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製作家/商品名 ホセ・マリン・プラスエロ Jose Marin Plazuero
モデル/品番 Model/No. ブーシェモデル Bouchet model No.822
001_001_jmarin_2_02_215
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2015年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.7mm

[製作家情報] 
1960年 スペイン、グラナダ生まれ。同地を代表する名工アントニオ・マリン・モンテロ(1933~)は彼の叔父にあたります。1974年14歳の時に当時マヌエル・ベジードと共同製作をしていたアントニオの工房に入り、最初は主に塗装を担当しながら、並行して少しずつギター製作も学び、従事してゆきます。1979年にアントニオとともに同じグラナダの cuesta del Caidero に新しく独立した工房を開き、同年19歳で最初のギターを製作、この時より正式にマリン工房の製作家としての活動を開始します。ここで彼は自身のオリジナルラベルによる生産ラインを確立しますが、その後も袂を分かつことなく叔父アントニオと共にそれぞれのラベルによる製作を現在も続けています。また1979年はアントニオがそれに先立つ1977年より親交を深めていたフランスのロベール・ブーシェとの2度目の交流により、自身のマリン=ブーシェスタイルを確立した年でもあり、ホセはこの二人の巨匠の邂逅とそれによって生み出された製作メソッドをリアルタイムで学んでいます。
ホセのギターは叔父アントニオの工法と作風を十全に受け継ぎながら、音響と造作の両方において彼ならではの洗練を施した極めて質の高いモデルとなっており、現在のグラナダのスタンダードをもっとも円満に体現していると言えます。メインモデルとなるブーシェタイプの他、慧眼すべき見事なトーレスモデル、良質なフラメンコモデル等も製作。

[楽器情報]                                    
ホセ・マリン・プラスエロ製作 ブーシェモデル2015年製 No.822 Usedの入荷です。基本的に叔父アントニオのブーシェモデルを規範としていますが、音はより引き締まり、横裏板中南米産ローズならではの硬質感が加わった凛とした響きで、さらにこれも叔父譲りの迫力ある音圧の高さが相乗し、これぞマリン工房と思わせる唯一無二のギターに仕上がっています。

ホセ・マリンは特に完成間もない時期においてはそのフレッシュな響きと、非常な速さで放射してゆくような発音が特徴ですが、年月をかけて弾き込むことで適度な粘り(まさにブーシェ的な)が備わり、他のグラナダ派ブランドにはない独特の明暗を持ったギターになってゆきます。本作においてもそれは顕著に現れており、マリン工房特有の力強く、高く抜けてゆくような感覚はあくまでも保持しながら、そこにクラシカルな翳を内包した響きがなんとも魅力的。分離が良く、各音とも粒がそろっており、絶妙なバランス感もホセならではでしょう。上記のような粘りが備わってくることでその発音はまるでタッチにぴったりと寄り添うかのようなシンクロ感となり、これが演奏の上で非常な心地よさを生み出しています。

内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本(うち一本は補強板的な短いもので切妻形の加工が施されています)、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称5本の扇状力木が駒板の位置にほぼ横幅いっぱいに設置されたトランスヴァースバーを貫通してボトム部まで伸びている構造、トランスヴァースバーは高音側が低音側よりも高く加工されています。レゾナンスはG#~Aに設定されています。

表面板の指板両脇やサウンドホール高音側、ブリッジ下などに年代相応の軽微な弾き傷やスクラッチ痕があり、ネック裏にもやや傷はありますが横裏板は若干の衣服の摩擦跡のみとなっており良好な状態。フレット交換を一度行っており、ネックは極めて良好な状態となっています。ネック形状は普通の厚みのDシェイプで程よくフィット感があり、弦の張りも中庸で左手はとても弾き易く感じます。弦高値は2.7/3.7㎜(1弦/6弦 12フレット)サドルは低音側のみ1.0㎜の調整余剰があります。



