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製作家/商品名
:
ヘスス・ベジード Jesus Bellido
モデル/品番 Model/No.
:
トーレスモデル Torres 6
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
644mm
国 Country
:
スペイン Spain
製作年 Year
:
2007年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option
:
ケース別売
備考 Notes
:
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:ペグヘッズ
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm
〔製作家情報〕
1966年生まれ。スペイン、グラナダの製作家。父親は同地の代表的な名工の一人マヌエル・ベジードで叔父はやはり製作家のホセ・ロペス・ベジード。13歳のころより父の工房に入り、17歳で最初のギターを製作しています。1989~1995の間はギター製作の講師としての職に就き、その後最初の工房を設立して製作に専念。1999年に父マヌエルの工房に戻り現在に致ります。古今の名工たちの多くのギターを修理や復元した経験から、特に自国の銘器に対する造詣が深く、それは彼の作るトーレス、サントス・エルナンデス、マヌエル・デ・ラ・チーカなどのレプリカモデルに顕著に反映されています。また彼のオリジナルモデルもまたこうしたヴィンテージギターのように素朴で明朗、木質の味わい深い響きと迫力を同時に備えており、古き良きアンダルシアの音を蘇らせたものとして高く評価されています。発音は生々しく、非常な速さで立ち上がってくる音はダイナミックレンジ、音量ともに比類ありません。造作にはやや粗さが見られるものの、セラック塗装でいかにも手作りといったその外観は音色同様に素朴なたたずまいを見せ、やはり魅力の一つとされています。
〔楽器情報〕
ヘスス・ベジード製作のトーレスモデル (Torres 6とラベルには表記)2007年製Usedの入荷です。彼自身のオリジナルモデルとともに常にラインナップされている「トーレス」のひとつ。同地グラナダの先達マヌエル・デ・ラ・チーカのレプリカをはじめとするヴィンテージシリーズは彼の純粋な敬意が表れたどれも秀逸なものですが、クラシックギターの祖と言えるトーレスに対してはやはり特別なものがあったようです。よく知られているのは1883年製 SE54 のレプリカで、19世紀ギターを思わせる小柄なプロポーションでボディ厚も薄く、しかし豊かな鳴りを備えた魅力的なトーレスモデルですが、本作Torres 6はそれよりも現代的なサイズ感に近いミドルサイズのトーレス。
糸巻はPegheds製のギア付き木製ペグ仕様。そのためもあってかヘススらしい、耳に直接触れてくるような生々しい木質の響きで、彫りが深く、程よく粘り、弦に触れるだけで反応するような発音の鋭敏さが特徴的。そして特に高音は意外なほどにしっかりと艶を湛えており、これが古雅とフレッシュネスが同居したような音響を生み出しています。
彼のこうした特性はオリジナルと非常に相性が良く、実に自然にトーレス的キャラクターとして着地しています。現在世界中のあまたのブランドが同様のモデルを製作していますが、そのほとんどが現代的感覚でいわば rework あるいは remodel した楽器となっているのに対して、ヘススのそれはまさにreplicaとしての19世紀的な存在感を放っています。
表面板内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、ボディ下部は左右対称5本の扇状力木、駒板位置には薄い補強プレートが貼られているという配置。ボトム部にクロージングバーは設置されておりません。5本の扇状力木はが駒板の幅の中に収まるようにして設置されており、これは上記1883年 SE54のスタイルを踏襲しているとのこと。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。
全面オリジナルのセラック塗装で、表面板の特にサウンドホール周辺はやや演奏時の搔き傷が目立ちますが年代相応のレベルです。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが許容範囲、フレットは適正値を維持しています。ネックシェイプは薄くフラットなDシェイプでベジードの特徴的な仕様です。
この後2010年前後からヘススのギターはさらに軽量化し、塗装はさらに繊細に、ボディ厚も薄くした仕様へと一旦シフトしてゆきますが、本作はその直前の、製作家の嗜好とモデルが要求するものとが円満なバランスで体現された一本となっています。
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
ヘルムート・ブッフシュタイナー Helmut Buchsteiner
モデル/品番 Model/No.
