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輸入フラメンコ オールド   写真をクリックするとさらに大きなカタログ写真が表示されます。
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. フラメンコ ブランカ No.71
001_020_arcangel_1_03_159_01
弦長 Scale Length 658mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1959年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.0mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。少年時代には映画俳優になることを夢見て、実際に数本の映画にも出演したほど。しかし13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターを弾くようになると忽ち演奏の腕前を上げていった彼は、兵役を終えたのちプロギタリストのとしての道を模索します。そのような折の1954年、当時サントス・エルナンデスの後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得て、その工房に足繁く通うようになります。この名工にギター製作をすすめられ、やがて唯一の弟子として工房に入ることになり、アルカンヘルはギタリストと製作とを両立する生活を当初はしていました。しかし自身も家具製作で培った高い木工技術の持ち主であり同時に優れたギタリストであるアルカンヘルは、師の作るギターの音そして工法とに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間にバルベロの片腕となるまでに成長します。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、アルカンヘルはバルベロの残された注文分をすべて製作した後、師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに1957年自身の工房を立ち上げます。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に製作を続けていました。

造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス製作、フラメンコブランカ 1959年 No.71 Usedの入荷です。この製作家のフラメンコモデルについて語るとき、やはりサントス・エルナンデスから師であるマルセロ・バルベロ1世、そして自身へと繋がる系譜が自然に思い起こされます。この三人の名工によって作られたそれぞれのギターが持つストイックなまでの気品と力強さ、妙なる表情の変化と深みはスペインギターのエッセンスを体現しており、21世紀に至るまでアルカンヘルがそれを継承したことの功績は計り知れないものがあります。本器1959年製はアルカンヘルが独立してわずか2年目の作ですが、フラメンコとしての機能性を完璧と言えるレベルで備えており、多くを含みながら語り過ぎず悠然とした響き、といった彼の揺るぎのない個性が深く刻印された逸品となっています。

アルカンヘルにおける音圧の高さは独特なもので、増幅された音量というよりは木のごく自然な性質としての響きの大きさをそのまま音に純化したようなマッシヴな質量感があり、何か大きなものがそこに存在してるかのような異様な迫力があります(これは彼のクラシックモデルにも同様に言えます)。そしてその音色もまた極度に洗練され、ストイックなまでに渋いのですが表情の変化は実は繊細かつ多彩。発音における反応性、サスティーン、ダイナミズムも申し分なく、このジャンル特有の身振り(リズムの強さと速さ、旋律のうねりなど)に十全に対応する機能性の高さ、その絶妙の着地点はさすがに自身すぐれたフラメンコギタリストであった彼ならでは。音像はシャープ過ぎず、むしろ現代のフラメンコギターよりもやや角の取れた感触でこれがまた耳に心地よく魅力的。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして左右対称5本のそれぞれが太く厚めに加工された扇状力木が中央に寄り添うように(ブリッジプレートの幅に収まるように)配置され、それらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄いパッチ板が貼られているという全体の配置。レゾナンスはF~F#に設定されています。2本のクロージングバーの中央角に変化はありますが、これはアルカンヘルがフラメンコモデルで変わらず採用し続けた基本構造となっています。

全面セラックのよる再塗装が施されています(出荷時のオリジナル仕様もセラック塗装)。表面板は指板両脇歴に各一か所とサウンドホールからブリッジプレートにかけてに一か所(内側よりパッチ補修あり、表側はゴルペ板の下になります)の割れ補修歴があります。また裏板センターよりやや高音側寄りのボトム部分に割れ補修歴があります。ブリッジプレート下1弦位置に弦とび補修あと、その他全体に細かな弾きキズ、スクラッチ痕などありますが年代考慮すると良好と言える状態。板は経年による歪みなどがほとんどなく、ネックは真っ直ぐで、フレットも適正値を維持しています。ネック形状はフラットな加工がされた薄めのDシェイプ。弦高値は2.0/3.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰1.0~1.5mmとなっています。糸巻はスペインの老舗ブランド フステーロを装着しています。






