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製作家/商品名 ホセ・マリン・プラスエロ Jose Marin Plazuero
モデル/品番 Model/No. No.467
001_001_jmarin_2_02_204_467
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2004年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 2.3mm/6弦 3.3mm

〔製作家情報〕
1960年、スペイン・グラナダ生まれ。14歳で伯父アントニオ・マリン・モンテロの工房に弟子入りし、10年後の1984年より自身のラベルでギター製作を開始しました。以降現在に至るまで、アントニオと同じ工房にて製作を続け、スペインギター屈指の名品を世に送り出す工房として国際的に高い評価を得ています。
「グラナダ的音色」と聞いて多くの人が思い描くイメージに、最も円満に当てはまる製作家のひとりと言えるでしょう。豪壮さと繊細さを併せ持ち、抜けるような明朗さと深淵さを兼ね備えた音色はもちろんのこと、高い造作精度、精緻を極めた意匠、美しい塗装など、楽器としての完成度の高さにおいてもスペイン屈指の素晴らしさを誇ります。その魅力は、さまざまな音楽ジャンルの第一線で活躍する演奏家たちを刺激し続けています。

〔楽器情報〕
2004年製作、No.467。弦長は650mmに設定されています。

製作から20年が経過し、色気をまとった枯れた音色が魅力の一本です。高い瞬発性と十分な音圧を備えつつ、長年弾き込まれることで適度な粘りが加わり、他のグラナダ派ブランドには見られない独特の明暗を併せ持つ音色に仕上がっています。音の伸びも良好で、全音域にわたってバランスが取れており、レスポンスの速さも印象的です。マリン工房特有の力強く高く抜けていく感覚をしっかりと保持しながら、そこにクラシカルな翳りを内包した響きが非常に魅力的な一本です。

全面セラックニス仕上げ。糸巻きにはルブナー製を装着しています。ネックは真っ直ぐで演奏性は良好、フレットの摩耗もほとんど見られません。弦高は1弦2.3mm、6弦3.3mmと低めに調整されており、サドルの余剰も約1.5mmあるため、今後の調整にも対応可能です。弦の張りは比較的柔らかく、ネック形状も一般的で弾きやすいセッティングとなっています。

使用感はありますが、大きく目立つ傷はありません。ネック裏全体には演奏に伴う細かな傷、サウンドホール付近に軽微な弾き傷、表板ネック継ぎ目付近の高音側に浅いひっかき傷が数か所見られますが、いずれも演奏使用によるもので、外観を大きく損なうものではありません。割れ等の修理履歴はなく、コンディションは良好です。黒色のハードケースが付属します。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ホセ・マリン・プラスエロ Jose Marin Plazuero
モデル/品番 Model/No. No.763
001_001_jmarin_2_02_213
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2013年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ヒスコック ケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.6mm

〔製作家情報〕
1960年、スペイン・グラナダ生まれ。14歳で伯父アントニオ・マリン・モンテロの工房に弟子入りし、10年後の1984年に自身のラベルによるギター製作を開始。その後現在に至るまで、アントニオと同じ工房で製作を続けており、同工房はスペインギター屈指の名品を世に送り出す存在として、国際的にも高い評価を得ています。
「グラナダ的音色」という言葉から多くの人が思い描くイメージに、最も円満に当てはまる製作家の一人と言えるでしょう。豪壮さと繊細さを併せ持ち、抜けるような明朗さと深みを兼ね備えた音色はもちろんのこと、高い造作精度、精緻を極めた意匠、美しい塗装など、楽器としての完成度の高さにおいてもスペイン屈指の素晴らしさを誇ります。その楽器は、ジャンルを問わず第一線で活躍する演奏家たちを刺激し続けています。

〔楽器情報〕
2013年製作の No.763。

明るい音色を基調とし、軽い弾き味と高い瞬発性を備えたレスポンスの速さが印象的な一本です。音の伸びも良く、全音域にわたってバランスに優れています。ホセ・マリン特有のシャープな音の輪郭と、グラナダ工房ならではの力強く高く抜けていく響きが見事に表現されています。

全面セラックニス仕上げで、糸巻きにはルブナー製を装着。ネックはわずかに順反りの標準的な状態で、演奏性は良好、フレットの摩耗もほとんど見られません。弦高は1弦 2.8mm、6弦 3.6mmに調整されており、サドルの余剰も約1.5mm残されているため、今後の調整にも対応可能です。弦の張りは比較的柔らかく、弾きやすいセッティングとなっています。

製作から10年が経過しており、全体的に細かな傷が見られます。ネック裏全体には演奏時に生じたとみられる細かな擦り傷、サウンドホール付近には弾き傷と思われるひっかき傷が数か所、表面板ボトム部には浅い打痕が確認できますが、いずれも通常使用によるもので、外観を大きく損なうものではありません。割れ等の修理履歴はなく、コンディションは良好です。ヒスコックケース(黒)が付属します。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー3世 Hermann Hauser III演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル Segovia No.109
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弦長 Scale Length 645mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1983年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:シェラー
弦 高:1弦 2.8mm / 6弦 3.9mm

〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー Hermann Hauser
20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し製作を続けている、クラシックギターの世界では屈指の名門です。ヘルマン・ハウザーI世(1882-1952)が、ミゲル・リョベートが所有していたアントニオ・トーレスとアンドレス・セゴビア所有のマヌエル・ラミレスをベースにして自身のギターを改良し、後に「セゴビアモデル」と呼ばれることになる「究極の」名モデルを製作した事は良く知られています。それはトーレスがギターの改革を行って以降最大のギター製作史における事件となり、その後のギター演奏と製作との両方に大きな影響を与えることになります。1世が成し遂げた技術的な偉業は2世(1911-1988)、更に1958年生まれの3世に受け継がれ、それぞれが独特の個性を放ちつつ、このブランドならではの音色と驚異的な造作精度を維持したギターづくりを現在も続けています。1世はいまやトーレスと並ぶほどの高値がオークションではつけられ、1世のニュアンスにドイツ的な要素を加味した2世の作品もまたヴィンテージギター市場では高額で取引されています。3世はますますその工作精度に磨きをかけながら、長女のカトリン・ハウザーとともに現在も旺盛に製作を続けています。

