題はありません。表面板のサウンドホールから駒板にかけてのエリアは経年の弦の張力のためわずかに沈んでおり、また駒板からボトムにかけてのエリアはわずかに膨らみ内部の力木に沿って若干の波うちが見られますが、こちらも標準的な経年変化の範囲内であり、使用には全く問題なく、また演奏性にも影響はありません。

表面板力木配置は1世の1937年製セゴビアモデルに準拠しながら2世の工夫が加えられたもの。サウンドホール上、つまりネック側に2本のハーモニックバーとその間に1枚の補強プレート(ここに2世自身の直筆サインと日付が書かれています)、ホール下は直線ではなく、高音側と低音側の2点でほんのわずかにネック側に向かって屈折した1本のハーモニックバーを設置しており、これら上下のバーの間を繋ぐようにホール左右には一枚ずつの補強プレートが貼られています。ウェストより下側は左右対称7本の扇状力木にこれらの先端をボトム部で受け止める2本のハの字型のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ範囲に非常に薄い補強プレートが貼ってあるという全体の配置。上記のホール下側の屈折したハーモニックバーは2世のモデルに特徴的なもので(年式によっては屈折ではなく緩やかにカーブを描くように加工し設置されているものもあります)、また裏板に設置されているバーは薄くて高さがありその頂点は尖った加工となっており、これもまた2世特有の形状となっています。レゾナンスはハウザーとしてはやや低めのF#に設定されています。

十分な低さの重心感覚をともなった低音から高音までの、まるで歪みのない一本の線を形成するような音像の均整感とともに、やや強めの粘りをともなった発音から終止までのあいまいさのない充実したサスティーン、その機能的クオリティはやはり見事。そしてハウザー特有の弾性を伴ったこれらの音は旋律において自然なうねりを生み出し、和音においてはそれぞれの構成音のアイデンティティを明確にしながら一つの完璧なかたまりとして鳴らす、まさしくクラシカルな和声音楽を奏でるのに相応しい特性と言えます。ドイツ的なストイシズムともいえる渋めの音色ですが、繊細な変化の中に多彩な表情を内包しているところなどもいかにもこのブランドらしく、なによりもその芸術性において20世紀屈指の名品とされるゆえんでしょう。

ボディ重量は軽めの1.45㎏。表面板は薄めに加工されており、扇状力木も3~5mm幅、高さ5mm未満の繊細な造り。このためか響きには木質の生々しさも、(後年の作と比較すると)あり、この表面板の厚みと力木の形状とサイズとの関係性は実は1世の時代から多くのヴァリエーションが試されており、スペイン/ドイツ的性質の設定とも関わってくるものと思われ非常に興味深いところです。またこの1960年製の表面板は多数のキズのためそのインパクトがやや薄れてしまっているのがやや残念ですが、見事なベアクロウが入った印象的なヴィジュアルで、かなり硬度の高い材と思われます(その薄さと経年数の割には歪みの度合が少ない)。横裏板は野性的な木目の中南米ローズウッドを使用しています。糸巻はLandstorfer 製を装着し、ツマミ、ローラーをナットと同じ飴色で統一する徹底ぶり。ネックはCラウンドシェイプ、ヘッドとの接合はVジョイント方式。弦高値は2.8/3.6mm(1弦/6弦 12フレット)、サドルはおそらく過去に交換がされていますが現時点で余剰が1.0mmほどあります。

商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_020_arcangel_03_171
弦長 Scale Length 656mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1971年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.3mm /6弦 4.2mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。
マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。

少年時代は映画俳優志望で実際に数本の映画にも出演、13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターの演奏も始めます。相当な腕前だった彼は兵役を終えた頃にはプロギタリストとしての道を模索しますが、1954年、当時サントス・エルナンデス(1874~1943)の後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得てその工房に足繁く通うようになると、この名工にギター製作をすすめられ弟子となります。アルカンヘルは師バルベロの作るギターに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間に職人として成長してゆきます。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、唯一の弟子であったアルカンヘルはバルベロの残された注文分のギターをすべて製作した後、1957年に師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに自身の工房を設立。この開始時からアルカンヘルの職人としての充実度はすさまじいほどで、造作と音響の両方において若さゆえの甘さなどみじんもなく、透徹した精神が隅々まで行き渡った名品を作り出しています。そしてそれはその後50年に渡り一切弛緩することなく続いてゆくことになります。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました。

自身のラベルによるものはクラシック、フラメンコそれぞれ一貫してワンモデルのみを製作。それ以外には工房品(「Para Casa Arcangel Fernandez」ラベル)としてバルベロ・イーホやマヌエル・カセレスらが製作を担当して出荷もしています。この二人はそれぞれ自身のオリジナルラベルでの製作も行っていますが、アルカンヘル工房品として出荷されたものも完全手工品として(ラベルには製作者の名前が明記されています)極めて高いクオリティのもので評価も高く、現在中古市場でも人気のアイテムとなっています。

アルカンヘルの造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 1971年製Usedの入荷です。 表面板松、横裏板インディアン・ローズウッド仕様で、おそらくフラメンコモデルとして出荷されたものですが、現在はクラシックとして使用されています。実際にここで聴かれるのは彼らしい音圧の自然な高さと迫力、濃密な音像、楽音としてのニュアンスをたっぷりと含んだ、クラシック演奏に誠にふさわしい響きとなっています。機能性においてもまたアルカンヘルならではの粘りと反発感をともなった発音で、それは旋律に独特のうねりを生み、自然に音楽が醸成されてゆくような感覚。そして和音での豊穣、単音での透徹、全体の有機的なバランス感なども素晴らしく、製作当時アルカンヘルわずか40の歳での作ですが、スペイン的音響設計の完成度と悠揚たる佇まいはすでに巨匠のものといえるでしょう。

