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製作家/商品名 ホセ・ヤコピ Jose Yacopi
モデル/品番 Model/No. No.1455
001_Jyacopi_1_03_176_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アルゼンチン Argentina
製作年 Year 1976年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
ホセ・ヤコピ(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。
現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報]
ホセ・ヤコピ製作 1976年製 No.1455 Usedの入荷です。1960~70年代の人気の高い時期の一本。ヤコピのイメージとして定着している琥珀色の塗装で仕上げられた外観はフォトジェニックで、全体にどっしりと落ち着いた佇まい。特徴的な低音は太く耳に柔らかい感触があり、対して高音は1音1音に芯がしっかり通った、明確で強い表情を備えており、その対比とバランスによる音楽的な表現力は他にはない魅力を放っています。内部構造は胴底のフットブロックを頂点とするように配された左右対称6本の扇状力木で、通常の扇状力木とは開く方向が逆になっているヤコピ特有の構造(センターのマッチング部分は力木の代わりに小さなパッチ板が十数枚貼られており、これもヤコピの標準的な仕様)。レゾナンスはGの少し下に設定されています。

特に割れ等の修理履歴はありません。弾き傷等の状態に関しても年代相応の状態。糸巻はオリジナルのものを装着しており、現状で機能的に良好です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マルセリーノ・ロペス・ニエト Marcelino Lopez Nieto演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. フリアン・ジョレンテモデル No.804
001_Mlopez_1_02_188
弦長 Scale Length 640mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1988年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 楓単板 Maple
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:木ペグ
弦 高:1弦 3.1mm/6弦 3.4mm


〔製作家情報〕
高級家具職人として働き始めた彼は趣味で始めたギターをD.フォルティアに習うようになり、彼が所有するトーレス、サントス等の名器を見るうちギター製作家として生きる事を決意。1949年に製作家としてデビューした彼はサントスの未亡人に貴重なアドバイスを受け一流製作家として確固たる地位を築きました。
1970年代初頭には依頼され、H.Y.アグアドの楽器を一部製作していたことは良く知られています。

〔楽器情報〕
マルセリーノ・ロペスが大きな興味と意欲を以て、所有する楽器フリアン・ジョレンテからレプリカを作成した貴重な楽器です。
ジョレンテは1827年、スペインはマドリッドのアルコルコン・デ・ポスエロと言う小村で生まれました。1851年にはマドリッドのギター工房で楽器の製作を始めています。その後に続くビセンテ・アリアスやマヌエル・ラミレスの楽器に連なるマドリッド派の礎を築いた彼の功績はロペスのみならず、ラミレスやロマニリョスも広く認めているところです。
この楽器は19世紀楽器の様な小ぶりで木ペグを用いた作りですが、上品で甘美な音色を持ち民俗学派の台頭と共に要求される様になって来た色彩感への配慮が行き届いた魅力ある作品に仕上がっています。
オリジナルセラックニス、傷僅かで綺麗な状態です。

糸巻:木ペグ




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マルセリーノ・ロペス・ニエト Marcelino Lopez Nieto演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. トーレスモデル No.968
001_Mlopez_1_02_210
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2010年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦:3.0mm/6弦:4.0mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。この時代のギター製作家の例に漏れず、彼もまた自身のキャリアを家具職人からスタートさせています。F.タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事しており、コンクールでの入賞歴もあるなど、その腕前は当時かなりのものだったようです。1947年ごろより自身の演奏用としてギターを製作するようになり、この当時サントス・エルナンデスの未亡人マチルデ・ルイスより製作法について貴重なアドバイス受けていますが、それ以外はほぼ完全な独学で製作法を学び、1949年には独立して工房を設立。マドリッド的な伝統に立脚した非常に良質なギターを製作し続けており、1971年から数年間はエルナンデス・イ・アグアドの求めに応じ、この時期の同ブランドの製作にも従事していたのは有名な話。また大変な碩学として知られ、古今の歴史的名器の収集と研究、そして自身もそれらの優れたレプリカモデルを製作しています。マドリッドにある彼の自宅兼工房はさながら貴族の邸宅を改装した楽器博物館の様相さえ呈し、古楽器の美しいビジュアルに自然に溶け込むように端正で滋味あふれる彼のギターはその中の、まさしく古の弦楽器工房を思わせる一部屋で地道に作られました。

1960年代から70年代にかけてはサントス・エルナンデスを彷彿とさせるマドリッドスクールならではの重量感ある響きのギターを製作していましたが、その後特に1990年代以降の彼は19世紀以前の伝統をトーレス、サントスを通過させてさらに自身の嗜好のなかに着地させたような、まるで18世紀の衣装をまとったトーレスとでもいうような独特の音響と外観のたたずまいを創出し、孤高の領域に入ってきます。その楽器はどれも美しく、手作りの温もりがあり、古雅な音響を備えた現代のギターとして、本国スペインをはじめ日本でも多くのユーザーが彼の楽器を求めるようになります。