ヘルマン・ハウザー3世(1958~)が初めてギターを製作したのは1974年、そして翌年地元の弦楽器工房で修行を始めており、ここですでにその技術は優秀だったようで、優れた徒弟に送られる賞を国から授与されるなどしています。この後ドイツ弦楽器製作の中心地とされているミッテンヴァルトの楽器製作学校に入学(父親も同地のヴァイオリン工房で修行)。これと並行して1978年から父であるハウザー2世のもとで製作を始めています。この最初期からそのクオリティはすでに瞠目すべきものがあり、マスタークラフツマンとして円満に製作していたかと思わせるものの、やはり父親の(そして祖父の)あまりにも輝かしい歴史と厳しい指導のプレッシャーは相当なものだったようです。しかし3世はここでただのコピーモデルを製作することに落ち着くことなく、ブランドの美学を十全に継承しながら自身の創意や工夫を凝らしたモデルラインナップを展開してゆきます。それは1980年代から始まり、1988年にハウザー2世が亡くなり正式にこのブランドを継いだ後の1990年代から2000年代にかけて進められてゆくことになるのですが、いわばドイツ性の極限までの洗練化とでもいうべきもので、鍵盤楽器のように整った音響設計、音像はそのクリアネスをさらに増し、さらには楽器本体の造作精度もこの上ないものになってゆく、モダンギターの趨勢には全く与することのない姿勢を保ちながら彼なりの現代性を獲得してゆくことになります。ハウザー家には彼の曾祖父の時から100年以上にわたって受け継がれてきた豊富な良材があり、これらの材を贅沢に使用した豪華な外観もまた3世の楽器の大きな魅力の一つとなっています。

〔楽器情報〕                                   
ヘルマン・ハウザー3世製作の「セゴビア」モデル、1984年製 No.109が入荷いたしました。3世最初期の佳品と呼べる1本。父2世の教えと影響を如実に受けながら、やはり非凡と言える工作精度と音響における確かな完成度は見事なもので、ハウザーブランドの名に恥じぬ個体となっています。1980年代のこの時期(つまり2世存命の時期)の特徴としては軽めなボディと明朗でスペイン的な発音とがあり、これは1世のキャラクターとも通底するもので、1990年代後半以降ドイツ的な傾向を深めてゆくものとは対照的な魅力に溢れたものとして現在も人気があります。

1世が開発したセゴビアモデルをベースにしながら、ここでは3世独自の(おそらくは2世からの影響も受けての)力木構造における試みが為されています。サウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバーを配置し、左右対称7本の扇状力木と駒板位置には同じ幅の薄いプレートが貼り付けられているという全体の構造。サウンドホール下側のハーモニックバーはちょうど真ん中(サウンドホール真下の部分)でほんのわずかにネック側に向かって屈折しており、これは2世後期のギターにも見られた特徴です。また通常のセゴビアモデルでは設置されている2本のクロージングバー(ボトム部で扇状力木の先端を受けとめるようにハの字型に配置される)がなく扇状力木がボトム近くまで伸びています。7本の扇状力木は1世そして2世のセゴビアモデルと比べると扇の中心角の角度が小さく、力木が表面板の中央にやや寄り添うようにして配置されているのも特徴と言えます。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

ハウザー的な特性である、全体に位相差のない定位感のしっかりした音響設計で、適切な重心感覚を持った低音から高音までが均質に、鍵盤的と言ってよいほどのバランスで構築されています。スペイン的な木の感触を持った音像というよりは、しっかりと音楽的に精製されたような音像が心地よい反発感を伴いながら発音されます。ハウザーにおいては時に非常な透徹さで現れるこの音像は、ここではふっくらとした奥行き(オーディトリアム感)があり、ブランドが不可避的に内包している厳しさと彼の優しさとの案配がいかにもこの時期の3世らしい。音の表情もやや明るめで、あくまで気品を失わずロマンティックに表情を変化させてゆくその表現力、スタッカートやスラ―など装飾的な身振りをはじめとする反応性など機能的な面でも秀逸です。

割れ等の大きな修理履歴はなく、表面板は指板両脇やサウンドホール高音側などに軽微な打痕や弾きキズ、駒板下には1弦位置に弦とび跡などありますが概ねきれいな状態、横裏板も衣服等による摩擦が少々あるのみできれいな状態です。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も問題ありません。ネックシェイプは薄めのDシェイプ、ネックとヘッドはVジョイント方式で接合されています。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5~1.0mmとなっています。糸巻はドイツの高級メーカーScheller 製に交換されており、現状で動作状況は良好です。重量は1.60㎏。





商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ビセンテ・カリージョ Vicente Carrillo演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. インディア エステューディオ INDIA ESTUDIO
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弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2008年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.2mm / 6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
1744年より代々続くギター製作の家系に生まれた当代ヴィセンテ・カリージョ Vicente Carrillo(1963~)は、著名なギタリストや弦楽器職人のアドバイスを積極的に取り入れると共に、精力的にその楽器の紹介にも取り組み2010年にはスペインの工芸家技術賞を獲得しています。良質なクラシックギターも製作していますが、特に彼のフラメンコギターは愛好者が多く、パコ・デ・ルシアやトマティートも所有していることで知られています。近年は名手カニサレスなどの使用によりますます世界的にシェアを拡大しているスペイン、クエンカの老舗ブランドです。                           