フラメンコとしてのハードな使用によるものか表面板は全体に弾きキズや打痕、スクラッチ痕、ブリッジ下には1、2弦位置に弦とび跡などあり、一部はタッチアップ補修がされています。ブリッジ下からボトムにかけて板に若干の歪みを生じておりますが継続しての使用には問題ありません。上述のゴルペ板剥がしの際におそらくは表面板の再塗装が施された可能性があります。横裏板は衣服の摩擦あとなどの軽微なもののみですが、ネック裏は1~5フレット範囲で塗装の剥離や木部の摩耗が目立ちます。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定内、フレットは1~9フレットで、また指板も1~10フレットで摩耗していますがこちらも現状で演奏性に影響はありません。ネック形状は普通の厚みのDシェイプでフラットな加工がされています。弦高値は3.3/4.2㎜(1弦/6弦 12フレット)、サドルには1.5~2.5㎜の余剰がありますのでお好みに応じてさらに低く設定いただけます。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして左右対称5本のそれぞれが太く厚めに加工された扇状力木が中央に寄り添うように(ブリッジプレートの幅に収まるように)配置され、それらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄いパッチ板が貼られているという全体の配置。レゾナンスはF#~Gに設定されています。2本のクロージングバーの中央角に個体によって変化はありますが、これはアルカンヘルがフラメンコモデルで採用した基本構造となっています。またネック脚からサウンドホールにかけて(指板の13~19フレットの真下にあたる部分)にスリットが入っていますが、これはこの部分の板の可動性を確保するために製作時に施されているものでアルカンヘルギターの標準的な仕様であり、外的な要因によるものではありません。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. クラシック
001_020_arcangel_03_203_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2003年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.2mm /6弦 4.1mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。
マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。

少年時代は映画俳優志望で実際に数本の映画にも出演、13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターの演奏も始めます。相当な腕前だった彼は兵役を終えた頃にはプロギタリストとしての道を模索しますが、1954年、当時サントス・エルナンデス(1874~1943)の後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得てその工房に足繁く通うようになると、この名工にギター製作をすすめられ弟子となります。アルカンヘルは師バルベロの作るギターに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間に職人として成長してゆきます。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、唯一の弟子であったアルカンヘルはバルベロの残された注文分のギターをすべて製作した後、1957年に師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに自身の工房を設立。この開始時からアルカンヘルの職人としての充実度はすさまじいほどで、造作と音響の両方において若さゆえの甘さなどみじんもなく、透徹した精神が隅々まで行き渡った名品を作り出しています。そしてそれはその後50年に渡り一切弛緩することなく続いてゆくことになります。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました。

自身のラベルによるものはクラシック、フラメンコそれぞれ一貫してワンモデルのみを製作。それ以外には工房品(「Para Casa Arcangel Fernandez」ラベル)としてバルベロ・イーホやマヌエル・カセレスらが製作を担当して出荷もしています。この二人はそれぞれ自身のオリジナルラベルでの製作も行っていますが、アルカンヘル工房品として出荷されたものも完全手工品として(ラベルには製作者の名前が明記されています)極めて高いクオリティのもので評価も高く、現在中古市場でも人気のアイテムとなっています。

アルカンヘルの造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。

[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 2003年製クラシックモデル Usedの入荷です。彼は師であるバルベロ1世、さらにはさかのぼってサントス・エルナンデスから連なるマドリッドの正統な系譜に属するほとんど唯一と言ってよい製作家ですが、サントスが実験精神と多様性を展開しながら模索し、バルベロ1世がその音響を抽象性の高みにまで完成させた後、アルカンヘルはさらにそれを凝縮しギターという楽器の極点を目指すかのように妥協のない製作姿勢を貫きます。バルベロ1世においてはまだ数種のパターンが見られる設計も、アルカンヘルにおいてほぼ一つの設計で統一されます(フラメンコもほぼ同一の設計ですがクラシックとは力木の本数が1本異なるのみ)。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は6本が、センターに配置された1本を境として低音側に2本、高音側に3本配置され、ボトム部でそれらの先端を受け止めるようにハの字型のクロージングバーを設置、駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに補強プレートが貼られている、アルカンヘルのクラッシックモデルの定式の配置となっています。特徴的なのはこれらのバーや力木はそれぞれ通常のギターよりも太く高く、強固に作られており、「扇状」とはいってもほとんどお互いに平行に近い角度で、一番高音側の1本以外は駒板の幅に収まるように中央に寄せて設置されています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

十分な粘りを持った低音のストイックでしかし雄弁な身振りと表情、高音の凛として雑味のまったくない音像、そして全体にハカランダ材ゆえの透明感が加わり、これ以上ないほどの気品をまとった音響はいかにもクラシックに相応しく素晴らしい。堂々たる音圧があり、それはなにか大きなものが自然にそこに存在してるかのような独特なもので、いわゆる大音量のギターと言われるものがしばしば音が「増幅」されているような感触であるのとは異なり、あくまで楽器の自然な性質としての悠揚たる音圧がいかにもアルカンヘルらしい。