特に意匠における工作精度の高さと洗練されたデザインはあのホセ・ルイス・ロマニリョス以上とも評されており、彼の楽器はどれも一流の工芸品としての完成度の高さも備え、スペインの名工たちの作品の中でも独特の気品を漂わせています。生涯にわたり演奏と製作を続け、1000本を越えるギターを完成。自身のオリジナルモデルの他、トーレスの名器La Leona を修繕した経験を十全に活かしたトーレスモデル、自家薬籠中のアグアドモデル、そして自らの出発点ともいえるサントス・エルナンデスモデルを製作していました。2018年に惜しまれつつ逝去。

〔楽器情報〕
マルセリーノ・ロペス・ニエト 2010年製作のトーレスモデル No.968 Usedの入荷です。
トーレスの銘品「La leona」を修復した経験もある彼にとって、トレースは彼の出自たるサントス・エルナンデスのギターのと並んで重要な製作家で、数多くのオマージュギターを製作していますが、そのどれもが外観、仕様、音響の面で異なるキャラクターをそれぞれ持っていいることは特筆すべきことでしょう。本作でもおそらくはその「La leona」をもとに、独創的なトーレスを作りあげています。

裏板のハカランダとおそらくマホガニー材との大胆な5枚接ぎのストライプがまずは目を引きますが、横板はサップの入ったハカランダ材で合わせることころもさりげないセンス。地味ながら味わいのあるロゼッタとさりげない駒板の白蝶貝インレイ、全体の飴色のセラックニス(ロペス氏は彼が選りすぐったブランデーをセラックと調合したものを使用しており、独特の色味と風合いを醸し出しています)仕上げで見事に古雅なビジュアルに着地させています。

内部構造はサウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、そして扇状力木は計6本がセンターに設置された一本を境に高音側に3本、低音側に2本設置され、それらの先端をボトム部で受け止める2本のハの字型に配置されたクロージングバー、そして駒板の位置にはやや厚めなプレートが貼り付けられているという全体の配置。これはむしろトーレスよりもサントスからバルベロ1世のマドリッド派に見られた特徴で、しかも各力木は意外なほどに(駒板下のプレートでさえ通常よりもかなり厚い)太く強固に加工されたものが設置されています。レゾナンスはかなり高めのA#~Bで設定。

高音は程よい艶を湛えた実にエレガントな音色、低音の重厚さはやや抑えられ、高音を慎ましく支えるようなバランス感。その音響にはどこか19世紀ロマンティックギター的なところがあり、独特な魅力があります。

割れ等の大きな修理履歴はなく、オリジナルセラック塗装で表面板にわずかに傷が有る程度のかなり綺麗な状態です。ネックは真っすぐを維持しており、フレット、糸巻等演奏性に関わる部分の問題もございません。ネックはDシェイプのノーマルな厚みで設定され、弦の張りも中庸です。

トーレスの銘器La Leona の修繕をはじめ、テクニカルな面と美学的な面との両方において一貫して研究を続けてきた氏の、まさに深い矜持が感じられる一本です。
滋味と清新さが同居したような音色はこの製作家ならではですが、一本として同じ仕様がないといえるほど多彩な嗜好が本作にも表れています。新しさとは別の個性を十分に感じさせる、ロペス後期の一本。ぜひお試しください。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マルセリーノ・ロペス・ニエト Marcelino Lopez Nieto演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. トーレスモデル No.795
001_Mlopez_1_03_189
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain 
製作年 Year 1989年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides マホガニー単板 Mahogany
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1931年スペイン、マドリッド生まれ。この時代のギター製作家の例に漏れず、彼もまた自身のキャリアを家具職人からスタートさせています。F.タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事しており、コンクールでの入賞歴もあるなど、その腕前は当時かなりのものだったようです。1947年ごろより自身の演奏用としてギターを製作するようになり、この当時サントス・エルナンデスの未亡人マチルデ・ルイスより製作法について貴重なアドバイス受けていますが、それ以外はほぼ完全な独学で製作法を学び、1949年には独立して工房を設立。マドリッド的な伝統に立脚した非常に良質なギターを製作し続けており、1971年から数年間はエルナンデス・イ・アグアドの求めに応じ、この時期の同ブランドの製作にも従事していたのは有名な話。また大変な碩学として知られ、古今の歴史的名器の収集と研究、そして自身もそれらの優れたレプリカモデルを製作している。特に意匠における工作精度の高さと洗練されたデザインはあのロマニリョス以上とも評されており、彼の楽器はどれも一流の工芸品としての完成度の高さも備え、スペインの名工たちの作品の中でも独特の気品を漂わせている。生涯にわたり演奏と製作を続け、1000本を越えるギターを完成。自身のオリジナルモデルの他、トーレスの名器La Leona を修繕した経験を十全に活かしたトーレスモデル、自家薬籠中のアグアドモデル、そして自らの出発点ともいえるサントス・エルナンデスモデルを製作していました。2018年に惜しまれつつ逝去。