定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  825,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ゲルハルト・オルディゲス Gerhard Oldiges
モデル/品番 Model/No. ‛La Cincuenta y Tres
001_002_oldiges_02_208
弦長 Scale Length 652mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2008年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1955年ドイツ生まれ。大学卒業後にギターやリュートなど幾つかの工房で修業を重ねたのち、1985年にマイスター制度による国家試験に合格しゲゼレを取得、1986年に創設当初のLakewood Guitars のリペア部門で働くことになります。1988年にベルギーで開催されたホセ・ルイス・ロマニリョス(1932~2022)のギター製作セミナーに参加し、この名工から彼のその後の方向性を決定づけるほどの影響を受けることになります。1989年には再び国家試験に合格しマイスターの称号を得るとともに、自身の工房を設立。

ロマニリョスとは師弟として、そして良き友人としてその後も関係は続き、スペイン、シグエンサで開催された講習会ではトビアス・ブラウンらとともに助手を務めています(この講習会には尾野薫、田邊雅啓、中野潤らが参加している)。また彼の畢生の名著と言える「アントニオ・デ・トーレス その生涯と作品」のドイツ語訳を刊行するなどギター文化を拡げてゆくためのアクションも積極的に行っています。自身もやはりトーレスを起点とするスペインの伝統的なギター、そして特にハウザー1世の製作美学に傾倒し、現在もこれらのマエストロたちのギターを規範とした、外観、音色ともに味わい深い楽器を製作。名手ジュリアン・ブリームが所有するなどプロギタリストからも高い評価を得て、非常に限られた製作本数ながら世界中で愛用者を獲得している、現代ドイツの代表的製作家の一人。


〔楽器情報〕
ゲルハルト・オルディゲス 製作のハウザー1世モデル ‛La Cincuenta y Tres' 2008年製Usedの入荷です。「優れたギターは歴史的な名工たちによって既に完成されている」と断言し、スペイン伝統工法こそがそれらの音響の手掛かりとなると確信したオルディゲスにとって、ヘルマン・ハウザーの高度な洗練はやはりその理想形の一つとして(同じドイツ人としての感性的な共鳴ということもあって)彼の美学の中心に据えられているようです。本作において、彼の全てのギターに通底していることですが、自身の嗜好やスタイルに寄せることなく、また名工の作だからと言っていたずらに豪奢に(外観も音も)仕上げることもなく、ごく自然な、しかしこの上なく気品のある佇まいで着地させており、誠に味わい深い仕上がりとなっています。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積の薄い補強プレートが貼られているという全体の配置で、もちろんハウザー1世作のセゴビアモデルに準拠したものとなっています。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。

重心の低さをしっかりと感じさせつつ、低音から高音まで同じフェーズで音が均質に連なってゆくような(鍵盤楽器的な)音響設計。しかしながら決して平坦ではなく、和声的な楽曲では各声部のアイデンティティが明確になり、整った音響の中に独特の立体感が生まれる、ハウザーでしか聴くことのできない特徴を円満に備えています。そしてそこにオルディゲスらしい柔和さが加味されて、全体に表情はどこか優しくそしてロマンティックでさえある、大変に魅力的なハウザーモデルとなっています。

表面板のサウンドホール周りや指板両脇などにやや弾きキズ等目立ちます。また横裏板の演奏時に腕や胸の当たる部分などに塗装の摩耗やその他衣服の細かな摩擦あとなどが全体に見られます。割れなどの大きな修理や改造歴はありません。ネックはやや順反りですが標準設定の範囲内。フレットは適正状態を維持しています。ネック形状は薄めのDシェイプで丸みのあるタイプ。弦高値は3.2/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.0mmの余剰があります。糸巻はRodgers 製ハウザースタイルを装着しています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  2,310,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 カルロス・ホアン・ブスキエール  Carlos Juan Busquiel演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. トラディショナル Tradicional No.135
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弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain 
製作年 Year 2021年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 3.9mm