定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero hijo
モデル/品番 Model/No. パラ・カサ・アルカンヘル
001_021_barberohijo_03_173
弦長 Scale Length 656mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1973年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.3mm /6弦 2.8mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。


〔楽器情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ製作 Para Casa Arcangel Fernandez(アルカンヘル・フェルナンデス工房品)ラベルによる1973年製Used、フラメンコモデル ブランカ(白)の入荷です。彼がアルカンヘルの工房で職人として働き始めて(つまり彼が独立した製作家として活動を始めて)間もない頃の作で、しかも彼としては比較的珍しいフラメンコモデル。

表面板内部構造はサウンドホール上下1本ずつのハーモニックバー、センターに寄り添うように(サウンドホールの直径と駒板の幅に収まるようにして)設置された左右対称5本の扇状力木と、それらの先端をボトム部で受け止めるように2本のハの字型に設置されたクロージングバー、そして駒板位置には横幅いっぱいにパッチ板が貼られています。各力木は太めの加工で、これは2本のクロージングバーの角度には他のモデルとの相違があるものの、概ねアルカンヘル工房のスタンダードな仕様。レゾナンスはGの少し下で設定されています。

製作家初期の作とはいえ、楽器の造作、演奏性に関わるセッティング、音響的機能と表現力など、すでにスペインにおいてさえ凡百の職人を凌ぐ腕前とセンスが感じられるものとなっています。この工房らしい十分な反発感をともなった粘りのある発音ですが、師アルカンヘルの明暗の振り幅の大きいある種の厳しさを湛えた響きよりも、明朗さと柔和さが際立ったバルベロ・イーホの特性が出た響きとなっています。フラメンコとして必要な音量や反応、身振りにも全く不足なく、マドリッドらしい悠揚たる佇まいの一本。

製作から50年を経ており、フラメンコギターとしてのタフな使用により全体に弾き傷、打痕、掻き傷等多くみられます。表面板のブリッジ下からボトムにかけて数か所の割れ補修(内側よりパッチ補強あり)履歴、また横板はネックヒール両脇に木目に沿って15センチほどの割れ修理歴(内側よりパッチ補強あり)、また同じくくびれ部にも数か所の5~10㎝ほどの割れ修理歴(接着のみ)があります。指板はおそらく過去に調整された可能性があり、フレットも交換されていますので現状で適正値を維持、ネック自体も真っ直ぐの良好な状態です。またネック裏は再塗装が過去に施されておりきれいな状態です。弦高は現在値で2.3/2.8㎜(1弦/6弦 12フレット上)、サドルには0.5~1.0mmほどの余剰があります。糸巻はスペイン製のFusteroを装着、現在動作状況に問題ありません。全体の重量は1.43㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ Sobrinos de Domingo Esteso
モデル/品番 Model/No. Flamenco Blanca
010_001_conde_02_173_1845
弦長 Scale Length 667mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1973年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:木ペグ
弦 高:1弦 2.5mm /6弦 3.0mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。


[楽器情報]
コンデ・エルマノス グラヴィーナ工房 1973年製 フラメンコブランカ(白)「ソブリ―ノス・デ・ドミンゴ・エステソ」ラベルの一本が入荷致しました。かなりハードに弾き込まれてきたことをうかがわせ、表面板、横板、裏板ともに割れ補修履歴多数あり、特に横板はネックヒール部から両肩全体にかけて、低音側くびれ部分、そしてボトム部とそれぞれかなりの広範囲で複数の割れが生じた形跡があります。これらはすべて内側よりしっかりとパッチ当て補修が施されており、現状で継続しての使用には問題はありません。また全体はおそらく再塗装が施されておりますが、現状でも弾き傷や打痕等がかなり見られるほか塗装全体に細かなウェザーチェック(塗装のひび割れ)が生じています。ネックは真っ直ぐの状態でフレットも現状適正値を維持しています。糸巻はもともとはおそらくスペインのブランドFusteroが装着されていたものと思われますが、取り外した後に糸倉を埋め木して新たに木ペグ(ギア式ではなくフリクションタイプ)が装着されています。