表面板のサウンドホール周りに細かな弾き傷、また2か所ほど小さく浅い打痕を部分補修した跡がありますがいずれも軽微なもので外観を損ねるほどではありません。横裏板は演奏時に胸の当たる部分に塗装ムラなどがあるほかは全体にきれいな状態です。割れなどの大きな修理履歴もありません。ネック裏は1~5フレット範囲の高音側に爪による塗装の摩耗がやや目立つほか、ヘッド裏の高音側にもおそらく糸巻つまみ操作の際に爪が接触したことによる傷があります。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでわずかに摩耗見られますが演奏性への影響はありません。弦高値は3.2/4.1mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.5~2.5mmの余剰があります。ネックの角度設定が良く、ネックシェイプも薄めのフラットなDシェイプで弦の張りは中庸なので現状でも左手はストレスを感じずに弾くことができますが、お好みに応じて弦高値を下げることは可能です。重量は1.60㎏。

表面板のちょうど1弦12~19フレットの真下部分にはスリットが入れてありますが(指板の下に隠れた部分なので表からは見えません)、これは指板と表面板が接するエリアの木の伸縮による割れ防止のために製作時に意図的に処理されたもので、出荷後に生じたものではありません。





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区分 輸入フラメンコ オールド
製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero hijo
モデル/品番 Model/No. パラ・カサ・アルカンヘル
001_021_barberohijo_03_173
弦長 Scale Length 656mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1973年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.3mm /6弦 2.8mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。


〔楽器情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ製作 Para Casa Arcangel Fernandez(アルカンヘル・フェルナンデス工房品)ラベルによる1973年製Used、フラメンコモデル ブランカ(白)の入荷です。彼がアルカンヘルの工房で職人として働き始めて(つまり彼が独立した製作家として活動を始めて)間もない頃の作で、しかも彼としては比較的珍しいフラメンコモデル。

表面板内部構造はサウンドホール上下1本ずつのハーモニックバー、センターに寄り添うように(サウンドホールの直径と駒板の幅に収まるようにして)設置された左右対称5本の扇状力木と、それらの先端をボトム部で受け止めるように2本のハの字型に設置されたクロージングバー、そして駒板位置には横幅いっぱいにパッチ板が貼られています。各力木は太めの加工で、これは2本のクロージングバーの角度には他のモデルとの相違があるものの、概ねアルカンヘル工房のスタンダードな仕様。レゾナンスはGの少し下で設定されています。

製作家初期の作とはいえ、楽器の造作、演奏性に関わるセッティング、音響的機能と表現力など、すでにスペインにおいてさえ凡百の職人を凌ぐ腕前とセンスが感じられるものとなっています。この工房らしい十分な反発感をともなった粘りのある発音ですが、師アルカンヘルの明暗の振り幅の大きいある種の厳しさを湛えた響きよりも、明朗さと柔和さが際立ったバルベロ・イーホの特性が出た響きとなっています。フラメンコとして必要な音量や反応、身振りにも全く不足なく、マドリッドらしい悠揚たる佇まいの一本。

製作から50年を経ており、フラメンコギターとしてのタフな使用により全体に弾き傷、打痕、掻き傷等多くみられます。表面板のブリッジ下からボトムにかけて数か所の割れ補修(内側よりパッチ補強あり)履歴、また横板はネックヒール両脇に木目に沿って15センチほどの割れ修理歴(内側よりパッチ補強あり)、また同じくくびれ部にも数か所の5~10㎝ほどの割れ修理歴(接着のみ)があります。指板はおそらく過去に調整された可能性があり、フレットも交換されていますので現状で適正値を維持、ネック自体も真っ直ぐの良好な状態です。またネック裏は再塗装が過去に施されておりきれいな状態です。弦高は現在値で2.3/2.8㎜(1弦/6弦 12フレット上)、サドルには0.5~1.0mmほどの余剰があります。糸巻はスペイン製のFusteroを装着、現在動作状況に問題ありません。全体の重量は1.43㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero hijo
モデル/品番 Model/No. パラ・カサ・アルカンヘル 
001_021_barberohijo_03_182
弦長 Scale Length 655mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1982年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。

[楽器情報]
マルセロ・バルベロ・イーホ製作 1982年製 クラシックモデルのUsed入荷致しました。過去に全面の再塗装が施されており、外観はとてもきれいな状態。表面板のサウンドホール周辺などの演奏時に指が触れる部分などは若干のキズがあり、駒板下の2弦位置には弦とびあと、その他小さな打痕数か所(再塗装の際にタッチアップ修正されたものと思われます)があるのみで、横裏板も衣服等による摩擦あとのみとなっています。割れなどの大きな修理歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットも1~3フレットでわずかに摩耗見られますが演奏性には全く問題ありません。ネック形状はDシェイプの普通の厚みで加工されています。弦の張りは中庸で、弦高値は2.8/4.0㎜(1弦/6弦 12フレット)サドル余剰は1.0~1.5㎜となっています。糸巻は出荷時のフステーロ製からGotoh 510シリーズのモデルに交換されています。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス J.F.Salvador Gimenez
モデル/品番 Model/No. トーレスモデル Torres model No.8
001_FSGimenez_02_196
弦長 Scale Length 654mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1996年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.7mm /6弦 3.4mm