[製作家情報]
1980年生まれ。スペイン、アリカンテに工房を構える製作家。12歳よりギターを弾き始め、大学ではヴァイオリンを専攻、その後独学でヴァイオリン製作をしていたころにギター製作家のラファエル・ロペス・ポルラスと出会い、本格的にギター製作を学び始めます。そしてジョアン・ペリッサらが主宰した古楽器のセミナーでの名匠ホセ・ルイス・ロマニリョスとの交流から、スペインの伝統的な工法に基づいたギターの魅力に取りつかれ、以後はアントニオ・デ・トーレスを規範とする純粋なスパニッシュギターの製作に専念します。その後もロマニリョスからの多くのアドバイスにより、トーレス以降の名工達(アリアス、ラミレス、ガルシア、シンプリシオ等)の研究を深めてゆく過程で、自らのオリジナル性も同時に追求してゆきます。

彼のギターはトーレスから始まる19世紀から20世紀前半のスパニッシュギターの伝統を規範とし尊重しながらも、そこに現代の音の嗜好と演奏性におけるニーズに対して柔軟に応えた要素をさりげなく加味したもので、幅広い弾き手にアピールできる柔軟さを備えたものとなっています。

[楽器情報]
カルロス・ホアン・ブスキエール トラディショナルモデル2021年製の中古です。
現在4種ある彼のラインナップの中で最もスタンダードなモデル。トーレスレプリカとなる「La Leona」、そしてより音量の増大を指向した「Concerto」 モデルなどがありますが、その中ではやはりこの「Tradicional」が彼の個性と素養とが最も無理なく融合したモデルとなっています。ヘッドシェイプはトーレスですが、内部構造は計6本の扇状力木がセンターの1本を境に高音側に3本、低音側に2本配されており、ボトム部に短い2本のクロージングバー、ブリッジ位置にはパッチ板が貼られているという配置。伝統的ながら、細かな部分に彼自身の工夫も感じさせる構造になっています。表面板はかなり薄く加工してあり、これはスペインヴィンテージのギターを参考にした設定でしょう。レゾナンスはGに設定。非常にヴィヴィッドで明るい発音。やや乾いた感触の響きはかのグラナダの名工たちをも想起させます。

プレイヤー目線での演奏性に対するこだわりもある彼ならではの、握りやすいDシェイプのネック。ネック自体のセッティングも良く、全体に弾き易いモデルになっています。ただし弦の張りは強めでブリッジ弦穴はダブルホール仕様のため、柔らかめのテンション感を楽しみたい方は弦穴をワンホールでの通常の巻き方で弦を装着するのをおすすめします。全体はセラックの丁寧な仕上げ、糸巻きはアレッシーを装着しています。

表面板のサウンドホールとブリッジとの間、弦の張ってある範囲に演奏時によるものと思われる1~3センチほどの傷が数か所あります。また薄く加工された表面板はブリッジ下からボトム部にかけてがほんの若干膨らみがありますが、適切な環境下であれば今後の使用、演奏には問題ございません。






定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  715,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ホセ・ルイス・ロマニリョス 1世 J. L. Romanillos Ⅰ
モデル/品番 Model/No. La Prematura #220
001_101_romanillosJL_1_03_174
弦長 Scale Length 652mm
国 Country スペイン Spain 
製作年 Year 1974年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース付属
備考 Notes
〔製作家情報〕
1932年スペイン マドリッド生まれ。
10代の頃は同地の家具製作工房で働き、1956年にイギリスに移住。移住した当初は病院で働いていましたが、1961年に純粋にプライベート用として独学でギターを製作します。1969年には名手ジュリアン・ブリームの知己を得て、彼はロマニリョスの非凡な才能をすぐに見抜き、ウィルトシャー、セムリーにある自身の敷地内に工房を作らせて製作家として独立することをすすめます。所有していた数々の名器の中でも、ロマニリョス1973年製のギターは長年ブリームのお気に入りの一本となった事は良く知られています。彼はまた大変な碩学としても知られ、名著の誉れ高い「アントニオ・デ・トーレス」を上梓するなど執筆業でも高い評価を得ているほか、その知識を活かして後進の指導にも尽力。毎年シグエンサにてギター製作の講習会を息子のリアム、ゲルハルト・オルディゲスやステファン・リーズをアシスタントにして開催していたことは彼の教育熱心な面をよく物語っています(2001年の講習会には尾野薫、田邊雅啓、中野潤、佐久間悟が参加)。