表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと1枚の補強板、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、くびれ部より下は左右対称7本の扇状力木とこれらの先端をボトム付近で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー。レゾナンスはFの少し下に設定されています。

もともと楽器自体が持っているポテンシャルと木ペグ仕様にしたこととの相乗効果からか、発音の速さと音圧の高さがきわだっています。音自体にはどこか柔らかな感触がありますが、各音の分離がよく、非常なドライブ感が魅力の一本。ネックは薄めのDシェイプでコンパクトなグリップ感。重量は1.23㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 コンデ・エルマノス Conde Hermanos(Gravina)
モデル/品番 Model/No. パコ・デ・ルシアモデル(グラヴィーナ工房)
010_001_conde_02_190
弦長 Scale Length 663mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1990年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.1mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。

〔楽器情報〕
コンデ・エルマノス グラビーナ工房 1990年製 「パコ・デ・ルシア」モデル Used の入荷です。横裏板にインディアンローズウッドを使用したいわゆるフラメンコ ネグラ(黒)モデル。通常のブランドラベル下の空白部分に大きく手書きの「Paco de Lucia」のプリントがされており、これは同様のモデルを製作していたフェリーペ工房のギターとは異なるデザインでグラビーナに特有のもの。この稀代の天才ギタリストとコンデとの関わりは1960年代にまでさかのぼり、横裏板に伝統的なシープレス材ではなくローズウッド材を使用したモデルをパコはその後も使用し続け、グラビーナ工房のファウスティーノが存命中の80年代までコンスタントに同モデルを購入しています。そのためファンの間ではパコモデルとい言えばグラビーナ製という評価もあるほどで、ファウスティーノのドミンゴ・エステソから続く正統性の議論と相まってブランドの歴史を飾る最も重要なトピックの一つとなっています。

表面板内部構造はシンプルながら実に特徴的なもの。サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと1枚の補強プレート、下側(ブリッジ側)には低音側から高音側に向かってやや斜めに下がってゆくように設置された1本のハーモニックバーを設置。そしてウェストから下は計7本の力木が設置されているのですが、扇状形ではなくほぼ平行に、しかも表面板の木目に沿ってではなくボトムからネック方向高音側寄りにわずかに斜めにして設置されており(センターのみ表面板中央の接合箇所に合わせて設置されているため他の6本と角度が異なります)、センターの1本は2センチほどのかなり幅広の形状、そのすぐ両脇のものはサウンドホール下のバーを貫通して上側バーにまで到達しています。このようなセンター両脇の力木がバーを貫通する設計は他の例えばA26 モデルなどでも見られ定型化しているものの、このモデルにおける7本の配置設計は極めて独特なものとなっています。レゾナンスはFの少し下となっています。

コンデらしい硬めで粘りのある発音ですが、このブランドのその後もギターに聴かれるような即物的なまでに凝縮されたような音よりも、倍音が豊かで奥行きがあり、経年による変化も相乗してかわずかに柔和な感触の加わった響きとなっています。また控えめながらもロマンティックな表情もまた後のこのブランドでは聴くことのできない特徴となっており、もちろんフラメンコとしての迫力の表出、うねりのある身振り各音の反応と分離も優れており、モデル名に恥じない1本となっています。