:
No.64
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
ドイツ Germany
製作年 Year
:
1980年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option
:
ハードケース
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 3.3 mm/6弦 3.9 mm
〔製作家情報〕
1940年オーストリア、グラーツ生まれ。1954年から弦楽器製作家のJakob Doriathのもとで修行を始め、めきめきと頭角をあらわすようになり、1957年にはジャーニーマン(徒弟制度を終了した職人)としての資格を得ます。この時期オーストリアのRosmeizel、ドイツの老舗メーカー Roger などに職人として働き、主にジャズギターの製作に従事していますが、ここでクラシックギターも製作も始めています。1961年には弦楽器、打楽器のマイスター称号を取得。1962年から2年間にイギリスに渡りエレキ、アコースティックギターの製作に従事、そして1964年から1966年までアメリカのニューヨークやシカゴでギターと弦楽器マスタービルダーとして現地のブランドと共同製作や修理に携わるようになります。1966年ドイツに帰国後はGIMA/Voss 社の工場長に就任し、主にアーチトップギターなどを製作。1968年には渡米前に働いていたノイマルクトの Roger工房を借りて自ら会社を設立しますが、最初は主に卸売り中心だったようです。1969年ごろからこの会社が経営をクラシックギターを含む多様なラインナップの製作と卸売りを行うブランド(b-ton)へと経営を拡大してゆき、その後は後進を育てながらクラシック、エレキ、アコースティック、弦楽器、古楽器など実に多様なジャンルで製作を続け、数々の賞を受賞。1985年には東京で世界の最もすぐれた10人の弦楽器製作者に選ばれるなど、その精緻極まる工作精度とバランスの良い音響は国際的な名声を獲得してゆきます。1989年からドイツ、ミッテンヴァルトにてヴァイオリン製作学校にて教鞭を執り、1992年からはオーストリア北部ハルスタットに移り、ハルシュタット大学木工芸科で教鞭をとる傍ら製作。
1980年代中頃に工房での不慮の事故で左手の指先を欠損してからは自身の製作本数は限定的になるものの、継続してすぐれた仕事を行っていましたが2010年に工房を閉鎖します。
そのキャリアにおいて、弦楽器、撥弦楽器の実に広範囲にわたる旺盛な製作を展開しており、ジャンルに応じて優秀な弟子たちを輩出した製作家ですが、クラシックではヘルマン・ハウザー3世、フリッツ・オベール、エドムンド・ブロヒンガーらがいます。
〔楽器情報〕
ヘルムート・ブッフシュタイナー製作、1980年製 Used No.64 の入荷です。ラベルにはNeumarkt St.Veit と記されており、当時工房のあったバイエルン、ノイマルクトで製作された一本。彼のモデルでは特に楕円形のサウンドホール仕様のいわゆるワイスガーバーモデルが有名ですが、本作は外観はオーソドックスなオリジナルモデル。しかしながら内部構造は独特で、複数のバーと扇状力木のコンビネーションを基本としながら、高音側と低音側とで完全にアシンメトリに作られています。サウンドホール上側に1本のハーモニックバー、そして下側は2本のハーモニックバーがやや高音側に寄った位置でX状に交差しており、しかもそれぞれのバーは細く高い切妻型と低く幅のある山型で加工されています。さらにこの2本が交差する箇所は一方のバーに開口部が設けられ、もう一方のバーがそこをくぐり抜ける方式で、お互いの長さも異なります。ボディ下部は5本の扇状力木がセンターの一本を境にして高音側に3本、低音側に1本やはり不規則に配置されています。ボトム部分は2本のクロージングバーが低音側のほうが長く加工されており、通常はV字(またはハの字型)に配置されるところちょうど「ヘ」の字型になるように配置され、これも左右非対称。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ範囲でやや厚めの補強プレートが貼られています。その他も低音側のみに一か所短い力木が(この一本のみが塗装処理もされて)設置されていたりと徹底していたりと徹底した精緻さが細部まで見て取れます。さらには表面板と横板との接合部分に設置されるペオネス(木製のブロック状のもの)も独特の形状をしたものが使われています。こうした配置構造と各部の加工などはジャズギターやアコースティックギターの影響もあるのでしょう。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。
ハウザーに代表されるドイツ的エッセンスを感じさせる音響で、硬質で粘りがあり、一つ一つの音が濃密かつ粒が揃っている。木の振動を感じさせる有機物のようなスペインギターの発音と異なり、鳴らされた瞬間から洗練され整った音像が現れる感覚があります。それゆえ単音だけではやや無機質に感じられなくもない響きですが、曲になると音の透徹さはそのままに、実に多彩な表情を生むところはやはりさすが。しっかりした音圧もあり、ダイナミクスの振幅も十分です。
表面板サウンドホール周りなどはやや多めに微細な傷がありますが、打痕や摩擦跡など全体に年代相応のレベルと言えるでしょう。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックはほぼ完璧に近く真直ぐを維持しており、フレットは1~8フレットでやや摩耗見られますが演奏性には問題ございません。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ。全体は出荷時のラッカー塗装、ライシェル製(白蝶貝ボタン)の糸巻もオリジナルのままで機能性に問題ありません。
あのワイスガーバーに準拠したモデルを製作し、ハウザー3世の道しるべとなった製作家だけに、ストイックな佇まいの中にその隅々まで豊かな発想と精緻な造作が行き届いた佳品です。
Performance video
×
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
グレゴリー・バイヤーズ Gregory Stuart Byers
モデル/品番 Model/No.