[製作家情報]
フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス Juan Francisco Salvador Gimenez(1946~2010)スペイン、アンダルシア州アルメニアの La Canada de San Urbano 生まれ。ラベルには製作家名と共に「Bisnieto deTorres」と印刷されており、現在に至るクラシックギター製作の創始となり、その原型を作りあげた名工で同じアルメリア生まれのアントニオ・デ・トーレス(1817~1892)の曾孫であることが示されています。1959年、13歳のころから木工職人としての修行をはじめ、1973年の23歳の時には曾祖父の遺した型板を基にギター製作を開始。当時イギリスのSemley に工房を構えていた名工ホセ・ルイス・ロマニリョスのもとを何度か訪れ、製作に関する助言を受けています。トーレスのスタイルを踏襲し、なおも自身の研究を深めながらじっくり作られたギターには偉大なる曾祖父のそれとはまた異なる魅力があり、年間製作数がおよそ1~2本という寡作なブランドということもあって現在マーケットでは非常に珍しい楽器となっています。

[楽器情報]
フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス 製作 1996年 No.8 のUsed の入荷です。表面板の型、ヘッドシェイプ、ロゼッタやパーフリングなどの意匠などの外観、さらには内部構造においてもほぼ偉大なる曾祖父トーレスのものを踏襲したスタイルで作りあげた一本です。たっぷりと木質の触感をもった太い響きで、中低音から低音の位相がそのまま高音にまで接続しているような独特の音響感覚があります。スペイン的なクリアネスというよりも全体に渋めの音色で、ヴィンテージ風の落ち着いた佇まい。箱がしっかりと鳴っていながらも慎ましくまとまりのある、オーディトリアム的というよりはサロン的な響き方にはトーレスを思わせるところもあり、その自然な鳴りが魅力と言えるでしょう。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバーで、このうち下側のほうのバーは高音側と低音側に開口部が設けられています。ウェストから下は左右対称7本の扇状力木にそれらの先端をボトム部で受けとめるようにV字型に設置された2本のクロージングバー、そして駒板位置にはほぼ同じ面積の薄い補強板が貼られています。いちばん両外側それぞれ2本の扇状力木はサウンドホール下側ハーモニックバーの両開口部をくぐり抜けて、サウンドホールを囲む円形補強板の縁に達しています。それに加えてサウンドホール両側(高音側と低音側)にはちょうど近接する横板のカーブに沿うように1本ずつの短い力木を設置。オリジナルトーレスと異なる点はネック脚(ネックのボディ内側まで延長している部分)がサウンドホール上側のバーまで到達していること、駒板位置の補強板の設置ですが、この補強板は1枚板ではなく交差する扇状力木間でセパレートになっていることも特徴となっています。また上記以外にもサウンドホール下のハーモニックバーはその開口部分が長さ6cm以上に高さも8mmほどの大きなもので、ちょうど開口部の上部が穴の形に合わせてラウンド加工されており、横から見るとアーチ橋のように見えるようなバー形状をしていることなど、トーレスとの比較に限らず特徴的な部分が随所に見られます。レゾナンスはF#~Gに設定されています。
トーレスのハイスペックモデルの意匠を基にした豪奢なデザインのロゼッタ、ヘリンボーンや大胆な雷文模様のパーフリングをあしらっていますが、色味を茶とベージュに統一し、オリジナルが持つ威容よりもむしろ落ち着いた外観に着地させています。ヘッドはやはりトーレスの特徴的なデザイン。全体に飴色がかったセラック塗装で渋く仕上げてあります。

割れや改造等の大きな修理履歴はありません。演奏時に胸や腕の当たる場所などに塗装の擦れやムラ等があります。表面板全体の範囲に軽微な弾きキズ、横裏板は衣服等による細かな摩擦あとや演奏時に胸の当たる部分などに軽微な掻き傷はありますがいずれも外観を損ねるものではありません。ネック裏は高音側に爪による傷があり、一部で木地の露出があります。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでほんのわずかに摩摩耗見られますが演奏性に問題もありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ、糸巻はスペインの老舗ブランドFusteroを装着。弦高値は2.7/3.4mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.0~2.0mmの余剰があります。重量は1.52㎏。

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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez
モデル/品番 Model/No. Especial
001_JeronimoPF_02_178
弦長 Scale Length 670mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1978年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.9mm

[製作家情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez(1933~)スペイン、アンダルシア州のハエン県、マルモレホに生まれ、同地に工房を構える製作家。農家の子として育ちますが、9歳の時に大工の工房に弟子入りし(この工房ではしばしば地元の演奏家たちの楽器も修理していたようです)、ここで木工と装飾彫刻を学んでゆきます。幼少期からギターには興味を持っており、1950年代には独学でギターを作り始めています。それら初期の作の一つがフラメンコギタリストPepe Marchenaを通じてある数学教授兼コレクターのもとに渡り、その出来栄えに感動した彼は自身のコレクションから勉強のために銘器を貸し与えるとともに、フレッティングについての数学的な助言を与えるなどしています。1967年(1966年と記載している文献もあります)にはギター製作家として完全に独立して仕事をするようになりますが、ここに至るまでやはり全くの独学で製作技法を学んでいたものの、その木工技術の精密さ、音とデザインの独創性、すぐれた演奏性など楽器としてのトータルな完成度の高さによって評価と人気を得てゆくことになります。

1993年には自身の製先技法を詳細に記した著書「El Arte de un Guitarrero Espanol」を上梓しており、書中では大工工房でみっちりと修行した彼らしく木材の適正な伐採時期(彼によると1月の、満月から一日経った最初に欠ける日に伐採するのが最適だという)から極めてユニークな内部構造の設計についてなどが語られています。