割れなどの大きな修理履歴はありませんが、表面板はかなり弾き込まれているため全体に弾き傷や打痕等あり、サウンドホール周辺は木地が露出しています。ゴルペ板はおそらく貼り替えられていますが、未装着で使用されていた時期があったようで現状でゴルペ板下に多くの傷(木地露出部分含む)があります。横裏板も年代相応に衣服の摩擦他傷があります。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは全体にわずかに摩耗していますが演奏性には問題ありません。ネック形状は丸みのあるDシェイプで普通の厚みに加工、弦高値は2.6/3.1mmでサドル余剰は2.5~3.0mmあります。糸巻はスペイン製Fustero を装着しておりこちらも現状で機能的に問題ありません。全体の重量は1.58㎏。


商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 コンデ・エルマノス Conde Hermanos(Gravina)演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. A-26(グラヴィーナ工房)
010_001_conde_02_199_02
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1999年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース(Bam)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.2mm/6弦 2.5mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。

〔楽器情報〕
コンデ・エルマノス Gravina工房によるモデルA26(ラベルに明記はされていませんが各仕様のグレードよりカテゴライズされます) 1999年Usedが入荷致しました。このブランドのブランカの最上位機種で、トレードマークとなっている、闘牛をモチーフにしたと言われるMedia Lunaヘッドシェイプ、ステージ映えする濃いオレンジ色で仕上げられた塗装、独特の硬くそして粘りのある発音など外観と音響の両方でギタリストやファンに与えた印象は深く、まさにフラメンコギター全体でも定番中の定番とされているモデルです。

このブランドの起点となる名工ドミンゴ・エステソの工房を引継ぎ、長兄としてエステソ本人の薫陶を最も深く受けたファウスティーノが経営するグラヴィーナ工房は、やはりファンにとっては3つの工房の中でもとりわけ特別な位置付けがされているようです。本作はそのグラヴィーナ工房作で、ファウスティーノ亡きあと10年以上が経過しているものの、どこか良き古きものの感触を残した作風。それは例えば時代のニーズに柔軟に対応し充実したマーケット展開を行っていったフェリーペ工房のいかにも新しい感覚とは異なるものだと言えるでしょう。

十分な音圧と、軽い反発感を伴いながら素早く跳ね返ってくるようなコンデならではの発音で、粘りのある響きは旋律に自然なうねりを生み出して、それがいかにもフラメンコ的なニュアンスを湧出します。音色もまたコンデ特有の、硬い天然樹脂の塊のような独特の艶と濃密さをもった音像で、単音そしてラスゲヤードにおけるマッシヴな迫力が素晴らしい。2000年代に入ってからのこの工房のものはやや音質も発音も硬すぎるものが多くなり、往時と比較すると決して良質とは言えないものも多く出荷されてしまうのですが、本作1999年製はストレスのない演奏性や音全体のバランスという点で実に円満に本来のブランドクオリティを備えた一本となっています。

表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に長短2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、そして左右対称5本の扇状力木がほぼ平行に近い角度でお互いに十分に間隔をとって設置されており、クロージングバーや駒板位置の補強プレートはなく、極めてシンプルな構造となっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。

割れ等の大きな修理履歴はありません。数か所に小さく浅い打痕等があるのみで、25年を経過したフラメンコとして状態はとても良好と言えます。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットはほんのわずかに摩耗見られますが適正値の範囲内です。ネック形状は薄くフラットに加工されたDシェイプ。弦高は2.2/2.5mm(1弦/6弦 12フレット)に設定されています。糸巻はGotoh製に交換されており、こちらも現状で機能にもんだいありません。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ Sobrinos de Domingo Esteso演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. Flamenco Blanca
010_001_conde_03_170
弦長 Scale Length 662mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1970年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 3.6mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。

〔楽器情報〕
コンデ・エルマノスの「Sobrinos~」ラベル(「Conde」の直筆サインあり)による1970年製作のUsed、このブランドとしてはとても珍しい、杉材を表面板に使用したモデルです。おそらく同時期に隆盛を誇っていたホセ・ラミレスを意識してか、またはクライアントの求めに応じてイレギュラーに製作した一本かと思われますが、異質な要素を組み合わせることでこのブランドの潜在的なポテンシャルを引き出しており、実に魅力的な音に着地しています。