:
’’Diamond Truss’’
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
アメリカ USA
製作年 Year
:
1998年
表板 Top
:
杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides
:
ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option
:
軽量ケース付属
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4mm
[製作家情報]
Gregory Stuart Byers グレゴリー・スチュアート・バイヤーズ。アメリカの製作家。個性的な作家が多いアメリカの中でも最も長いウェイティングリストを抱えていると言われるほどに人気のブランド。若いころは好奇心の赴くままに学び、そして行動していた彼は、気が付くと大学で生態学と進化学の博士号を取得するまでになっていたといいます。その後仕事で訪れたプエルトリコで彼は同地の「有名なブランド」のギターを購入しようとしますが叶わず、仕方なく安物のギターを購入、逆にこれがきっかけになり彼は自身で製作することを思い立ちます。翌年出来上がったそのギターをギタリストのトム・パターソンに見せたところ、その才能を見抜いた彼はバイヤーズに製作を継続するようアドバイス。ちょうどその時(1981年)カナダ、トロントでのギターフェスでホセ・ルイス・ロマニリョスによる一週間にわたる製作コースが開催され、トムの勧めもありバイヤーズはこれに参加。この巨匠との出会いが決定的となり、彼はギター製作の道に進むことを決意します。彼はまた同国の製作家ジョン・ギルバートやトマス・ハンフリーからも大きな影響を受けており、スパニッシュギターの伝統とモダンギターの発想とを彼独自の解釈と綿密な数学的なアプローチとで融合した独自のギターを製作するに到ります。研究と実験から得られたデータをもとにした自身のギターにおける実践は慧眼すべきもので、彼はまたそれを明確に言語化すべく音響についての自ら執筆した論文をAmerican Lutherieに寄稿するなどし、ギター愛好家たちの注目を集めています。ギタリストでは名手デビッド・ラッセルが「モレーノ・トローバ作品集」の録音で使用しており、ファンに鮮烈な印象を残しています。
[楽器情報]
グレゴリー・バイヤーズ 1998年製 ’’Diamond Truss’’モデル 中古が入荷致しました。
伝統的なスパニッシュギターの構造とハンフリーらのモダンギターの発想とを組み合わせながら、さらにそこに大胆な試みを加えしっかりとあるべき音響に着地させた手腕はさすが。彼独自の研究と発想に基づく個性的で完成度の高いモデルとなっています。
レイズドフィンガーボード(12F以降の指板が表面板を傾斜させることで盛り上がったように加工しハイフレットでの演奏性を追及している)、20フレット、サドル上での各弦ごとの音程補正等のモダンギター的な基本仕様をカバーしつつ、内部構造において特に際立った独創性を発揮しています。
特筆すべきはモデル名にもなっている’’Diamond Truss’’構造で、この用語はもともと建築用語で鉄鋼梁を三角形にそしてそれを組み合わせて菱形にしたものを連続させて形成する斜交材システムの一種で、体育館の天井などで私たちが見ることのできるあの構造ですが、バイヤーズはこれを文字通りギター内部に応用しています。
基本となるのは伝統的なスペイン工法で、サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側に)1本のハーモニックバーを配し、下側のバーの中央から高音側横板に向かって斜めに降りてゆくように配置されたいわゆるトレブルバーが一本、そして7本の扇状力木とこれらの先端をボトム部で受け止める2本の(ほんの少しアシンメトリな)クロージングバー、ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ範囲にパッチ板が貼られているという配置。そしてこれらの力木全体をその上から覆うようにして’’Diamond Truss’’が設置されているのですが、幅約2cm、厚さ1㎝弱の柱が2本ネックヒール部を頂点としてサウンドホール縁をかすめるようにしてボディ下部へ広がるように伸びてゆき、サウンドホール下のハーモニックバーのところでいったん止まります。そしてその同じ場所から今度はボディボトム部のエンドブロックに向かって別の2本が伸びてゆき到達しているのですが、これはまさしくサウンドホール下側のハーモニックバーを共通の底辺としてそれぞれネックヒールブロックとエンドブロックとを頂点とした二つの二等辺三角形が形成され、それらが組み合わさった菱形の柱構造が表面板の上端から下端までをしっかりと支えているという仕組みになっています。これらの「トラス梁」はそれぞれの頂点となるネックヒールとエンドブロック、そしてサウンドホール上下の3本のハーモニックバーに強固に組み込まれており、スペイン工法による表面板下部の振動の効率化と、表面板全体からネックへの振動効率をも同時にあげるという離れ業のようなシステムを構築しています。横裏板は通常の厚みですが、表面板は薄く加工されています。レゾナンスはF#の少し下に設定。
上記の構造的特徴と表面板に杉材を使用したことなども相乗してか、まるでボディ全体が打楽器のような迫力とレスポンスの速さを有しており、まさにモダンギター的な極めて機能的な音響。しかしながら伝統的なギターへの敬意を常に抱いてきた彼らしく、ただオートマティックに鳴るだけの楽器とはせず、タッチと表現性の繊細な一致も同時に達成されている点が特筆されます。デザインの面ではロゼッタとその他のインレイに彼のひそかなトレードマークともいえる小麦の穂をモチーフにした美しいデザインがあしらわれており、外観全体のどこか優婉な雰囲気に寄与しています。
しっかりと弾き込まれているため、表面板を中心に弾き傷や弦とび痕、細かな打痕等(一部部分補修履歴あり)が多く見られます。横裏板は比較的きれいな状態を維持しており、演奏時に胸の当たる部分に摩擦痕が若干見られます。ネックはほんのわずかに順反りですが標準範囲内。フレットと指板は1~5Fで摩耗見られますがこちらも現状で演奏性に問題ございません。ネックはやや薄めのDシェイプ。糸巻きはSloane 製を装着しています。
Performance video
×
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
ドミニク・フィールド Dominique P. Field
モデル/品番 Model/No.