ブランドは1991年より息子のリアムが共同作業に正式に加わり、ラベルもJose Luis Romanillos&Son に変更、現在に至っています。今年2020年には、彼の講習会のアシスタントを務めていたJosep Melo氏によりロマニリョス1993年以降の製作史を総括する大著「Romanillos Guitarras The Guijosa Period 1993~2015」が上梓され、現役最大の巨匠としていままた世界的に更なる評価の高まりを見せています。

〔楽器情報〕
ホセ・ルイス・ロマニリョス1世 1974年作、‘La Prematura’です。彼の製作家としての才能を高く評価していた名手ジュリアン・ブリームのすすめにより、イギリス、セムレーの彼が所有する敷地内で工房を持ち、まさに意気揚々とそのキャリアを漕ぎ出した時期のもの。トーレス=ハウザーを規範として様々な構造でギターを作り続けてきたこの製作家にとって、彼自身の言葉にもあるように一つとして同じ楽器はないと言えるのですが、本器は最も敬愛するトーレスを踏襲しつつも、独自の構造的な工夫がなされ、その後の代表的な配置構造の萌芽とも言える造りとなっています。内部構造はサウンドホール上に2本、下に1本のハーモニックバー、そしてボディの肩の位置から真直ぐ2本の力木がバーと垂直にサウンドホール下のハーモニックバーに伸びており、途中2本のバーをトンネル状にくぐりぬけています。このサウンドホールの横をバーを貫通して配された2本の力木は低音側にのみで、高音側には配置されておりません。扇状力木は左右対称7本でボトム部にはハの字型のクロージングバー、駒真下位置にはパッチ板があてられています。レゾナンスはGの少し下に設定されています。糸巻きはライシェル製を装着。

1970年代初期のロマニリョスらしい、力強く芯がある響きながらも柔らかな奥行きを持った、よりスペインのヴィンテージの味わいを感じさせる音色。木質のヴィヴィッドな発音が素晴らしく、和音の豊かで雑味の無い響き、単音の凛とした音像、そして全体の表情の繊細な変化という点でも申し分がありません。製作家の初期の作とはいえ既に比肩するものの無いクオリティを確立していたことがうかがえる一本です。比較的コンパクトなラウンドシェイプのネックはフィット感が良く、左手の演奏時のストレスが少ないところも特に手の小さめな方にとっては嬉しいところでしょう。

弾き傷や打痕等は若干ありますが年代考慮すると標準的な状態と言えるでしょう。割れ等の修理履歴なく、またネック、フレット、糸巻きなど演奏性に関わる部分での状態も良好で問題ありません。



品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ホセ・ラミレス Jose Ramirez演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. C650A 1967 Reissue Y6-139
001_joseramirez_02_207
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2007年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。


〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス 1A C-650A 1967 Reissue モデル2007年製 表面板松、横裏板インディアンローズウッドの650㎜仕様 Usedの入荷です。
割れなどの大きな修理、改造履歴はありません。ヘッドプレート先端近くに直径1センチほどの円形の埋木補修歴がありますが、丁寧な処置がされており目立たないものになっています。ボディは年代相応に少々の傷があります。横裏板には衣服等の摩擦あとなどありますがこちらも軽微なものにとどまっており全体に状態は良好だといえます。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も適正値を維持しています。ネック形状はDシェイプのスクエアに近い形状で通常の厚み。弦高値は2.8/4.0㎜(1弦/6弦 12フレット)でサドルには2.0~2.5㎜の調整余剰がありますのでお好みに合わせてさらに低く設定することが可能です。糸巻は出荷時オリジナルのフステーロ製を装着しており、こちらも動作状況に問題ありません。