コンデギターと言えば特に1980年代以降は硬質で強い粘りを持ったストイックな音がブランドの個性となっていきますが、それ以前の時期はオールドスパニッシュ的な木質感たっぷりの響きで、円満なフラメンコギターとなっていました。この1970年製でもやはりフラメンコらしいキレの良い発音でドライブ感があり、旋律におけるうねりやリズムアタックでのマッシブな音像など、そのフラメンコならではの身振りが素晴らしい。そして各音の音像は杉特有のほのかに柔らかな丸みを帯び、それが微妙な落ち着きと翳を付加しており、音響全体に独特のニュアンスを生み出しています。

内部構造はサウンドホール上下各一本のハーモニックバーに左右対称7本の扇状力木、それらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型に設置されたクロージングバーというオーソドックスな配置(ただしV字型のクロージングバーの頂点はほんのわずかに低音側に寄せて設置されています)。レゾナンスはF#の下 に設定されています。

かなり弾き込まれているため全体に弾き傷、打痕、スクラッチがあるほか、横板には底部のほか数か所に割れ補修履歴があります。また表面板はラッカー再塗装が施されており、下部のふくらみ箇所にやや集中している打痕10か所ほどはその際にタッチアップされ、また内側からも補強処理が施されております。再塗装されたラッカーはやや厚みがあり、全体に亀裂(ウェザーチェック)が入っていますが、現状で使用上の問題はありません。表面板はブリッジプレートの高音側の角の部分に1×5センチほどの埋め木補修、また低音側ゴルペ板の角部分にも埋め木補修あとがあります。ネックはやや順反りですが許容範囲内、フレットは1~8Fで摩耗見られますが現状で演奏性に影響はありません。ネックは薄めのDシェイプでフラットな加工。ネック裏も傷はやや多くあります。

ヘッドシェイプはコンデブランドの符牒である半月型にカットされて角のような形状になったいわゆるメディアルナヘッド。赤、黒、ベージュ、茶を基調としたロゼッタが杉材の赤みの中でよく映えてフォトジェニックな外観となっています。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マルセロ・バルベロ1世 Marcelo Barbero
モデル/品番 Model/No. フラメンコ ブランカ
010_01_BarberoM_03_154
弦長 Scale Length 658mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1954年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option スーパーライトケース 紺
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:シェラー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.3mm

〔製作家情報〕
マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)スペイン、マドリッド生まれ。トーレス~マヌエル・ラミレスの伝統が戦後のスペインギターへと継承されるその架け橋となった製作家であり、20世紀屈指の名工の一人。

ホセ・ラミレスII世が1925年にブエノスアイレスからスペインに戻ってラミレス1世の工房を引き継ぎますが、バルベロは職工の一人として同工房で製作をしていました。しかし1943年に同地の名工サントス・エルナンデスが亡くなった際、未亡人からの要請により彼の工房を引継ぎ、「ビウダ・デ・サントス・エルナンデス」(「ビウダ」は未亡人の意)ラベルのギターを製作することになります。サントスの生前に製作上の直接的な関係はなかったバルベロですが、工房に保存してあった材料や型枠、作りかけの表面板、そして本人が使用していた工具や治具を用いて未亡人のアドバイスの下製作を進めるうち、サントスギターの音響的素晴らしさに深く感銘を受けるようになります。こうして彼はサントスの後継者となり、それ以降サントスの設計を基調とした楽器を製作します。その作風はしかしその後彼独自の発展を遂げ、自身独立してオリジナルラベル製作を始めることとなり、1950年代には名品の誉れ高い楽器を製作する充実した時期を迎えることになるものの、1956年に52歳の若さで他界してしまいます。彼の温かい人柄を慕い多くの製作家達が彼の工房を訪れていましたが、その後のマドリッドの最重要人物の一人となるアルカンヘル・フェルナンデスが彼との最後の2年間をともにし、名実ともに真の後継者としてこの工房を引き継ぐことになります。