〔楽器情報〕 
ヴィセンテ・カリージョ製作 インディア・エステューディオ 2008年製 Used の入荷です。表面板はドイツ松、横裏板はインディアンローズウッド仕様のクラシックモデル。Estudioの名の通り「入門モデル」と位置づけられるもので、その機能性(音量の豊かさ、発音における反応の速さ)や演奏性(左手のグリップ感、弦のテンション感覚)において、アーティストからの厳しいフィードバックやモダンスタイルの設計なども柔軟に取り込みバランスフルな一本にまとめてしまう力量も持つ彼だけに、他のブランドの追従を許さぬような「ちょうど良い」着地点が見極められており、実に弾き心地のよいギターとなっています。加えていかにもスペイン的な明朗な響きも自然に備わっており、どのジャンルの音楽にも対応できるスタンダードな音色もまたこのブランドらしい。

カニサレスモデルなどでは格子状の力木構造を採用するなど現代的なアプローチもしていましたが、本作ではスタンダードな扇状力木の設計になっています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、このうち下側の方のバーの中央部から高音側横板に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のトレブルバー的な力木と、これとは別に扇状に配置された5本の力木、ボトム部でこれらの先端を受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバーという全体の設計、レゾナンスはF#~Gの合い札に設定されています。

割れ等の大きな修理や改造歴はありません。表面板は高音側の指板脇からサウンドホールにかけて、ボトム部分の縁に沿って低音側~高音側まで弾き傷や打痕が見られます。また駒板下には1弦と3弦部分に弦飛び跡があるほか全弦のエリアで弦交換時のキズがあります。横裏板は全体に衣服による細かな摩擦跡やスクラッチ痕があり、また塗装は湿度の影響などによりやや白化していますが継続しての使用には問題ありません。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、ネック形状は薄めのDシェイプでフラットな設定になっておりコンパクトなグリップ感。弦高値は3.2/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~2.5mmあります。スーパーライトケース(ブラック)付属。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  198,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 クリストファー・ディーン Christopher Dean
モデル/品番 Model/No. No.122
001_Cdean_1_02_190
弦長 Scale Length 650mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1990年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(黒)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.7mm / 6弦 3.5mm

[製作家情報]
クリストファー・ディーン Christopher Dean 1958年生まれ。イギリス、オックスフォードに工房を構える。10代の頃よりギターを演奏していましたが、17歳の時にプレゼントされたIrving Sloane のギター製作マニュアルを読んだことをきっかけに製作への興味を持ち始めます。1979年には有名なLondon College of Furnitureに入学し3年間楽器製作についての基礎を学びます(同校はゲイリー・サウスウェル、マイケル・ジーらの出身校でもあります)。ここでのカリキュラムにはホセ・ルイス・ロマニリョスやポール・フィッシャーの工房での実地研究も含まれていたことがきっかけになり、卒業後1年間ニュージーランドで家具製作に従事したのちに1982年フィッシャーの工房に職人として入ります。ディーン自身はフィッシャーのことを師として尊敬し実際に多くを学んでゆきましたが、フィッシャーはこの青年の成熟した感性と技術をすぐに見抜き、わずか3か月の「研修期間」のあとすぐに正式な職工としてフィッシャーラベルのギター製作を託すことになります。ここで充実した3年間を過ごした後に独立し自身の工房を設立、現在に至ります。

その作風は師であるフィッシャーや、さらにさかのぼってデヴィッド・ルビオをも想起させる堂々たる外観とたっぷりと濃密な艶を含んだ音色、力強い響きなどが挙げられますが、そうした彼の出自に直接つながるラインとは別にフランスのフレドリッシュ、トーレス、ハウザーからも多くのインスピレーションを得ており、とりわけサントス・エルナンデスからの大きな影響を受けています。1929年製のサントスギターを修繕する機会を得た彼は実地にオリジナルの構造を研究し、その後すぐれたサントスモデルを発表。憧れてやまないと公言する伝説的ギタリスト アンドレス・セゴビアへのオマージュさえも含んだすぐれたモデルとして高い評価を得ています。

[楽器情報]
クリストファー・ディーン製作オリジナルモデル 1990年製 No.122 Usedです。1980年代後半に入ってから自らの工房を立ち上げた彼にとって本作はいわばキャリア初期のモデルであり、その仕上がりには多分にフィッシャー的なものを感じさせながらも、すでに彼の後年の特質となるある意味学際的と言えるほどに多様性を内包しつつさりげなく伝統的な身振りのなかに自己をおいてみせる、その独特のスタンスの萌芽が見て取れます。師であるフィッシャーがアカデミックなアプローチにやや偏向し過ぎた感のある展開をちょうど同時期に見せ始めるのに対し、ディーンは自らの出自と語るルビオとフィッシャー、そしてセゴビアの音色を基礎としながら、まさに横断的に数々の先達の作のエッセンスを吸収し、持ち前のバランス感覚で見事にそれらの音響を新たな洗練へと昇華させていきます。

表面板の力木配置はスパニッシュギターの影響を如実に感じさせるもので、サウンドホール上側(ネック側)に高さと断面形状のそれぞれ異なる2本のハーモニックバー、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーともう一本のトレブルバー(低音側から高音側に向かってボトム方向に斜めに下がってゆくようにして設置されたバー、ここでは下側ハーモニックバーのやや低音寄りの部分を起点として高音側横板に向かって伸びています)、そしてこの上下バーの間、サウンドホール高音側と低音側とにそれぞれ各一本の短い力木がちょうど近接する横板のカーブに沿うようにして設置されています。ボディ下部は計6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配置、ボトム部にはそれらの下端を受け止めるように2本のV字型に配されたクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積に2mmほどの厚さの補強プレートが貼ってあるという全体の構造。表面板と横板との接点にはペオネスではなくライニング板が設置されています。レゾナンスはAの少し上に設定されています。