品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  495,000 円

製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. コンシエルト Concierto
001_Pbernabe_1_02_220
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2020年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)、オリジナル仕様書&保管説明書
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。息子のパウリーノ・ベルナベ Jr(1960~)は幼少の頃より父の仕事姿に親しみ、17歳の時には正式に弟子入りし20年以上に及ぶ厳しい修行と共同製作の時期を経て、2007年に1世亡き後はこのブランドを引き継ぎます。その後現在に至る2世の時代は父親のブランドコンセプトを十全に継承しつつ、より時代のニーズに合わせた(コストパフォーマンスとプレイヤビリティの双方において)充実したラインナップを展開し、若手のプロギタリストの使用率も高くなっている。現在マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。

〔楽器情報〕
パウリーノ・ベルナベ Conciertoモデル 2020年 表面板杉仕様のUsed良品が入荷致しました。
ベルナベは2000年前後から上位機種でも4種類以上のモデルをカタログ化しており(現在はConcierto、Especial、Torres、Royalの5種)、それぞれ使用材のグレードなどによってランク分けされていますが、当モデルはその導入に位置するモデルとなります。とはいえこの名門ブランドのプロフェッショナルシリーズとだけあって、そのクオリティは確かなもの。またベルナベ独自の構造的工夫、時代のニーズを敏感に感じ取りそれを伝統的スタイルの中に落とし込むその着地点の絶妙さについては、マドリッド派の中でもやはり際立ったものといえるでしょう。

以前のConciertoモデルと比較すると本作では板はより薄く加工され、全体も軽量化しており(1.60㎏)、更に塗装も薄めの仕上げとなっています。そのためかフラメンコ的ともいえるような生々しさ、反応の速さ、木がじかに震えるような太く乾いた響きがぎりぎりまで追及され非常な迫力、そして適度な色彩感が備わっています。やや大柄なボディですが弦の張りは中庸で、ネックはかなり薄めのCシェイプタイプのため左手の感触は非常にコンパクトに感じます。レゾナンスもまたかなり低く、E~Fに設定されています。

内部構造はサウンドホール上下各一本のハーモニックバー、そしてサウンドホールの丁度真下の位置から高音側と低音側の横板に向けて1本ずつ斜めに伸びる力木がちょうどハの字型になるように設置、ボトム部にもハノ字型に2本のクロージングバーが設置され、表面板中心部分を菱形に囲むような形になっています。その菱形になったスペースの中心に表面板の木目に沿うように平行に設置された3本の力木とブリッジ位置に貼られたプレートという独特な力木構造で、これはベルナベ1世のEspecialモデルなどに採用されていた構造を忠実に踏襲しています。さらに2世はここで非常に独特な工夫を加えており、上記の菱形になった部分の表面板に円形の浅い掘り込みを何重にも入れており、ちょうど1センチ幅ほどの同心円が表面板下部をブリッジを中心としてまんべんなく張り巡らされているような形になっているうえ、同部分のみ何か焼き込みをを施したように明確に黒くなっています。この仕様は現在の同モデルでは採用されておらず、この年式特有のものとなっています。