[楽器情報]
マルセロ・バルベロ1世製作の1954年製 フラメンコモデル 658mm 松/シープレス仕様 Usedの入荷です。表面板には指板両脇、サウンドホールと駒板間の高音側(現状ではゴルペ板の下に隠れています)、駒板脇低音側付近からボトムにかけてなど割れの修理歴があり、それぞれプレートや木製パッチ補強が施されています。また横板、裏板も複合的な割れを補修した履歴があります。全体は過去に最低一回は再塗装(表面板と横裏板はそれぞれ別々の時期に)が施された履歴があります。表面板ゴルペ板は高音側のみメイプル材を使用しており、中央から低音側は透明なものが貼られていますので、再塗装時に交換されたものと思われます。表面板はサウンドホールと駒板の間で歪み(凹み)は見られますが、通常の使用状況においては現状で問題ありません。おそらくフレットも過去に交換されており、現状ほんのわずかに摩耗ありますが適正なレベルです。ネックは真っ直ぐを維持しており、ネックシェイプは薄めのDシェイプに加工されています。弦高値は2.8/3.3mm(1弦/6弦 12フレット)。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、ウェストより下は7本の扇状力木を配置していますが、左右対称を基本としながらも各力木の始点と終点の位置がそれぞれ高音側と低音側とで異なっており、音響バランスの微調整が試みられています。駒板位置に幅1cmほどの薄い補強プレートが貼られていますが、おそらくは製作時のものではなく(オリジナルでは貼られていなかった可能性があります)、のちに増築された可能性があります。レゾナンスはD# の少し上の設定、ただし左記の改造や再塗装に伴う表面板の厚みの変化などが考えられるため、オリジナルの設定とは異なっていると思われます。

バルベロ1世の特徴はのちに彼の後継者たるアルカンヘル・フェルナンデスが体現しているように、とくにその晩年においては硬質で粘りを持った発音と、弾性感のある凛とした音像、その洗練さが挙げられますが、本器ではいかにもスペインヴィンテージらしい木質のまろやかな響きが聴かれます。これは多分に経年による変化や種々の調整を施した経歴にも由来するかと思われますが、この楽器のもともとのポテンシャルゆえか、本器もまた凡百のフラメンコには聴くことのできない味わい深さがあります。もちろん発音の鋭敏さ、フラメンコ的な旋律の身振りにおいても不足ありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マヌエル・レジェス 1世 Manuel Reyes I演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. Flamenco Blanca(Wood peg)
010_03_reyes_1_03_160
弦長 Scale Length 658mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1960年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option セミハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:木ペグ
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 2.7mm

[製作家情報]                                    
1934年グラナダ、パジェーナ生まれ。10歳の時にコルドバに移住し、その後亡くなるまで同地にて製作。もとはフラメンコ・ギタリストであった彼が、ある歌い手から譲り受けたぼろぼろのギターを自ら修理するもののその仕上がりに満足できず、それならばと独学で自分のギターを作ったのがきっかけとなり、製作の道に進みます。ホアキン・サンチェス・ガリステーロの工房で助言を得ながら製作技術を磨き、1949年から本格的にギター製作を開始。1956年にはギタリストのぺぺ・マルティネスの紹介で、マドリッドの名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知遇を得ます。この稀代の製作家との、亡くなるまでのわずか1年という交流がマヌエルに決定的な影響を与えたことは有名な話。この時期彼は工房を何度か移転しており、1960年代に入って有名な観光地のポトロ広場近くの工房で一旦落ち着きますが、場所柄もあって人の出入りも頻繁な工房は彼にとって落ち着かず、1979年にはアルマ通り7番地の静かな環境に工房を移転します(これが彼の亡くなるまでの住処となりました)。ブランドスタート当初から順調にその評価を高め、多くのギタリストが彼のギターを購入しようと工房を訪れるようになりますが、何といっても1980年代に当時大人気ギタリストであったビセンテ・アミーゴが使用することでその名声がピークに達します。