彼のギターの特徴はまずその外観において、ヘッドと駒板の彫刻、厳選された木材の美しさ、やや大きめなサイズ感とその全体の比類の無い威容、エレガンスにまずはあると言えます。加えて内部構造ではアントニオ・デ・トーレスの伝統的なスペイン工法を土台としながら、より緻密で複雑な設計が為され、それは音響において彼がむしろアーティスティックな感性において追求し続けた音の丸み(redondez)を体現するものとして発想されているがゆえの、ある種数学的な有機性によって統一された極めて美しいものとなっています。またこうした独創性が決して発想の特異さのみに堕することなく、楽器として音楽的な豊かさに帰結しているところはやはり特筆すべきでしょう。

フラメンコとクラシックの両方を製作し、フラメンコではマノロ・サンルーカルらの名手が使用しそのカテゴリーでの名声が高まりますが、杉材の荘重な佇まいが印象的なクラシックがむしろ現在は人気のアイテムと言えるでしょう。付言すれば、イギリスのヘヴィメタルアーティストOzzy Osbourneの初期バンドメンバーであった夭折の天才ギタリストRandy Rhodes(彼は優れたメタルギタリストであると同時にクラシックの正統な教育も受けていました)が1979年製のヘロニモ・ペーニャ製作のクラシックモデルを愛用していたことで、ハードロックファンにはいまも伝説的かつ垂涎のアイテムの一つとなっています。

[楽器情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス製作、1978年製 Especial モデル。非常に状態の良い美品Usedが入荷致しました。このブランドの符牒とも言える尖塔形のヘッドシェイプではなく、トーレスを思わせるスタイルで彫刻のデザインも異なります。またラベルも羊皮紙の巻物を紐解いたようなレトロなデザインでこれも彼の通常モデルとは異なり、Especialモデルのみの仕様のようです。ヘッドと駒板などの、印象的ですがしかしぎりぎりのところで抑制されたデザインの彫刻や意匠、彼の面目躍如たる厳選された材(おそらくSequoia杉を使用した表面板の赤みの深さ、横裏板は野趣溢れる中南米ローズウッドの組み合わせ)の美しさ、たっぷりとした容量のあるボディながらしかしスマートさを感じさせるきりっとした外観がやはり素晴らしい。指板エンド部分もささやかな木彫が施され、サウンドホールラベルを慎ましく引き立てていることも特筆すべき点でしょう。

実に特徴的な内部構造を持ったギターです。基本となるのはトーレス的なハーモニックバーと扇状力木の組み合わせ。サウンドホール上下に一本ずつのかなり強固なハーモニックバーを設置していますが、このうち下側のほうのバーはサウンドホールの真下部分を頂点として大きくネック方向に湾曲して設置されています。またネック脚を貫通するようにして1本、そしてネック脚と上側ハーモニックバーとの間にも1本の短くやや繊細な造りのバーを設置。下側ハーモニックバーの低音側のほぼくびれに近い部分からは同じように強固な造りのバーが横板に向かって斜めに下がってゆくようにしかもやはり湾曲して設置されています。サウンドホール周りにはまず一枚の補強板が貼られた上に高音側と低音側それぞれに一枚ずつの幅の狭い補強板が貼られているという二層構造。そしてボディ下部は左右対称5本の扇状力木と3本の等間隔に設置されたバー(これらはハーモニックバーよりも細く低い形状)とが交差しており、そのグリッド状になった枡目の一つ一つに対角線を結ぶようにしてX状の力木が設置されています。この小さなX状力木はサウンドホールの高音側と低音側にも(補強板縁から横板との範囲を覆うように)設置されています。これらXの延長線をつなげてゆくとちょうど表面板下部全体がモダンギターの特徴的な構造の一つラティスブレーシングと同じような格子状配置になるのが興味深い(ちなみにオーストラリアの製作家Greg Smallman が格子状力木を実用化したのも1970年代後半であり、名手ジョン・ウィリアムスが使用したのが1981年製で世界中に認知されるのは1980年代以降であるから、ヘロニモ・ペーニャとスモールマンの直接の影響関係は考えにくいのですが、両者の同時代的な進歩的精神の偶然の一致はギターの製作史を俯瞰してみると非常に象徴的なものを感じさせもします)。また裏板には両横板を繋ぐ計5本のバーと、センターの接ぎ部分にやはり二層構造で補強プレートが設置されている他、高音側と低音側のボトムからネック付け根までを繋ぐ各一本の補強板(裏板と同じ素材で作られている)がほんのわずかに湾曲して設置されてています。レゾナンスはF#とGの間に設定されています。

表面板のはスタンダードなサイズですが、ボディ厚みがアッパー部で10.6cm、ボトム部で11cmあるその容量の大きさと、木材の性質を十全に活かした響き。ふっくらとした奥行きを持ち、レゾナンスが低めながら低音に偏ることがなくむしろ高音域に渡るまで全体に整った、そして非常に洗練された統一感があり、構造的に格子状力木と近似しているせいか、弾性感をともなった、表面板から直に立ち上がってくるような発音が心地よい。音量はしかしモダンギターのような過度に増幅されたような感覚はなく、あくまでも自然に豊かに響きます。演奏において、特に高音の輪郭のはっきりした艶やかな音像が、十分なサスティーンと奥行きを持ちながらまるで形の整った玉のように連なってゆくのがなんとも魅力的で、それを低音の(低音自体も非常に引き締まった音像なのですが)たっぷりした響きが支えるような全体の音響はやはりスペインならではと言えるでしょう。