いかにもスパニッシュギター的な構造を採用しながらここでディーンは敢えて低音の重心を下げ過ぎず、響きも太くし過ぎず、自然に高音の力強さが際立つような音響設計で全体を実にバランスよくまとめあげており、敢えて言えばホセ・ラミレス的マドリッド派との近似性はあるものの(レゾナンスの設定も含め)、これらのギターにおける高音の歌の強い前景化と比して、ここでのディーンはいかにも洗練されています。その高音の樹脂のような濃密な透明感とそれを適切に支える低音とのバランスが作り出す音響はとても魅力的。一つ一つの音像そのものはクリアで、自然な奥行きを伴って響きます。その表情も十分に豊かながら甘さを回避し、やや安直に言えばイギリス人らしいジェントルなニュアンスで統一されているので、バロックからロマンティックな楽曲までが自然にクラシカルな相貌におさまってゆきます。

現在彼はほぼすべてのギターをセラック塗装仕様にしていますが本作では厚みのあるラッカー塗装。湿度変化によると思われるウェザーチェックが表面板全体に見られますが、現状で継続使用には問題ございません。割れや改造等の大きな修理履歴はなく、また弾きキズなどのも指板脇やサウンドホールの周りなどにわずかにあるのみで、横裏板は衣服等による軽微な摩擦あと、ネック裏も細かなキズだけの状態となっています。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでわずかに摩耗ありますが演奏性には影響ありません。ネック形状はやや薄めのDシェイプでフラットな握り心地。弦高値は2.7/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0mmあります。指板は高音側20フレット仕様となっています。糸巻はスローン製を装着しておりこちらも現状で機能性に問題ありません。重量は1.76㎏。



定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez
モデル/品番 Model/No. Especial
001_JeronimoPF_02_178
弦長 Scale Length 670mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1978年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板:ラッカー
   :横裏板:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm / 6弦 3.9mm

[製作家情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez(1933~)スペイン、アンダルシア州のハエン県、マルモレホに生まれ、同地に工房を構える製作家。農家の子として育ちますが、9歳の時に大工の工房に弟子入りし(この工房ではしばしば地元の演奏家たちの楽器も修理していたようです)、ここで木工と装飾彫刻を学んでゆきます。幼少期からギターには興味を持っており、1950年代には独学でギターを作り始めています。それら初期の作の一つがフラメンコギタリストPepe Marchenaを通じてある数学教授兼コレクターのもとに渡り、その出来栄えに感動した彼は自身のコレクションから勉強のために銘器を貸し与えるとともに、フレッティングについての数学的な助言を与えるなどしています。1967年(1966年と記載している文献もあります)にはギター製作家として完全に独立して仕事をするようになりますが、ここに至るまでやはり全くの独学で製作技法を学んでいたものの、その木工技術の精密さ、音とデザインの独創性、すぐれた演奏性など楽器としてのトータルな完成度の高さによって評価と人気を得てゆくことになります。

1993年には自身の製先技法を詳細に記した著書「El Arte de un Guitarrero Espanol」を上梓しており、書中では大工工房でみっちりと修行した彼らしく木材の適正な伐採時期(彼によると1月の、満月から一日経った最初に欠ける日に伐採するのが最適だという)から極めてユニークな内部構造の設計についてなどが語られています。

彼のギターの特徴はまずその外観において、ヘッドと駒板の彫刻、厳選された木材の美しさ、やや大きめなサイズ感とその全体の比類の無い威容、エレガンスにまずはあると言えます。加えて内部構造ではアントニオ・デ・トーレスの伝統的なスペイン工法を土台としながら、より緻密で複雑な設計が為され、それは音響において彼がむしろアーティスティックな感性において追求し続けた音の丸み(redondez)を体現するものとして発想されているがゆえの、ある種数学的な有機性によって統一された極めて美しいものとなっています。またこうした独創性が決して発想の特異さのみに堕することなく、楽器として音楽的な豊かさに帰結しているところはやはり特筆すべきでしょう。

フラメンコとクラシックの両方を製作し、フラメンコではマノロ・サンルーカルらの名手が使用しそのカテゴリーでの名声が高まりますが、杉材の荘重な佇まいが印象的なクラシックがむしろ現在は人気のアイテムと言えるでしょう。付言すれば、イギリスのヘヴィメタルアーティストOzzy Osbourneの初期バンドメンバーであった夭折の天才ギタリストRandy Rhodes(彼は優れたメタルギタリストであると同時にクラシックの正統な教育も受けていました)が1979年製のヘロニモ・ペーニャ製作のクラシックモデルを愛用していたことで、ハードロックファンにはいまも伝説的かつ垂涎のアイテムの一つとなっています。

[楽器情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス製作、1978年製 Especial モデル。非常に状態の良い美品Usedが入荷致しました。このブランドの符牒とも言える尖塔形のヘッドシェイプではなく、トーレスを思わせるスタイルで彫刻のデザインも異なります。またラベルも羊皮紙の巻物を紐解いたようなレトロなデザインでこれも彼の通常モデルとは異なり、Especialモデルのみの仕様のようです。ヘッドと駒板などの、印象的ですがしかしぎりぎりのところで抑制されたデザインの彫刻や意匠、彼の面目躍如たる厳選された材(おそらくSequoia杉を使用した表面板の赤みの深さ、横裏板は野趣溢れる中南米ローズウッドの組み合わせ)の美しさ、たっぷりとした容量のあるボディながらしかしスマートさを感じさせるきりっとした外観がやはり素晴らしい。指板エンド部分もささやかな木彫が施され、サウンドホールラベルを慎ましく引き立てていることも特筆すべき点でしょう。