フラメンコに必要な要素を十全に備えながら、その繊細とさえ言える音色と表現力、造りの細やかさ、高度な演奏性などでクラシックギタリストからも高い評価を得て、20世紀後半を代表するフラメンコブランドとなりました。2014年に惜しまれつつこの世を去った後、工房は子息のマヌエル・レジェス・イーホが受け継いでいます。 

 
[楽器情報]                                    
マヌエル・レジェス製作 1960年製 フラメンコ ブランカモデル 木ペグ仕様 Usedの入荷です。レジェス初期の逸品で、大変に魅力的な1本です。ラベルには当時1960年前後に工房を構えていた時の住所(Don Rodrigo 17)が記されており、デザインも工房オリジナルのものとなっています。

わずか26歳の作にして、既に彼の先達たる名工達にも比するほどの充実したフラメンコギター。外観はロゼッタの洒脱なデザインをはじめ、極めて良質な材のセレクト、経年による滋味などもあり、なんとも魅力的な佇まい。そしてやはり音が素晴らしく、撥弦の感覚よりも早く立ち上がってくるような絶妙なドライブ感、しっかりとした重心感覚を伴った低音から洗練された高音までのバランスの素晴らしさ、旋律における鋭敏な身振り、彼ならではの音色の気品など、すべてが充実した要素となり、フラメンコとしての個性的なアイデンティティを作りあげています。後年の高貴ともいえる音色の萌芽と言えるものが聴かれ、彼が傾倒したスペインヴィンテージ的な響きと自然に融和しており、完成への過度期と呼んでしまうにはあまりにも見事な、この時期の彼にしか作ることのできなかったギターとなっています。

内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバーと左右対称5本の扇状力木、ボトム部でそれらの先端を受けとめる2本のハの字型に配置されたクロージングバーという設計。やはりこの後に独自の発想によるユニークな構造を積極的に考案し実用していくレジェスにとって、ここでの採用されたシステムは極めてオーソドックスなスタイルと言えます。レゾナンスはE~Fに設定されています。

表板指板脇に割れ補修、横板は高音側低音側とも割れ補修歴があり、特に低音側のほうは数か所にやや広範囲の割れ補修歴がありますが、接着と内側からのパッチ補強が適切に処置されていますので現状で問題ありません。その他全体に年代相応の弾きキズ、打痕、摩擦跡があり、部分的にタッチアップ補修がなされています。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが演奏性に問題ありません。フレットはおそらく過去に交換されており、特に摩耗なく適正値を維持しています。糸巻はフリクションタイプの木製ペグで、現状で機能的な問題はありません。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ホアン・ロペス・アギラルテ Juan Lopez Aguilarte
モデル/品番 Model/No. Flamenco Blanca
010_JLAguilarte_02_202
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2002年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ギグバッグ
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 3.3mm

[製作家情報]
ホアン・ロペス・アギラルテ 1941年スペイン、セヴィージャの生まれ。若い時に家族でグラナダに移り住み、同地で家具職人として働き始めます。やがて同地の製作家マヌエル・ベジードのもとで働くことになり、彼に製作の指導を仰ぎます(一説ではこの時アントニオ・マリンからも指導を受けているとのこと)。またベジードやマリンの師であるエドゥアルド・フェレールの工房でも働いていたことがあります。1980年に自身の工房をグラナダに設立し製作を続けていましたが現在は引退。

[楽器情報]
ホアン・ロペス・アギラルテ製作のフラメンコ ブランカ(白)モデル 2002年製Used の入荷です。
表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、左右対称5本の扇状力木に、それらの先端をボトム部で受け止める2本のクロージングバーという配置。クロージングバーは通常左右対称でハの字型またはV字型に、2本のバーが交わる点をちょうどセンターになるように設置するのですが、ここでは低音側がやや長く高音側は逆にやや短い、同じように例えるとへの字型になって設置されています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