表面板指板脇の高音側とサウンドホール下側にわずかに細かなスクラッチあとがあるほかはほとんど傷もなく、また割れなどの大きな修理履歴もありません。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も良好です。オリジナル仕様書と保管説明書(英語)が付属しています。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  1,100,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ルベン・モイセス・ロペス Ruben Moises Lopez
モデル/品番 Model/No.
001_Rlopez_2_03_202
弦長 Scale Length 648mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2002年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.4mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]            
1967年 スペイン、マドリッドの生まれ。父親は同地の名工として名高いマルセリーノ・ロペス・ニエト(1931~2018)。楽器ミュージアムと工房が一緒になったような自宅の環境の中で、彼は5歳の頃より木工についての基礎知識とギター製作を学び始めます。父親の工房でじっくりと熟成させるようにその技術を磨いていった彼は、満を持して1990年代の後半より自身のラベルにてギターを出荷するようになります。父親譲りの丁寧な仕事で仕上げられたギターは音色と外観とに独特の滋味を漂わせ、スペインの先達への敬意に溢れた楽器として、当初より高い評価を得てきました。現在は製作を行っておらず、父マルセリーノも他界してこの工房からの新作の知らせがなくなったことが、多くのギターファンから惜しまれています。

<楽器情報>
ルベン・モイセス・ロペス 2002年製 クラシック、オリジナルモデルです。父親であるマルセリーノ・ロペスの作風をさらに渋くしたようなヴィンテージ感漂うたたずまいは、同時代の製作家の中ではむしろ個性的とさえいえるマドリッド独特の雰囲気を湛えています。音色と響きも同様に渋く、しかしながら音量、表情、ダイナミックレンジや発音の反応性などどれも不足ありません。

全体に弾き傷、打痕等やや多くありますが大きな修理履歴はなく、ネック、フレット等演奏性に関わる部分での問題もありません。現在では貴重となってしまったブランドの珍しい中古での入荷です。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  385,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 グレッグ・スモールマン Greg Smallman演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_smallmanG_02_189
弦長 Scale Length 650mm
国 Country オーストラリア  Australia
製作年 Year 1989年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.5mm /6弦 4.5mm

[製作家情報]
グレッグ・スモールマン Greg Smallman 1947年オーストラリア生まれ。トーレス以降、クラシックギターの製作法において最大の革新を成し遂げた製作家です。1970年代からギターづくりを始め、最初はスペインの名工イグナシオ・フレタなどの「伝統的な」スタイルで製作していましたが、やがて独自の発想による設計を模索し、実践することになります。ラティス構造と呼ばれる格子状に配置された表面板の力木構造と、まるで現代建築のように加工され配置された堅牢なバーの構造は独特極まりなく(それゆえ重量も従来のクラシックギターの2倍近くと重くなっています)、それまでのいわゆ扇状力木と平行に配置されたハーモニックバーという基本的な構造とは完全に異なる発想で造られています。そして表面板を薄く、横裏板を厚いアーチシェイプ仕様にすることで表面板の振動を最大限に音響化することに成功し、その結果発音の反応、音量、各音と各弦のバランス、ダイナミクスと遠達性、サスティーンが文字通り驚異的に向上しています。スモールマンによるとこの独創的な構造は子供の時に熱中した模型飛行機の構造原理からからインスピレーションを得ているのだそう。

従来のギターではレゾナンスの設定とそれに伴いどうしても発生してしまう音響の不均質も、ここで飛躍的に解消され、全体のピッチもナイロンギターとしてはこれ以上望む程がないほどに正確に設定されています。そして最も特筆すべきは、こうした音響的な弱点の克服が為されたあとでも機械的な響きに堕することなく、音楽的な豊かさも同時に獲得していることでしょうか。それは彼を発掘し、彼のギターによってそのキャリアの後半を形成していった名手ジョン・ウィリアムスの演奏が如実に語るところです(ジョンは1981年からスモールマンのギターを使用)。ジョンのあとも数々の名手たちが愛奏し、またJ.ペロワやG.ビアンコなど現代的感性を持った若きマエストロ達のスモールマンを使用しての演奏は、このギターが革命であると同時に普遍性を備えたものであることの証左といえるでしょう。