実に特徴的な内部構造を持ったギターです。基本となるのはトーレス的なハーモニックバーと扇状力木の組み合わせ。サウンドホール上下に一本ずつのかなり強固なハーモニックバーを設置していますが、このうち下側のほうのバーはサウンドホールの真下部分を頂点として大きくネック方向に湾曲して設置されています。またネック脚を貫通するようにして1本、そしてネック脚と上側ハーモニックバーとの間にも1本の短くやや繊細な造りのバーを設置。下側ハーモニックバーの低音側のほぼくびれに近い部分からは同じように強固な造りのバーが横板に向かって斜めに下がってゆくようにしかもやはり湾曲して設置されています。サウンドホール周りにはまず一枚の補強板が貼られた上に高音側と低音側それぞれに一枚ずつの幅の狭い補強板が貼られているという二層構造。そしてボディ下部は左右対称5本の扇状力木と3本の等間隔に設置されたバー(これらはハーモニックバーよりも細く低い形状)とが交差しており、そのグリッド状になった枡目の一つ一つに対角線を結ぶようにしてX状の力木が設置されています。この小さなX状力木はサウンドホールの高音側と低音側にも(補強板縁から横板との範囲を覆うように)設置されています。これらXの延長線をつなげてゆくとちょうど表面板下部全体がモダンギターの特徴的な構造の一つラティスブレーシングと同じような格子状配置になるのが興味深い(ちなみにオーストラリアの製作家Greg Smallman が格子状力木を実用化したのも1970年代後半であり、名手ジョン・ウィリアムスが使用したのが1981年製で世界中に認知されるのは1980年代以降であるから、ヘロニモ・ペーニャとスモールマンの直接の影響関係は考えにくいのですが、両者の同時代的な進歩的精神の偶然の一致はギターの製作史を俯瞰してみると非常に象徴的なものを感じさせもします)。また裏板には両横板を繋ぐ計5本のバーと、センターの接ぎ部分にやはり二層構造で補強プレートが設置されている他、高音側と低音側のボトムからネック付け根までを繋ぐ各一本の補強板(裏板と同じ素材で作られている)がほんのわずかに湾曲して設置されてています。レゾナンスはF#とGの間に設定されています。

表面板はスタンダードなサイズですが、ボディ厚みがアッパー部で10.6cm、ボトム部で11cmあるその容量の大きさと、木材の性質を十全に活かした響き。ふっくらとした奥行きを持ち、レゾナンスが低めながら低音に偏ることがなくむしろ高音域に渡るまで全体に整った、そして非常に洗練された統一感があり、構造的に格子状力木と近似しているせいか、弾性感をともなった、表面板から直に立ち上がってくるような発音が心地よい。音量はしかしモダンギターのような過度に増幅されたような感覚はなく、あくまでも自然に豊かに響きます。演奏において、特に高音の輪郭のはっきりした艶やかな音像が、十分なサスティーンと奥行きを持ちながらまるで形の整った玉のように連なってゆくのがなんとも魅力的で、それを低音の(低音自体も非常に引き締まった音像なのですが)たっぷりした響きが支えるような全体の音響はやはりスペインならではと言えるでしょう。

(コンディションについて)
表面板は駒板下1弦側に弦とび跡がありますが、その他は指板脇に数か所の軽微なスクラッチあとと衣服等による微細な摩擦あとのみで、横裏板もほぼ無傷に近く、年式を考慮すると全体に非常な美品と言える一本。割れ等の大きな修理や改造等の履歴はありません。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットも適正値、糸巻きはスペインの老舗ブランドFusteroを装着し、こちらも動作状況に問題ありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ。ネックの差し込み角、ブリッジの設定などが絶妙で、670㎜の長いスケールを全く感じさせてない左手の演奏性。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)で、サドル余剰は0.5~1.0mm。弦の張りはスケールの割には中庸からむしろ弱めで、この点でも左手のストレスが軽減されています。重量は1.9㎏。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 オリヴィエ・ファントン・ダンドン Olivier Fanton d’Andon演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_OlivierFD_02_208
弦長 Scale Length 653mm
国 Country フランス France
製作年 Year 2008年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option セミハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.0mm / 6弦 4.0mm

フランスの伝統的なギター製作技術と現代的な感性を融合させたルシアー、Olivier Fanton d'Andon(オリヴィエ・ファントン・ダンドン)氏による2008年製の中古クラシックギターが入荷いたしました。

Fanton d'Andon氏は、フランス南部に工房を構え、精緻なクラフトマンシップと音響設計の高さで知られる気鋭のギター製作家。伝統的なトーレス〜ブーシェの流れを汲みながらも、洗練された音色バランスと繊細な表現力を備えたギターを世に送り出しています。これまでに多くのコンサートギタリストや上級奏者に愛用されており、フランス国内外で着実に評価を高めている存在です。

今回入荷した本器は、2008年製の一本。深く柔らかい音色が印象的で、特に中音域のふくらみと高音の透明感が絶妙なバランスで共存しています。ピアニッシモからフォルテシモまでのダイナミックレンジも広く、表現力を追求する奏者にとっては非常に魅力的な楽器です。