(コンディションについて)
表面板は駒板下1弦側に弦とび跡がありますが、その他は指板脇に数か所の軽微なスクラッチあとと衣服等による微細な摩擦あとのみで、横裏板もほぼ無傷に近く、年式を考慮すると全体に非常な美品と言える一本。割れ等の大きな修理や改造等の履歴はありません。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットも適正値、糸巻きはスペインの老舗ブランドFusteroを装着し、こちらも動作状況に問題ありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ。ネックの差し込み角、ブリッジの設定などが絶妙で、670㎜の長いスケールを全く感じさせてない左手の演奏性。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)で、サドル余剰は0.5~1.0mm。弦の張りはスケールの割には中庸からむしろ弱めで、この点でも左手のストレスが軽減されています。重量は1.9㎏。


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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ペドロ・バルブエナⅠ世 Pedro Contreras Valbuena
モデル/品番 Model/No. アルカンヘル工房品
001_Pbalbuena_1_02_192
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1992年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option アランフェスケースシルバー
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 3.8mm

[製作家情報]
ペドロ・コントレラス・バルブエナ Pedro Contreras Valbuena(1937~2007)スペイン、アリカンテに生まれる。1951年にマドリッドのホセ・ラミレス2世の工房に徒弟として入り製作を学びますが、1956年に兄弟のAlfonso Contreras Valbuenaとともにブラジルに渡り、同地で工房を開きます(ただしこの時期はDi Giorgio や Gianini といった量産ブランドで製作することのほうが主だったようです)。ラミレス2世が1957年に亡くなりラミレス3世が工房を引き継いだ後の1962年にはマドリッドに戻って再びラミレス工房で働くようになり、ここで彼は徒弟ではなく熟練職人(いわゆるマスタークラフツマン)の一人として同ブランドのフラッグシップモデルである1A を製作、そのギターには「PC」のイニシャル刻印を許されています。ラミレスから独立後1986年には同じマドリッドに工房を開き、自身のラベルでの製作を開始します。これに先立つ3年前には息子のPedro Contreras Perez が父のもとで修行を始めており、工房は実質親子でスタートしたことになります。また彼はアルカンヘル・フェルナンデスとも交流があり、アルカンヘルの求めに応じ工房モデルを製作したこともあります(有名なPara Casa Arcangel のラベルとは異なるラベルデザインを使用)。一部の文献ではあの名工マルセロ・バルベロ1世とも生前関わりがあった(工房を手伝った)との記述が見られますが詳細は不明。しかしながらバルベロ1世が亡くなった1956年にバルブエナはラミレスの工房を辞し、ブラジルに向かうという選んでいるということに、何か彼のターニングポイント的な意味を感じさせる興味深い一致を見出すことも可能でしょう。

バルブエナはもともとトーレスやサントス・エルナンデスに深い影響を受けており、また彼自身の資質からか、ラミレスの1Aでも彼自身のオリジナルにおいても色を抑えた落ち着いた音の佇まいがあり、同時にマドリッドらしい力強さが自然に同居した魅力的な楽器で、日本でも生前とても人気のあったブランドです。


[楽器情報]
ペドロ・コントレラス・バルブエナ1世の1992年製クラシックモデル Usedです。ラベルには‘Pedro Valbuena construida para Arcangel Fernandez’ とあり、バルブエナ自身の名前の方が大きく印刷されていますがいわゆるアルカンヘル工房品として製作された1本。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、このうち下側バーの中央から高音側横板のふくらみ部に向かって斜めに下がってゆくように設置されたもう一本のバー(トレブルバー)、扇状力木はほぼ平行に近い角度で5本がちょうど駒板の幅の範囲に収まるように中央に寄り添って配置されており、これらの先端をボトム部で受けとめるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置には薄い補強プレートが貼られているという設計。レゾナンスはAの少し下に設定されています。やはりアルカンヘルの設計に準拠したものと思われますが、アルカンヘルでは扇状力木が高音側にもう一本が設置され計6本(フラメンコモデルでは5本)なのに対し、ここでは力木の代わりにトレブルバーが設置されていることが大きな違いと言えます。さらには2本のクロージングバーは高音側のほうが短く加工されており、これも他のモデルでは見られない設計。

音もアルカンヘル的な硬く粘りを伴った発音ですが、アルカンヘルのような悠揚たる響きというよりもどこか慎ましく、繊細な翳さえも含んだバルブエナらしさが聴かれる音となっています。また同時に彼が働いていたラミレス3世のギターのようにやや高音が前景化するような音響バランスと、発音における弾性感よりも木を叩いたような感触が特徴となっており、どちらかと言えばラミレスPCスタンプの松仕様のギターと言ったほうがニュアンスが伝わるかもしれません。

全体に軽微なキズのみで割れ等の大きな修理履歴もなく良好な状態です。表面板のサウンドホール高音側には脱着式のゴルペ板を貼って使用していた跡がほんのわずかに残っており、サウンドホール低音側やボトム近くなどに数か所の打痕を部分補修した跡、ブリッジ下部分に弦交換時についた傷などをタッチアップした跡がありますがいずれも外観を損ねるほどではありません。裏板の上部低音側に横に5cmほどの掻き傷を部分補修した跡がありますが、仕上げが粗くやや目立ちますが継続しての使用には全く問題ありません。ネックは良好な状態、フレットは1~12フレットで摩耗が見られ特に1~8フレットで顕著ですが現状で音と演奏性に影響はないレベルです。ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。弦高値は3.1/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~2.0mmあるのでお好みに応じてさらに低く設定することが可能です。糸巻はスペインの老舗ブランド Fustero製を装着、こちらも動作状況に問題ありません。