1999年よりラベルには二人の息子DamonとKym の名が記され、Greg Smallman&Sonとなっています。ネックは可動式になり、専用のレンチで角度を簡単に変えることができ、奏者に合った演奏性にすぐに対応できるような仕様になっています。また初期には単板仕様となっていた横裏板もラミネート加工としてより堅固な設計となり、表面板はラティス構造を基本形として継続しながらバーの設計や配置については大幅な改変が試みられています。初期において(特に1980年代)はその発音と音色にどこかまだトラディショナルなギターのニュアンスを感じさせていましたが、もともと高かった音圧はさらに増大し、響きはより乾いた感触でオーディトリアムな音響へと変化してゆきます。

[楽器情報]
グレッグ・スモールマン 1989年製Usedです。
割れなどの大きな修理、改造履歴はありません。表面板は大小の弾き傷、打痕等が全体にあります。サウンドホール高音側はおそらく製作時に貼られていた保護板をその後より小型のものに貼り換えた形跡があります。横裏板は一部に衣服等によるスクラッチ痕やわずかな塗装ムラ等がみられますが比較的良好な状態。ネックはこの時期の仕様では固定式となっており、現状でやや順反りの状態、ネック形状は普通の厚みのDシェイプ。糸巻はシャーラー製を装着、現状で動作状況に問題ありません。




商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  3,300,000 円

製作家/商品名 アンヘル・ベニート・アグアド Angel Benito Aguado演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. エストューディオ Estudio
002_AguadoAB_02_208_1779
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2008年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド合板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.5mm

[製作家情報]
1949年スペイン、マドリッド生まれ。最初は家具職人として身を立てていましたが、20代半ばにはギター製作家に転身。スペイン古楽演奏の名手ホセ・ミゲル・モレーノとのコラボレーションは彼のキャリアにおいて極めて重要な位置を占めており、ビウエラ、リュート、テオルボやバロックギターなどの古楽器への知見を深めるとともに、トーレス以降現代にまで続くスペインギターの伝統を跡付けるように製作を展開してゆきます。特にトーレスへの傾倒を明らかにしながらも、完全なレプリカではなく自身の研究と音響嗜好と盛り込んだ彼のギターはトラディショナルな響きを愛好するギタリスト達の支持を集めています。

[楽器情報]
アンヘル・ベニート・アグアドのEstudioモデル 2008年製Used の入荷です。プロフェッショナル用として展開するConcert シリーズや歴史的名品の研究を活かしたEarly Guitars シリーズと併せてラインナップされているStudentシリーズの一本。文字通り入門者から中級用として作られているバランスフルなモデルです。表面板は松、横裏板はインディアン・ローズウッド合板、650㎜スケールでネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。スペインのマドリッド的(特にラミレス3世以降の)な特徴を不足なく備えた音で、十分な音圧、重厚な響き、程よく艶を湛え、表情も豊か。表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に長短1本ずつのハーモニックバー、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーとその中央、ちょうどサウンドホールの真下部分から高音側に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のトレブルバー、そして6本の扇状力木がセンターに配された1本を境に高音側に2本、低音側に3本を配置。ボトム部にはそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置され、駒板位置にはほぼ同じ範囲に薄い補強プレートが貼られているという全体の配置。扇状力木はそれぞれの間隔は均等ではなく、やや低音に寄った形で配置されており、トレブルバーの設置など、全体にアシンメトリな構造になっています(この力木配置もやはりマドリッド派によく採用されていたスタンダードなパターンの一つ)。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