:
No.85
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
フランス France
製作年 Year
:
1992年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
インディアン・ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option
:
ヒスコックケース 黒
備考 Notes
:
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 2.7mm /6弦 3.9mm
〔製作家情報]
Dominique P.Field ドミニク・フィールド(Paris 1954~ )
現代フランスを代表する製作家。ブーシェからダニエル・フレドリッシュへと続くフランスギター製作における重要な系統を受け継ぎながら、なおも独特の個性とその理論により新たな指針を提示し続けている名工です。最初ギタリストを志し学生時代は法律を学びながら演奏の修行をしていましたが(Emilio Pujolの弟子にあたるギタリストに教えを受けていたそうです)、同時にギターの構造と音、そして楽器本体への審美的な関心とが高まり、製作家をその芸術的役割において演奏家と同等と考えるようになります。彼は師匠からブーシェ、フレタなどの名器を紹介され、さらに自身もハウザーやアグアドなどのギターを弾く機会を得て、製作へのモチベーションをさらに高めてゆくようになると、1974年には最初のギターを製作し自らの方向性を確信するに至ります。
彼は基本的に独学でギター製作を学んでゆきますが、名工ロベール・ブーシェ(1898~1986)との直接の交流は現在に至るまでフィールドの製作美学に深い影響を与えることになります。ブーシェの工房に足繁く通っていた彼は1982年頃、代理で顧客からの修理依頼を受け付けることになり、10本以上に及ぶブーシェギターの修繕を行います。修理に際し彼はそれらのギターを仔細に検分し、その構造と音響、意匠と造作を研究し尽くします。そこでの成果をもとに、またブーシェ自身からのアドバイスも得て、彼はギター表面板と裏板におけるアシンメトリ(左右非対称)な構造による理想の音響への実践に取りかかります。いわば低音側と高音側とで力木の形状と配置を変え、また通常木目に直角の方向も配置される裏板のバーも傾斜を施したりなどの試みがなされてゆきますが、これは彼が敬愛するもう一人の名工イグナシオ・フレタ(1897~1977)からの影響も顕著に見て取れます。アシンメトリな配置構造自体は珍しいものではありませんが、フレタを基にしてそこにフィールド独自の方法論により設定された構造は極めて斬新かつ美しいものであり、異様な迫力と個性を放つに至っています。
更にはそうした音響の創造における実践だけではなく、ギター本体の意匠における極めて高度な達成も同じく特筆に値します。やはり個体毎にデザインを変えているロゼッタやパーフリングなどの繊細と精緻、優婉とさえいえる独特の佇まいは、決してそのデザイン性において華美さや新しさを打ち出したものではないものの、比肩するものがないと言えるほどの芸術的完成度を有しています。
現在もフランス、パリの工房で精力的に製作を続けており、フランスで最も長いウエイティングリストを抱える人気ブランドとなっています。彼のギターはスコット・テナントを始め、アダム・ホルツマン、ウラジミール・ミクルカ、エドゥアルド・イサークらの名だたる名手が使用しており、日本でもギターファン垂涎のアイテムの一つとなっています。
〔楽器情報〕
ドミニク・フィールド製作1992年製 No.85 Usedの入荷です。フィールド30代の作ですが、緻密で独特な音響設計、音色表現における洗練と深み、完璧な造作技術など、まさしく名品と呼ぶにふさわしい1本に仕上がっています。
ブーシェからの多大な影響を受けながらも、ここでは既に独自のアシンメトリな構造による音響の試みを見ることができます。表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)にも2本のハーモニックバーが設置されており、このうち一番ブリッジ寄りの1本は低音側から高音側に向かって若干斜めに下がってゆくように設置されています。扇状力木は5本、ボトム部にはそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがV字型に配置され、駒板の位置にはほぼ同じ面積で薄いパッチ補強がされているという全体の構造。レゾナンスはG#~Aに設定されています。近年では前衛とさえ言えるようなさらに個性的な力木構造を発案している彼の、それと比較するとオーソドックスな初期~中期のスタイルをここに見ることができます。