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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ラファウ・トゥルコウィアック Rafal Turkowiak
モデル/品番 Model/No. The Queen of Guitars No.123
001_TurkowiakR_02_216
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ポーランド Poland
製作年 Year 2016年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides ウォールナット合板 Walnut
付属品 Option ハードケース黒、オリジナル証明書、ブランドロゴ入りクロス
備考 Notes
ネック:メイプル
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:Der Jung
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 3.9mm

[製作家情報]                                  
ラファウ・トゥルコウィアック Rafal Turkowiak 1966年 ポーランド生まれ。父親は大工で、幼少より自然と木工への興味を深めていたようです。ギターの演奏も能くし、15歳で地元の音楽学校に入学しますが3年のカリキュラムをわずか半年で終了してしまうなど早くから才能を発揮していました。家庭環境の中から培った木工技術と演奏者として自然に湧きおこる楽器への深い興味とが合わさり、彼は当初からきわめて実用に即した演奏性と音響とを追求した製作を試みるようになります。現在クラシック、アコースティック、ウクレレからマンドセロまで広範なラインナップを旺盛に展開していますが、それらは全てデザイン、木材のセレクト、細かな仕様に至るまできわめてユニークなものとなっており、とりわけギターという楽器の音響効果におけるいくつもの「innovative」な試みを具現化した設計は評判となり、現在ヨーロッパを中心に人気が高まっています。

[楽器情報]                                    
ラファウ・トゥルコウィアック製作のクラシックギター、‘The Queen of Guitars’ 2016年製 No.123 Usedの入荷です。この製作家独自の発想によるいくつもの新しい音響効果の試みが採用されたモデル。それらはブランドの公式なアナウンスによれば、ネック内部に搭載された音響管によりボディとネックの相互の共振性を高める<Acoustic Tubes>(12フレットより上のレイズドフィンガーボード加工になった指板サイド部分に特徴的な開口部が設けられ、ネック内で発生する音圧をそこから放出するとのこと)や、弦の張力による表面板へのストレスを軽減し、表面板の振動効果を最大限に発揮させる<Wave Resonator>システムなどが特徴として挙げられています。そしてまた表面板の力木構造や、人間工学的な要請と審美性を融合したボディデザイン、野趣溢れるエキゾチック材の使用による外観などもやはりこのブランドの他にはない個性として特筆すべきでしょう。

表面板力木配置はシンプルな中に精緻な工夫がみられるもので、その純粋なオリジンとなるものはトーレス的な扇状力木構造ですが、そこから発展させ左右非対称の格子状力木構造へと昇華させています。サウンドホール上側に通常の平坦な形状のハーモニックバー、下側には上部がゆるやかな三つの山型になった1本のハーモニックバーを設置。この2本のバーの間、そしてネック付け根と上側バーとの間を各2本の力木が高音側と低音側に1本ずつ、それぞれ横板のカーブの方向に沿うようにして設置されており、そのため表面板上部はこれら計4本の力木が大きく菱形を形成しているような配置になっています。ウェストより下は幅約8㎜、高さ1~2mmほどの薄く平べったい形状の力木による格子状配置で、いわゆるオーストラリア派(グレッグ・スモールマンに代表される)のLattice ブレーシング構造とは異なり、基本的に表面板木目に沿った力木とそれとほぼ垂直に交差する力木とによって形成される碁盤の目のような配置になっています。これはしかし均質な格子を形成しているわけではなく、実際には高音側と低音側とでゆるやかな非対称を形成しており、この自在な厳密さにこそ製作家の特徴が現れていると言えます。まず表面板木目の方向には計6本が設置されており(ほんのわずかに扇状配置となっている)、このうち5本が駒板の幅に収まるようにしてほぼ平行に近い角度で、残りの一本がやや離れて高音側に設置。そしてこれらにほぼ垂直に交差するようにして計7本の力木が横幅いっぱいに表面板下部をまんべんなく覆うようにして設置されています。サウンドホール下のハーモニックバーとこれら7本の横の力木もやはり厳密に木目と垂直に設置されているわけではなく、低音側は間隔を広く、高音側にいくにしたがってわずかに狭くなっていゆくように配置されています。さらに駒板の位置にはほぼ同じ面積で3~4㎜厚の板が力木の上に乗っかるようにして設置されており、駒板部分の補強効果のほか、先述のWave Resonatorシステムの一環としての役割も担っていると思われます。また彼は他のモデルでは表面板と横板との接合部にペオネス(小型の木製ブロック)またはそれに類する補強材を一切設置しない斬新な組み立て方法を採用していましたが、ここではライニングを設置しています(ただし珍しい木目の、通常この部分には使用しないような木材を使用しています)。また裏板はバーを一本も設置していないのですが、横裏板もまた製作家独自の発案による方式(High Tech Press)で製材されたもので、音響効果と耐性を飛躍的に向上させたとしています。レゾナンスはEの少し上に設定されています。

撥弦の瞬間から一切の曖昧さのない整った音が現れます。同一弦において、また各弦間においても音像は非常な洗練により均質化されており、例えば和音におけるひとつの音の塊としての統一感とアルペジオにおける明確な分離は比類がないと言えるほど。全体は同一の位相で鳴っているような音響ですが平板な印象はなく、低音のどっしりとした重心感覚が全体をバランス良く構築し、響きには奥行きもあります。サスティーンでは音の密度が保持され、発音と終止の瞬間にはきりっとした身振りがあり、さらに磨かれたように艶やかな音なので曲の演奏は自然とすっきりとした上品な表情になります。こうした響きと音における発音特性は例えば対位法的な旋律においては明確な遠近感を形成し、スラーやスタッカートやトリルなどの装飾的旋律は明晰な身振りを生み出します。