外観には年式相応の小傷や使用感がございますが、演奏性・構造面においては非常に良好な状態を保っており、即戦力の一本としておすすめできます。

音色の美しさと深み、そしてフランス的エレガンスを併せ持った逸品。個性的かつ繊細な表現を求める方に、ぜひご試奏いただきたいギターです。

ご試奏や仕様の詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 コルヤ・パンヒューゼン Kolya Panhuyzen
モデル/品番 Model/No.
001_PanhuyzenK_2_02_201_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2001年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース(ホワイト)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.1mm / 6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1941年生まれ。母親のイレーヌはドイツの名工エドガー・メンヒ(1907~1977)の妹にあたる。1964年に当時トロントに住んでいたパンヒューゼン一家をメンヒが訪れるところからメンヒとカナダスクールの関係、またパンヒューゼンの製作家への最初の道のりが始まります。当時は学校の教師をしていたパンヒューゼンは、トロントに移住し同地の楽器店の為に旺盛な製作活動を行う叔父の姿を見て、製作への興味を持ち始めます。そして1967年に最初の「全く不出来な」ギターを造り上げ(メンヒに当時師事していたJean Larriveeに酷評されながらも)、ギター製作家になることを決意。教師の職を辞して2年間メンヒに師事し、1971年にメンヒがドイツに帰国した際には自身もドイツに移り、1976年までメンヒの工房で働きます。その後トロントに戻り自身の工房を設立、そして1992年に再びドイツに移住しシュトゥットガルト近郊に工房を移設、現在も同地で製作を行っています。

当初彼は叔父の作風を継承した伝統的なスタイルで製作をしており、1970年代メンヒの工房で働いていた時にはメンヒ2世ラベルのギターを手がけるなどしていました。一度カナダに戻り独立した後はモダンギターの潮流へのアプローチも行うようになり、再びドイツに移住してからはその姿勢はより明確化してゆくようになります。叔父メンヒ譲りのドイツ的なしっかりした構築感と様々なユーザーや時代のニーズに合わせた柔軟な感性との融合により生まれた彼のギターは、伝統的な音色にごく自然に現代的な高機能性を付加したような極めて見事なバランスを達成したものとなっており、ヒューバート・ケッペルらの名手が愛用している事でも知られています。

〔楽器情報〕
コルヤ・パンヒューゼン 2001年製作 Usedの入荷です。のちにはラティスブレーシング(格子状力木)構造などのモダンな工法においても高い成果を上げることになる彼の、伝統的スタイルからの移行期とも見てとれる設計で作られたモデルです。ここでパンヒューゼンはまさしくスパニッシュ的要素とメンヒ的(ドイツ的)な要素とを無理なく融合させながら、独特かつ自然な方法で彼自身の音響へと着地させるとともに、現代の演奏者のニーズに十全に応える極めてバランスフルな1本として完成させています。

外観はいかにもメンヒスクールらしい素朴で凛とした佇まいですが、内部力木構造は特徴的なものとなっています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバーを設置し、さらに強固な2枚の補強板(幅2cm×高さ1cmほどもある)がネック脚付け根両側からサウンドホール両脇をかすめるようにして下側ハーモニックバーに至るまでをがっちりと固定するように設置されており(この2本の補強板はネック付け根両側を起点としてボディ下部方向に向かって広がってゆくような配置関係になっており、その延長線上をなぞるようにして後述の扇状力木が同じ角度でもって設置されています)、表面板上部の振動をしっかりと抑制しています。ホール上側のハーモニックバーは厳密には1本のバーではなく2本の補強板によって分断されています。またホール下側のハーモニックバーは低音側にのみ高さ3mm×長さ4mmほどの開口部が設けられています。

ホール下側のハーモニックバーとブリッジの間には一本の薄いバーが設置され、同じようにブリッジとボトムの間にも1本の薄いバーが設置されており、これら2本の間を繋ぐように左右対称の5本の扇状力木がほとんど平行に近い角度で設置されています(扇状力木はいちばん高音側の1本のみボトム側のバーを貫通してボトムまで到達している)。ブリッジ位置には薄いプレート板がほぼ横幅いっぱいに貼り付けられています。このような数本のバー配置とほぼ垂直に交差する力木というスクエアな全体構造は例えば日本では河野賢が積極的に採用してきたものですが、直接の影響関係があったかどうか定かではありません。表面板はドイツ製のギターとしてはかなり薄めに加工されており、上記のような構造によって表面板上部の振動をしっかりと抑え、ブリッジを中心とするボディ下部を効果的に振動させています。レゾナンスはF#~Gに設定。

パンヒューゼンの慎ましい個性として、いかにもドイツ系らしい透徹さと、おそらくは彼自身の気質にも由来するのであろう澄んだ優しさとが同居した、何とも言えない清々しさが挙げられます。その魅力的なブレンドはカナダにおけるメンヒスクールの面々にも、現代のドイツでも見つけることのできないもので、曲の演奏にもさりげなくしかし確かな表情として現れてきます。やはりドイツ的といっても良い(しかしハウザーのような硬質さとは異なる)粘りを持った発音と雑味のないきりっとした音像。穏やかで優しい、自然なリリシズムが楽器自体に備わっており、それがドイツ的音響特性と絶妙に相乗してこの上なく上品な、凛とした表情を湛えています。機能的にも申し分なく、心地よくタッチにまとわりついてくるような速い反応、しっかりとした和音での統一感、音量のダイナミズムも、どれも先述の通りあくまでも慎ましくしかし精緻さにおいて申し分ありません。

ネック形状は普通の厚みのDシェイプでグリップ感はコンパクトな印象です。割れなどの修理履歴は無く、表面板はわずかにスクラッチ痕などがあるのみ、裏板は演奏時の衣服の摩擦痕などがありますが、全体に綺麗な状態を維持しています。表面板は薄く加工されているためか、力木の位置に沿ってほんの若干の波うちがありますが、現状継続しての使用には全く問題のないレベル。ネックは真っすぐを維持しており、またフレット等演奏性に関わる部分は全く問題ありません。糸巻はシャーラ―製を装着しておりこちらも現状で機能的な問題はありません。弦高はおそらく出荷時のままですが、ブリッジサドルの調整余地が十分にありますのでさらに低く設定することも可能です。