非常に高い音圧で、撥弦の瞬間から密度の高い洗練された音が現出し、十分なサスティーンから明確な(あいまいなところのない)終止までその充実さを保って鳴ります。全ての音密度が均質化されており、この点スペインの伝統的なギターのように低い重心でふくらみを持った低音と透明で高さのベクトルを有した高音との対比という音響設計とは異なり、低音から高音までが同じフェーズで、しかしそれぞれが明確なアイデンティティをもって鳴るのでまるで弦楽四重奏的な(オーケストラではなく)、互いの音が緊密に関係性を持った音響として現れます。和音においてはあのハウザーさえも凌駕するような完璧なひとつのまとまりとなり、対位法的な旋律においてはそれぞれの声部を鮮やかに描き分ける。凛とした艶を湛えた美しい音の表情にはどこか翳があり、それはやや安直に言えば「フランス的」としか言いようのない独特の翳と余韻なのですが、これがなんとも魅力的。いかにもクラシック音楽にふさわしい音の機微を表すのにこの上ない特質となっています。奏者は楽器の側から音楽を提案してくるような感覚を楽しむことができるのですが、しかるべきタッチの熟練と繊細さを求められるようなところがあり、この点は現代のなかばオートマティックな発音機能を備えたギターとは大きく異なるところでしょう。
オールセラック塗装による外観は気品と落ち着きがあり、この点でも彼の高い審美的感性が見て取れます。特にロゼッタやパーフリングなどの渋く、繊細さの極みともいえる細工は美しく、静かに全体を引き締めている、その佇まいが素晴らしい。工芸品としてのレベルもハイクラスな一本となっています。
再塗装はされておらずオリジナルのままの状態です。表面板ブリッジ下1弦と2弦位置に弦とび跡あり。その他細かな弾きキズやスクラッチあと、小さく浅い打痕などありますが経年数を考慮すると良好と言えるレベルです。裏板ボトム部分のセンターよりやや高音側に10センチほどの割れ修理歴がありますが適切な処置がされていますので今後の使用にも全く問題ありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットはわずかに摩耗していますが適正値を維持しています。ネック形状は普通の厚みで丸みのあるDシェイプ。弦高は2.7/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~2.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く調整することが可能です。糸巻はドイツ製のライシェルを装着、こちらも機能的に良好です。
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定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
F・マヌエル・ディアス F.Manuel Diaz
モデル/品番 Model/No.
:
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
655mm
国 Country
:
スペイン Spain
製作年 Year
:
1989年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
マホガニー合板
付属品 Option
:
ケース別売
備考 Notes
:
ネック:セドロ
指 板:ローズウッド
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 4.3mm
[楽器情報]
スペイン、古くからギターづくりが盛んな歴史ある街グラナダ。この地で工房を構えるベテラン製作家フランシスコ・マヌエル・ディアスは同地を代表する一人として人気のブランドです。このマヌエル・ディアス工房品として出荷されているビギナーモデル、1989年製Used 日本では珍しい一本が入荷致しました。もちろん彼自身のフラッグシップモデルとは比較できないグレードのモデルですが、響きは素朴で力強さがあり、表情の変化も十分。音の反応も良く、弾いていて心地よさのある一本。入門用として気軽に楽しめるギターとなっています。
スクラッチ跡や打痕等わずかにありますが30年以上経過したギターとしては良好な状態です。ネックはわずかに順反り。フレット、糸巻き等は問題ありません。弦高は3.1/4.3mm(1弦/6弦 12フレット)とやや高めの設定ですが弦の張りが弱めなため、さほどに弾きづらさは感じません。サドルには1.0~1.5㎜の余剰があり、若干ですが弦高の調整が可能です。
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: 19,800 円
製作家/商品名
:
ホアキン・ガルシア Joaquin Garcia
モデル/品番 Model/No.