弦の振動が木の声となって湧出するようなスペインギター的な音響とは異なり、弦の振動が様々なプロセスを経て精製されたような音で、ある種即物的(あるいは純音楽的)とさえいえるような音響特性を持っています。彼の発明したシステムがこの音の精製プロセスを十全に統御しているがゆえなのでしょうか、音色に関してはスタティックなところがあり、タッチに対する表情の変化などは限定的なものとなっています。しっかりした音圧を備えていますが、モダンギター的な大音量というわけではなく、あくまで自然な鳴りとしての豊かさが追及されているところも彼の性質によるものでしょう。

このブランドはまた個性的な杢目の材によるexotic な外観が特徴ですが、本器も横裏板には印象的なカリフォルニア・ウォルナット・バール材を使用、裏板はアーチ加工が施されています。横裏板内側にはスプルース材を貼り付けた二重仕様。また表面板はアルパインスプルースで右肘を当てる部分には黒檀によるアームレストを模したような傾斜加工がされています。ロゼッタは黒檀と天然黒真珠が象嵌され、ブランドロゴのクラウンマークがあしらわれています。塗装はこれも製作家により独自に調合されたグロスフィニッシュ加工。全体は僅かなスクラッチあとのみの非常にきれいな状態で割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックはやや順反り、フレットは適正値を維持しています。ネックはDシェイプを基本として高音側をやや薄くした形状。指板は高音側20フレット仕様でレイズドフィンガーボードとなっており、ハイフレットでの左手の演奏性が追及されています。弦高値は3.0/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~3.0mmあります。糸巻はDer Jung 製で動作状況に問題ありません。重量は1.77㎏。オリジナル証明書付き。


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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_velazquezM_03_190_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アメリカ U.S.A
製作年 Year 1990年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 3.7mm /6弦 3.9mm

[製作家情報]
マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez(1917~2014)
1917年プエルトリコ生まれ。母方の祖父母はスペイン人で、名工サントス・エルナンデスの縁戚にあたります。農業に従事する家系に生まれながらも彼は家具職人として修業を始め、同時にギターも製作するようになります。16歳で最初のギターを製作し、その頃に製作したギターの完成度の高さに感銘を受けた地元のある音楽家からニューヨーク行きを勧められ、1941年移住。第二次大戦の時期には造船所で木工に携わります。地道に製作を続けていた彼のギターは1940年代後半から地元の名演奏家たちに愛用されるようになり、その後はアンドレス・セゴビアが彼のギターを称賛するなど、瞬く間に名声を獲得してゆきます。1972年にプエルトリコに戻りそこで工房を設立、1982年には再びアメリカに戻りヴァージニア州で9年間過ごした後、フロリダに移り製作を続けます。この頃から息子のアルフレッドも製作に参加するようになり、2014年にマヌエルが亡くなった後は彼が工房を引き継いでいます。

もともとマヌエルの製作美学の根底にはトーレス、ハウザー、サントスらのトラディショナルなものへの憧憬があり、特にハウザーの影響が濃くあらわれた1950年代から60年代のものは高い評価を得ています。1970年代から1980年代までの楽器はユーザーの需要もありボディが大型化し、ちょうど人気の絶頂にあったラミレス的な要素を感じさせる力強く豊かな音量を備えたギターになっています。その後はもとのハウザースタイルを基調とした伝統的スタイルへと回帰し、2014年にその生涯を閉じるまでアメリカ最大の巨匠と崇敬されました。

[楽器情報]
マヌエル・ベラスケス 1990年製 Usedの入荷です。1980年代の大きめなボディから彼の元のスタイルであるハウザー的なボディと音響に回帰したころのもので、このブランドならではの良質な材を使用し、ラッカー仕上げによる全体に品のある外観がまずはさすがの仕上がり。表面板の力木構造はしかし純粋なハウザースタイルとは少し異なり、サウンドホール上(ネック側)に2本、下(ブリッジ側)に一本のハーモニックバーが配置され、その下側の方のバー中央(ちょうどサウンドホールの真下の位置)から高音側の横板に向かって斜めに伸びるもう一本のいわゆるトレブルバーを配し、7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、そしてブリッジ位置には駒板と同じ幅の薄いプレート板が貼ってあるという全体の構造。補強板はサウンドホールを囲むように高音側と低音側、ネック脚との間にもそれぞれ角形のものが1枚ずつ貼られており、トレブルバーの設置以外はほぼハウザーの有名なセゴビアモデルと同じ配置となっています。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

音響もハウザー的で、一つ一つの音が洗練され均質化されており、全体のバランスも整っています。かなり硬さと粘りを伴った発音の感触で、繊細なタッチにもしっかりと反応しますが、十分な音圧で弾き切るには強めの(しかし力任せということでは決してなく)しかるべきタッチが必要とされます。硬質で艶やかな音像は音色のヴァリエーションこそ控えめなものの、その繊細な揺らぎの中に表情の機微を表出する深いポテンシャルを有しています。

数か所に小さく軽微な打痕があるほかは衣服等の摩擦などによるわずかな擦りあとのみの綺麗な状態です。ネック、フレット、糸巻など演奏性に関わる部分も問題ありません。ネック裏はおそらくラッカーによる再塗装が施されており2フレット部分に傷を修整した黒ずみが見られます。ネックシェイプは薄いDシェイプでフラットな形状に加工されています。重量は1.70㎏。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。


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