表面板のサウンドホール周りや下部全体に細かな搔き傷や小さな打痕ががあります。裏板低音側は恐らく湿度変化等の影響による塗装の若干の変色が見られます。裏板にはネックヒール近くに木目に沿って段差を生じている部分がありますが、現状で割れには至っておらず、適切な環境下での使用であれば継続しての使用に問題はありません。ネックはわずかに順反りですが標準設定の範囲内。弦高値は2.8/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)、サドルは現在下敷きが設置されており、その状態で1.5~2.0mmの余剰があります。糸巻はGotoh のSchaller モデル。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  363,000 円
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製作家/商品名 ヘスス・ベジード Jesus Bellido
モデル/品番 Model/No. トーレス6 モデル Torres 6
002_bellidoJ_02_207
弦長 Scale Length 644mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2007年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ケース別売
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:木ペグ(ペグヘッズ)
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1966年生まれ。スペイン、グラナダの製作家。父親は同地の代表的な名工の一人マヌエル・ベジードで叔父はやはり製作家のホセ・ロペス・ベジード。13歳のころより父の工房に入り、17歳で最初のギターを製作しています。1989~1995の間はギター製作の講師としての職に就き、その後最初の工房を設立して製作に専念。1999年に父マヌエルの工房に戻り現在に致ります。古今の名工たちの多くのギターを修理や復元した経験から、特に自国の銘器に対する造詣が深く、それは彼の作るトーレス、サントス・エルナンデス、マヌエル・デ・ラ・チーカなどのレプリカモデルに顕著にあらわれています。また彼のオリジナルモデルもまたこうしたヴィンテージギターのように素朴で明朗、木質の味わい深い響きと迫力を同時に備えており、古き良きアンダルシアの音を蘇らせたものとして高く評価されています。発音は生々しく、非常な速さで立ち上がってくる音はダイナミックレンジ、音量ともに名工の多いグラナダスクールの中でも際立っています。造作にはやや粗さが見られるものの、セラック塗装でいかにも手作りといったその外観は音色同様に素朴なたたずまいを見せ、やはりこのブランドの大きな魅力の一つとされています。

〔楽器情報〕
ヘスス・ベジード製作のトーレスモデル (Torres 6とラベルには表記)2007年製Usedの入荷です。彼自身のオリジナルモデルとともに常にラインナップされている「トーレス」のひとつ。同地グラナダの先達マヌエル・デ・ラ・チーカのレプリカをはじめとするヴィンテージシリーズは彼の純粋な敬意が表れたどれも秀逸なものですが、クラシックギターの祖と言えるトーレスに対してはやはり特別なものがあったようです。よく知られているのは1883年製 SE54 のレプリカで、19世紀ギターを思わせる小柄なプロポーションでボディ厚も薄く、しかし豊かな鳴りを備えた魅力的なトーレスモデルですが、本作Torres 6はそれよりも現代的なサイズ感に近いミドルサイズのトーレス。

糸巻はPegheds製のギア付き木製ペグ仕様。そのためもあってかヘススらしい、耳に直接触れてくるような生々しい木質の響きで、彫りが深く、程よく粘り、弦に触れるだけで反応するような発音の鋭敏さが特徴的。そして特に高音は意外なほどにしっかりと艶を湛えており、これが古雅とフレッシュネスが同居したような音響を生み出しています。

彼のこうした特性はオリジナルと非常に相性が良く、実に自然にトーレス的キャラクターとして着地しています。現在世界中のあまたのブランドが同様のモデルを製作していますが、そのほとんどが現代的感覚でいわば rework あるいは remodel した楽器となっているのに対して、ヘススのそれはまさにreplicaとしての19世紀的な存在感を放っています。

表面板内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、ボディ下部は左右対称5本の扇状力木、駒板位置には薄い補強プレートが貼られているという配置。ボトム部にクロージングバーは設置されておりません。5本の扇状力木はが駒板の幅の中に収まるようにして設置されており、これは上記1883年 SE54のスタイルを踏襲しているとのこと。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

全面オリジナルのセラック塗装で、表面板の特にサウンドホール周辺はやや演奏時の搔き傷が目立ちますが年代相応のレベルです。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが許容範囲、フレットは適正値を維持しています。ネックシェイプは薄くフラットなDシェイプでベジードの特徴的な仕様です。

この後2010年前後からヘススのギターはさらに軽量化し、塗装はさらに繊細に、ボディ厚も薄くした仕様へと一旦シフトしてゆきますが、本作はその直前の、製作家の嗜好とモデルが要求するものとが円満なバランスで体現された一本となっています。



定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  660,000 円
注文数 :   


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