:
No.863
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
660mm
国 Country
:
スペイン Spain
製作年 Year
:
1977年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
中南米ローズウッド単板 South American rosewood
付属品 Option
:
ハードケース付属
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦:2.5mm/6弦:3.0mm
〔製作家情報〕
ホアキン・ガルシア・フェルナンデス、スペイン移民の子として1929年アルゼンチンに生まれる。2歳の時に故郷スペインのアストリアスに戻り、15歳で家具工房のチーフとして働くようになりますが、フランコ政権下の状況から逃れるため1949年に再びアルゼンチンに移住します。軍役に従事しながらアルバイトとしてギター工房で働いていたところ、家具製作で培った木工技術の高さを評価され、本格的なギター製作をすすめられます。その時期のアルゼンチンもまた独裁国家への方向性が濃厚になり、ガルシアは再びスペインに戻ることを決意、1975年にヴァレンシアの地に落ち着き、同地のギター工場 Raimundo y Aparicio の製作アドバイザーに就任します。1982年にマラガに初めての自身の工房を設立、現在も息子ニコラスとともに製作を続けています。
ほぼ完全に独学となる彼のギターはスペインの伝統的なギターを規範としながらも、構造や仕様等に独特の個性を感じさせるものが多く、またその出自からかどこか南米的な雰囲気も漂わせているものがあり、クラシックユーザー以外のジャンルでも愛奏されることの多いブランドです。またRaimundo 系のブランドではいまでもこの製作家の影響を感じさせるモデルが多く作られており、当時の重要なアドバイザーであったことが伺えます。
〔楽器情報〕
ホアキン・ガルシア 1977年製作 No.863 中古が入荷致しました。ラベルにValencia と記載されており、また全体の仕様から、当時努めていたRaimundoより出荷されたものと思われます。内部構造は非常に独特で、サウンドホール上に3本のハーモニックバー、同じく下側には低音側から高音側に向かって下がってゆくように斜めに設置されたハーモニックバー、そのサウンドホール上下のバーの間をちょうど横板のカーブに沿うようにホール両側にそれぞれ3本の力木、そしてそれとは別にホールの真下の位置(丁度表面板のセンターにあたる部分)から高音側の3本の力木を突き抜けるように横板に向かって1本の力木を配置。扇状力木は合計9本が間隔を密にして表面板センターに寄り添うように配置され、横幅一杯に設置された4本のトランスバースバーを貫通してボトム部の手前まで伸びています。裏板のバー配置も。通常のギターは3本のところ5本が等間隔に設置され、更にそれら5本と交差するように別の2本の、ネック付け根部分からボトムまで伸びる太いバーが支えるように組み込まれており、ちょうどサウンドホールからのぞくと梯子が掛けられているような形状で設置されています(この梯子状のバー設置方式は現在でもRaimundoギターのハイエンドモデルで採用されています)。レゾナンスはGの少し上に設定。横板は中南米ローズウッド、裏板はインディアンローズウッド仕様になっています。
厚めのウレタン塗装で重量もありますが、発音は意外なほどにヴィヴィッドで音量もしっかりあります。スペイン的な華やかさというよりもむしろ渋めな音色で、どこか南米産のギターを思わせる響き。
表面板指板両脇割れ補修、またブリッジ下のセンター部分に割れ補修履歴があります。裏板ボトム部に木目に沿って10cmほどの割れ補修跡。表面板の特にサウンドホール周りに弾き傷打痕が多数ありますが、横裏板は比較的傷も少なく良好な状態。フレットはやや摩耗していますが現状で演奏上の問題はありません。ネックは真直ぐの状態を維持しており、通常の厚みのDシェイプ仕様となっています。664mmスケールですがサイズ感としては特に大きめの感触はなく、ノーマルな感覚で弾ける一本となっています。
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: 253,000 円
注文数
:
製作家/商品名
:
ロビン・グリーン Robin Green
モデル/品番 Model/No.