ジャリっとした硬めの音で、全体に高音寄りの音響バランスのためどっしりとした重心感はあまりないものの、その分シャープな感触が強く表出されます。

いかにもスペイン、グラナダスクールらしい繊細なセラック塗装。表面板の指板両脇に割れの補修歴あり、高音側はパッチ補強あり、低音側は接着のみで処置されています。現状で継続の使用に問題はありません。表面板はそのほか全体に(特にサウンドホール周辺に)弾き傷等またネック裏は演奏時の爪によるスクラッチあとが多くみられますがいずれも年代相応のレベルと言えます。ネック、フレット糸巻などの演奏性に関わる部分も問題ありません。ネックシェイプはフラットな加工の薄いDシェイプ。糸巻はシャーラー製を装着しています。



定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マヌエル・コントレラス Manuel Contreras
モデル/品番 Model/No.
010_Mcontreras_03_175
弦長 Scale Length 655mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1975年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.2mm/6弦 2.8mm

[製作家情報]
マヌエル・ゴンサレス・コントレラス(1928~1994)と息子であるパブロ・コントレラス(1957~2011)によるブランド(※現在はJose Antonio Lagunarがブランドを継承)。マヌエルは家具職人としてそのキャリアをスタートさせ、高い木工技術とデザインセンスの持ち主であったようです。1959~1962の間ホセ・ラミレス3世工房で(徒弟ではなく熟練工として)働いたあと、彼は自らの楽器製作のアイデアを具現化すべく早々に自身の工房を起ち上げます。木材の厳しい選定、音響と演奏性のあくなき追及から生まれた彼のモデルはほとんど発明家の様相さえ帯びるほどに個性的なものであり、その革新性ゆえにフォロワーが存在しないという意味でも稀有な有名ブランドとなっています。そのラインナップは8弦、10弦、13弦などの多弦ギターからダブルトップ(のちにマティアス・ダマンらが開発するNomexを使用したものとは全く異なる)、スピーカーの音響原理を取り入れたカルレバーロモデル、そして湾曲した力木を用いた1A Especial 等々実に多岐にわたり、どれもが注目すべきモデルとなっています。しかしながらその出発点となったホセ・ラミレス的マドリッドスクールにふさわしい、重厚で包み込むような音響は通底しており、その造りの確かさもあいまって、いまもマドリッドの代表的ブランドの一つとして高い評価を維持しています。息子のパブロは1975年より父の工房で働き、マヌエル同様に進取の気性に富んだ彼は良きパートナーとしてこのブランドの隆盛に寄与し、マヌエル亡き後もその精神を維持してすぐれたギターを出荷し続けましたが(ラベルはマヌエル・コントレラス2世 Manuel Contreras IIと表記)、2011年54歳という働き盛りでこの世を去ります。

[楽器情報]
マヌエル・コントレラス フラメンコブランカ(白)モデル 1975年製 Usedの入荷です。
全体に年代相応の弾き傷、打痕、摩擦跡等あります。表面板のブリッジ下1弦側に弦とび埋め補修、その他ボトム付近にも一か所の打痕補修あと。低音側横板のウエスト部に一か所、下部ふくらみ部に2か所割れ修理履歴があります。ネック、フレット、糸巻など演奏性に関わる部分の問題はありません。ネックはフラメンコギターで採用されることの多いDシェイプのフラットな形状。弦高は2.0/2.5mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.0~1.5mmとなっています。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、ボディのウエストとより下の部分はほとんど平行に近い形で5本の扇状力木が配置され、ボトム部にはハの字型に設置された2本のクロージングバー レゾナンスはF#の下に設定されています。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  330,000 円
注文数 :   


株式会社アウラ
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