また全体は薄めの上品なラッカー仕上げで、茶と黒を基調にしたロゼッタの渋く洒落たデザインはじめ、細部まで行き届いた造作と全体の慎ましい佇まいも気品があり、この点でも特筆すべき1本となっています。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 サンティアゴ・デ・セシリア Santiago de Cecilia
モデル/品番 Model/No. No.110
001_SdCecilia_01_214
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2014年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.5mm / 6弦 3.9mm

[製作家情報]
サンティアゴ・デ・セシリア Santiago de Cecilia スペイン、バルセロナに工房を構える、María Cecilia Saenz Rols と Juan Santiago Canals(ともに1977年 アルゼンチン生まれ)の共同製作によるブランド。サンティアゴは地元でギター演奏を学ぶうちに製作に興味をもち、1996年ラプラタ国立大学芸術学部に入学、優秀な成績を修めます。ここでの学業と平行してスペインギター製作に関する講習なども受講し、2003年には奨学金を得てスペインで最も権威ある音楽機関であるConservatori Superior de Música del Liceuの大学院で学びます。同機関の所在地であるバルセロナにて、彼は製作家のラウル・ヤーグェ、そしてホセ・アントニオ・レジェス・トーレスの知遇を得て楽器製作とそのマーケットについて学び、同地にてセシリアとともに工房を開くに至ります。セシリアは最初チェロ演奏を学んでいましたがサンティアゴと出会いギター製作に興味を持つようになります。サンティアゴとともに2003年スペインに渡り、彼女もまた彼と同じくヤーグェとレジェス・トーレスに製作の薫陶を受け、やがてサンティアゴ・デ・セシリアとして共同ブランドを開設、現在に至ります。

彼ら自身が語るようにそのギターはスペインの伝統的(トーレスやバルベロの名を挙げています)な工法に則った、良い意味で古風で、親しみのある、「ヴェルヴェットのような」音色が魅力とされています。

[楽器情報]
サンティアゴ・デ・セシリア 2014年製作 No.110 Used の入荷です。彼らが傾倒してきたスペインのオールドスクールの響きを衒いなく現代の感覚にフィットするように素直に、親しみやすい音色として着地させたような佳品で、小さめなボディにロゼッタ等の古風なデザインなど造りの丁寧さとまとまりのある心地良い響きが魅力の一本です。

表面板の力木構造もまたオーセンティックなもので、ウェストより上部分はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)一本ずつのハーモニックバーを設置し、上側バーとネック脚の間に薄い補強板、サウンドホール両側(高音側と低音側)に1本ずつの力木が近接する横板のカーブに沿うようにして2本のバーの間に設置されています。下部は左右対称5本の扇状力木とボトム部分に逆ハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板部分には横幅いっぱいに補強板が貼られているという全体の構造。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

スペイン的な重厚さや清新さ、ある種のアクの強さといったものよりも優しく落ち着いた響きが特徴で、ふわりとしたエコーがあり、ほとんどモノトーンな感触さえある音のたたずまい。しかしながら必要に応じて情感や力強さを表出する十分なポテンシャルを備えており、これらが全体としてちょうどよいバランスで着地しているところがある意味現代的とも言えます。同時に全体に程よく古風な雰囲気を有しており、弾くだけで曲をひとつのまとまったトーンの中に自然に形成してゆくことができます。

セラック塗装による仕上げで、製作から10年ほどの経過ですが、かなり弾き込まれているため全体に弾きキズ打痕、塗装の擦れや変色などが経年数のわりには多く目立ちます。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。ネックはわずかに順反りですが許容範囲内にとどまっており、フレットや指板は特に1~5フレットで摩耗目立ちますが演奏性には問題のないレベル。ネック裏も爪キズが全体についており、特に高音側は塗装がかなり摩耗しています。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ。指板は高音側20フレット仕様。弦高値は3.5/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5mmあります。糸巻はスペインの老舗ブランドFustero 製を装着、現状で機能性には問題ありません。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  440,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 グレッグ・スモールマン Greg Smallman演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_smallmanG_02_189
弦長 Scale Length 650mm
国 Country オーストラリア Australia
製作年 Year 1989年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板:ラッカー
   :横裏板:ラッカー
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.0mm / 6弦 4.0mm

[製作家情報]
グレッグ・スモールマン Greg Smallman 1947年オーストラリア生まれ。トーレス以降、クラシックギターの製作法において最大の革新を成し遂げた製作家です。1970年代からギターづくりを始め、最初はスペインの名工イグナシオ・フレタなどの「伝統的な」スタイルで製作していましたが、やがて独自の発想による設計を模索し、実践することになります。ラティス構造と呼ばれる格子状に配置された表面板の力木構造と、まるで現代建築のように加工され配置された堅牢なバーの構造は独特極まりなく(それゆえ重量も従来のクラシックギターの2倍近くと重くなっています)、それまでのいわゆ扇状力木と平行に配置されたハーモニックバーという基本的な構造とは完全に異なる発想で造られています。そして表面板を薄く、横裏板を厚いアーチシェイプ仕様にすることで表面板の振動を最大限に音響化することに成功し、その結果発音の反応、音量、各音と各弦のバランス、ダイナミクスと遠達性、サスティーンが文字通り驚異的に向上しています。スモールマンによるとこの独創的な構造は子供の時に熱中した模型飛行機の構造原理からからインスピレーションを得ているのだそう。