:
01/0021/80
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
カナダ Canada
製作年 Year
:
1980年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option
:
スーパーライトケース付属
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:シャーラー(グランドチューン)
弦 高:1弦 2.5mm 6弦 3.7mm
〔製作家情報〕
カナダ、トロントの製作家。ドイツの名工エドガー・メンヒ(1907~1977)が1960年代後半にカナダに一時移住して製作を行っていた際、同地にてジャン・ラリビー、ウイリアム・ラスキン、サーゲ・デ・ヤンらの優れた弟子たちに製作を教えるなどし(メンヒはこのほかにも甥であるコルヤ・パンヒューゼンやドイツ時代にリヒャルト・シュミットらも教えるなどメンターとしてもかなり重要な製作家です)カナダのクラシック/アコースティックギター文化の発展に寄与した事はよく知られていますが、ロビン・グリーンもまたその一人として名を連ねています。ただしラリビーらがその後もブランドとして旺盛な製作を現在に至るまで継続させていったのに対し、ロビンは100本に満たない本数を残し、ギター製作とは別の道を歩むこととなります。そのため現在市場に出ることもごく稀なブランドですが、メンヒのドイツ的なニュアンスとは異なる、柔らかで落ち着きのある響きがユーザーに印象を残しました。
〔楽器情報〕
ロビン・グリーン製作1980年中古の入荷です。内部構造はサウンドホール上側に1本と下側に2本のバー、ほぼ平行に近い角度で配置された5本の扇状力木、駒板位置に貼られたパッチ板、更にボトム部にはハの字型(2本)ではなく1本のバーが配されており、5本の扇状力木を2本のバーが上下から閉じるような配置。さらにサウンドホールを高温側と低音側からはさむように非常に太く高さのある強固なバーがネックヒール根元部分からサウンドホール下のハーモニックバーまで伸びるように配置されており、どこかモダンなアプローチも感じさせる構造になっています。音色もまたいわゆるメンヒ/ドイツ的な物とは異なり柔らかく角の取れた音像で落ち着いた響き。レゾナンスはF#とやや低めな位置に設定されています。
表面板の低音側に一ヵ所割れ補修痕があります。表面板はラッカー再塗装が施されています。糸巻はシャーラー グランドチューンシリーズに交換。ナットは若干厚みのあるものに交換されています。ネックは厚め(1F 22.5mm)のDシェイプ。
☆
定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
ルカ・ワルドナー Luca Waldner
モデル/品番 Model/No.
:
トーレスモデル No.62
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
イタリア Italy
製作年 Year
:
1999年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option
:
ハードケース付属
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 4.1mm
〔製作家情報〕
イタリア、ポンテ・イン・ヴァルテッリーナに工房を構える製作家。12歳からギターの演奏を始め、カステルフランコ・ヴェネト音楽院では同国の名ギタリスト、ステファノ・グロンドーナに3年間学んでいます。音楽院卒業後はギタリスト、そして教師として活動を始めますが、同時にギター製作の道を歩み始め、やがて完全に製作家として独立するようになります。師グロンドーナの影響からか、マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデス、エンリケ・ガルシアやシンプリシオら大戦前のスペインの名工達に非常な興味を向け、彼らの実作を多数研究する機会を得ますが、やがてアントニオ・デ・トーレスのギターを知り、それ以後これを自身の全ての基準として、その方向性を確信するに至ります。これまでにおよそ20本ものトーレスギターを修理、研究し、その伝統スタイルを基本として自身の製作を行っています。工法の技術的な面での現代化などは積極的に進めながら、単なる過去の名器のレプリカではなく、「トータルにオリジナルなギター」として新鮮な魅力を放つ彼の楽器は、師グロンドーナをはじめ多くのギタリストの称賛を得ています。
「La Chetarra di Liuteria」をステファノ・グロンドーナと共著で上梓。
〔楽器情報〕
1999年作トーレスモデル。しっかりと伝統的な意匠や造作での仕上げながら、どこか現代的な洒脱さを感じさせるところがいかにもイタリアの製作家らしい特徴の一つと言えるでしょう。実に美しい材が選定されており、表面板はおそらくイタリアまたはスイス産のスプルース、横裏板は南米産のローズウッド仕様。左右対称の7本の扇状力木配置で、両外側のそれぞれ2本がサウンドホール下のハーモニックバーを貫通しサウンドホール縁まで伸びる構造。レゾナンスはFの少し上に設定されており、重心の低い全体に太めの乾いた音が心地よく、豊かに響きます。オリジナル塗装で傷は表面板のブリッジ下やサウンドホール付近に細かなものが少々有りますが、割れ修理当の履歴なく良好な状態です。弦の張力は中庸から柔らかめで左手も弾き易く感じます。造作、音色、演奏性等どれも不足のないクオリティで、円満におすすめ出来るトーレスモデル。糸巻きはゴトーのオリジナルモデルを装着。
現新品定価:2,052,000円
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定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
ルカ・ワルドナー Luca Waldner
モデル/品番 Model/No.
:
トーレスモデル Torres Model No.86
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
647mm
国 Country
:
イタリア Italy
製作年 Year
:
2004年
表板 Top
:
松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides
:
楓単板 Maple
付属品 Option
:
ハードケース
備考 Notes
:
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.0mm
〔製作家情報〕
イタリア、ポンテ・イン・ヴァルテッリーナに工房を構える製作家。12歳からギターの演奏を始め、カステルフランコ・ヴェネト音楽院では同国の名ギタリスト、ステファノ・グロンドーナに3年間学んでいます。音楽院卒業後はギタリスト、そして教師として活動を始めますが、同時にギター製作の道を歩み始め、やがて完全に製作家として独立するようになります。師グロンドーナの影響からか、マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデス、エンリケ・ガルシアやシンプリシオら大戦前のスペインの名工達に非常な興味を向け、彼らの実作を多数研究する機会を得ますが、やがてアントニオ・デ・トーレスのギターを知り、それ以後これを自身の全ての基準として、その方向性を確信するに至ります。これまでにおよそ20本ものトーレスギターを修理、研究し、その伝統スタイルを基本として自身の製作を行っています。工法の技術的な面での現代化などは積極的に進めながら、単なる過去の名器のレプリカではなく、「トータルにオリジナルなギター」として新鮮な魅力を放つ彼の楽器は、師グロンドーナをはじめ多くのギタリストの称賛を得ています。
〔楽器情報〕
ルカ・ワルドナー製作の2004年製トーレスモデル No.86 Usedの入荷です。
全面セラック塗装による、手仕事の繊細で素朴な質感が魅力的なギターで、良質なヨーロッパ松と美しいフレイムメイプルの横裏板とを組み合わせた明るいボディ映えるように、黒、オレンジ、茶色を基調としたロゼッタ(円と四角を連続して組み合わせた民族的な意匠を思わせるデザイン)やパーフリング、白蝶貝を象嵌したブリッジタイブロックなどをあしらってヴィンテージ感たっぷりに仕上げているところはやはり面目躍如たるものがあります。音も木質の生々しく乾いた感触があり、現代の艶のある伸びやかな音色とは異なり、製作家自身が敬愛してやまないスペインの名工たちのニュアンスを彼なりに再現しています。
表面板内部構造は左右対称7本の扇状力木とその先端をボトム部で受けとめるように配置された2本のクロージングバー、サウンドホール上に2本、下に一本のハーモニックバーという構造で、レゾナンスはE~Fと低めに設定されています。
割れなどの大きな修理履歴はなく、若干の衣服の摩擦あと、ネック裏にスクラッチ跡等が見られるだけで全体に良好な状態を維持しています。薄い加工のため表面板はほんの少しのたわみがありますが、現状で使用には問題ありません。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分は良好な状態、ネック形状は普通の厚みのDシェイプに加工されています。弦高は3.0/4.0㎜(1弦/6弦 12フレット)、サドルは2.0~3.0㎜んp余剰がありますのでお好みに応じて低く調整することが可能です。糸巻はアレッシー製を装着しており、こちらも機能的問題はなく継続してご使用いただけます。
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定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
製作家/商品名
:
ディーター・ミューラー Dieter Muller
モデル/品番 Model/No.
:
ダブルトップ RF
スペック
カタログ
&問合せ
弦長 Scale Length
:
650mm
国 Country
:
ドイツ Germany
製作年 Year
:
2012年
表板 Top
:
杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides
:
中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option
:
ハードケース黒
備考 Notes
:
ネック:セドロ
指 板:ウェンジ
塗 装:セラック
糸 巻:シェラー
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.4mm
〔製作家情報〕
マティアス・ダマン、ゲルノット・ワグナー以降のダブルトップギターの製作家として、その筆頭と衆目の一致するドイツの製作家。現代的な作風を標榜する製作家の多くが、科学的な見地も取り入れながら製作しているという例にもれず、ミューラーもまた卓越した音楽的感性と大学で学んだ物理学的なセンスをコンバインさせて、そこにドイツ人ならではの高い工作精度で楽器を仕上げきる能力を持っており、その楽器はあまたある同種のギターの中でも群を抜く仕上がりになっています。
〔楽器情報〕
2012年製、ダブルトップ、レイズドフィンガーボード仕様のモデルです。ボディ全体は非常に軽く造られており、特に表面板はダブルトップ構造としてはぎりぎりのレベルまで薄く精緻に加工されています。ボディ内部の表板と横板との接合部には通常のペオネスではなく、上端部分を溝切したライニングが2重に張り巡らされ、表面板振動の特性を十全に活かす工夫が見られます。力木配置はしかしながらサウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバーと非常にシンプルな7本の互いにほぼ平行に設置された扇状力木という構造で、発音の素早いレスポンスをここでも追及しています。レゾナンスもEの少し下というかなり低い設定。
ダブルトップ構造が実現しうる音響特性を十全に備えており、ヴィヴィッドに立ち上がってくる豊かな音量はやはりモダンギターならではの魅力があります。加えてセラック塗装、杉材仕様による少し渋めな音色も独特の表情があり、機能性だけを追求したモダンギターとは一線を画した表現力をも併せ持っています。
かなり弾き込まれているため、表面板は全体に傷が多くあり、一部塗装上塗りによる補修履歴もあります。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分は問題ありません。
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定価(税込)
: 時価
販売価格(税込)
: お問い合わせ下さい。
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