従来のギターではレゾナンスの設定とそれに伴いどうしても発生してしまう音響の不均質も、ここで飛躍的に解消され、全体のピッチもナイロンギターとしてはこれ以上望む程がないほどに正確に設定されています。そして最も特筆すべきは、こうした音響的な弱点の克服が為されたあとでも機械的な響きに堕することなく、音楽的な豊かさも同時に獲得していることでしょうか。それは彼を発掘し、彼のギターによってそのキャリアの後半を形成していった名手ジョン・ウィリアムスの演奏が如実に語るところです(ジョンは1981年からスモールマンのギターを使用)。ジョンのあとも数々の名手たちが愛奏し、またJ.ペロワやG.ビアンコなど現代的感性を持った若きマエストロ達のスモールマンを使用しての演奏は、このギターが革命であると同時に普遍性を備えたものであることの証左といえるでしょう。

1999年よりラベルには二人の息子DamonとKym の名が記され、Greg Smallman&Sonとなっています。ネックは可動式になり、専用のレンチで角度を簡単に変えることができ、奏者に合った演奏性にすぐに対応できるような仕様になっています。また初期には単板仕様となっていた横裏板もラミネート加工としてより堅固な設計となり、表面板はラティス構造を基本形として継続しながらバーの設計や配置については大幅な改変が試みられています。初期において(特に1980年代)はその発音と音色にどこかまだトラディショナルなギターのニュアンスを感じさせていましたが、もともと高かった音圧はさらに増大し、響きはより乾いた感触でオーディトリアムな音響へと変化してゆきます。

[楽器情報]
グレッグ・スモールマン 製作 1989年製 ラティス・ブレーシング仕様モデルUsed です。1970年代に入ってからギターを作り始め、その独自の理念を発展させラティス構造というスタイルに帰結させたあと、名手ジョン・ウィリアムスの演奏とそのあまりにも特徴的な音響によってギター製作とステージ演奏の在り方を一気に変えたと言えるモデル。現在ラティス(格子状)構造は製作家や国によってそれぞれ独自の受容と変化がなされ多様化しているとも言えるのですが、スモールマンを祖とするオーストラリア派はやはりそのオリジナルとしての確固たる理論的土台とそれによる個性、それゆえのマーケット的な強い訴求力を現在でも維持しています。

本作1989年はスモールマンのキャリアの中では初期から中期に差しかかかる時期のもので、もともとスペインギターに傾倒していた彼の、歌う楽器への嗜好が如実に感じられる魅力的なものとなっています。横裏板を厚く、表面板を極端に薄く加工し、しかも駒板を中心とするウェストから下のエリア以外は表面板も堅固に柱で固定されているという構造ゆえの(太鼓の構造原理を想像していただくとわかりやすいと思います)、板の鋭敏な震えがそのまま音になったような独特な発音。それと同時に非常な深さをもった奥行きとオーディトリアム感、そして従来のクラシックギターでは未聞であった音圧の異様な高さといった機能的特徴とともに、タッチの変化と直に連動するような音色の繊細な変化とロマンティックな表情が加わります。後年の機能面を充実させた彼の楽器ではその機能が音を従属させているようなところがあり、好悪が分かれるところですが、本作ではあくまでも奏者の指の感覚に音がシンクロしてゆく感覚があり、音量の豊かさや反応の速さといった機能性もここではあくまでも表現のための必然としてあるところが彼の製作家としての感性の確かさを裏付けているといえるでしょう。

今も変わらぬ標準仕様となっているウェスタンレッドシダーの表面板、横裏板には野趣あふれる中南米産ローズウッド。表面板は薄く加工され、裏板はそれに比して厚くそして理論的に追及されたアーチ加工で単板仕様(現在の彼の新作では合板仕様になっています)、構造上の必然として重いボディとなっており重量は2.49㎏。表板の塗装はセラック、横裏板はラッカーで仕上げており、表面板のセダーをはじめ全体に深みのある赤色に落ち着いて実に渋い外観。表面板内部構造はもちろんラティス構造になっており、一本一本が高さと形状の若干異なる9本×9本の合計18本の力木を格子状に組み合わせ、薄く加工された表面板下部をまんべんなく覆うように設置されています。表面板上部はサウンドホールの両脇の一部エリアをのぞいてほぼすべてがなんと3cmもの厚みの板で頑丈に固定されています。横板には(通常なら表面板と横板とを接合するようにしてライニング等が設置されるところ)表面板には直接触れずに少し隙間を空けてこれもまた厚みを持った強固なライニングが設置されて横板を補強しています。この横板に設置された厚いライニングのちょうどボディウェストの位置とエンドブロックとを繋ぐように、さらに各一本の4センチという厚みをもった柱が橋の
ようにして(つまりこれも表面板には直接触れず格子状力木の上を渡るようにして)設置されており、しかもこの二本の「橋」は厚いカーボンと木の二重構造になっています。表面板がこのような建築のような複雑で(格子状力木に覆われた部分以外は)堅固な造りになっているのに対し裏板はバーとそれに類するものを一本も設置していません。レゾナンスはF#~Gの間に設定されています。

割れなどの大きな修理履歴はありません。表面板全体に年代相応の弾きキズや摩擦、打痕等あります。サウンドホール高音側はおそらく製作時に貼られていた保護板をその後より小型のものに貼り換えた形跡があります。横裏板はほんのわずかに塗装白濁していますが外観を損ねるほどではありません。その他演奏時に衣服当たる箇所などに摩擦や擦れなどがあります。ネックは固定式(現行モデルでは可動式)でネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。一度フレットの交換と指板調整履歴が施されており、現在はネックは真っ直ぐを維持、フレットも適正値となっています。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~2.5mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。現行モデルとその他異なる点として、演奏時に右腕肘部分を支えるアームレストは装着されていません。ブリッジサドルは各弦を溝で固定する仕様ではなく通常のフラットな形状のものが設置されています。糸巻はシャーラ―製を装着しており、現状で機能的に良好です。





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