〔楽器情報〕
おそらく原型となるのは異なるトーレスかと思われますが、有名な1856年の’Leona’を修理、調査した氏のこのモデルへのこだわりと矜持が感じられる仕上がりとなっています。独特の光沢が美しいマホガニー材を横裏板に使用し、表面板はこのブランドとしては比較的珍しい杉仕様。落ち着きのある柔らかい音が実に渋く響き、全体に古雅な味わいを醸し出しています。古今の楽器に精通し、その実地の研究を活かしてか、一本ごとに異なる意匠で製作することを好んだ氏ならではの個性的なトーレス。

全体に弾き傷、打痕等経年に応じて多くございます。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分での問題はございません。糸巻はゴトー製に交換されています。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe
モデル/品番 Model/No.
001_Pbernabe_1_02_193
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1993年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(Crossrock)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 3.6mm


〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。息子のパウリーノ・ベルナベ Jr(1960~)は幼少の頃より父の仕事姿に親しみ、17歳の時には正式に弟子入りし20年以上に及ぶ厳しい修行と共同製作の時期を経て、2007年に1世亡き後はこのブランドを引き継ぎます。その後現在に至る2世の時代は父親のブランドコンセプトを十全に継承しつつ、より時代のニーズに合わせた(コストパフォーマンスとプレイヤビリティの双方において)充実したラインナップを展開し、若手のプロギタリストの使用率も高くなっている。現在マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。

〔楽器情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世製作 1993年製 Used 状態良好1本が入荷致しました。ラベルにはLoto 15番地に工房を移す前のCuchilleros 8番地の住所が印字されており(現在はFontaneria 10番地にさらに工房を移転)、モデル名はありません。ベルナベは2000年前後から上位機種でも数種のモデルをカタログ化していますが(現在はConcierto、Especial、Torres、Imperial、Royalの5種。なおその下にはよりリーズナブルな価格帯でAtelier シリーズとProfessional シリーズも展開していますが、これらはいわゆるワークショップモデルとなります)、この時期はそうしたモデル展開はありませんでした。ブランドヒストリーを俯瞰するならば、Cuchilleros 工房時代はそうした広範なマーケティングを展開する前の、よりベルナベ本人の作家性が濃く現れていた時期だという見方も出来ると思います。2000年代のラインナップにも通底する構造などのコンセプトは既にこの時期に完成していますが、しかし特に音響や表現性においてやはり後年のモデルにはない、ベルナベ的個性をここに聴くことが出来ます。

ラミレス工房を後にして独立して以後様々な構造的試みを行ってきた彼ですが、ここでもクラシックギターとしては珍しいXブレーシングシステムを採用。サウンドホールの上側(ネック側)は通常の一本のハーモニックバーですが、下側はちょうどホールの真下で2本のハーモニックバーがX状に交差しており、その下を3本の力木が表面板の木目に沿って等間隔に平行に(つまり扇状配置ではなく)設置されています。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ広さの薄いパッチ板が貼られ、3本の力木のうちセンターと高音側の2本はそのプレートの上を通過し、低音側の1本はプレートの上下で分断しています。これら3本の力木の先端をボトム部で2本のクロージングバーが受け止めるようにハの字型に設置されており、ちょうどブリッジ部分をX状のハーモニックバーとで菱形で囲むような構造になっています。そしてX状に交差したバーは二本とも低音側にわずか1㎜ほどの高さで幅数センチの開口部が設けられており、また両横板のくびれ部からそれぞれ2本ずつの短い力木が斜めに下がってゆくように(ちょうど「X」の上半分と並行になるように)配置されています。
全体に大小の三角形と菱形を組み合わせたような幾何学的な配置で斬新とさえ言える構造ですが、19世紀のロマンティックギターからトーレスそしてホセ・ラミレスを通過して彼がたどり着いた、伝統的スタイルの高度なコンピレーションと解釈することもできるもの。レゾナンスはGの少し下で設定されています。

ベルナベらしい非常な音圧の高さを備え、全体に硬めな音ですが発音にはしなやかさがあり、しっかりとした引き締まった響き。上記のようなほぼ左右対称と言える構造からか、低音から高音までが同じフェーズで鳴り、自然に高音部が前景化してくる感覚があります。それゆえメロディラインが力強く響き、たっぷりと歌わせることができます。特筆すべきはその表情の機微と繊細で、あくまで上品さを保ちながら、曲想に応じて湧出するロマンティックな音色の変化がなんとも魅力的。

割れなどの大きな修理履歴はなく、表面板サウンドホールの高音側に細かな弾き傷、ブリッジ下1弦位置に弦とび跡、数か所の軽微な打痕や衣服等による摩擦あと等がありますが、年代考慮すると比較的良好な状態。ネックはほぼ真っすぐでちょうどよい状態。フレットはほんのわずかに摩耗していますが適正値の範囲内。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ、指板はわずかにラウンド加工が施されており左手の演奏性を追及しています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. エスペシャル Especial
001_Pbernabe_1_02_200_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2000年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 3.8mm/6弦 4.5mm

〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。息子のパウリーノ・ベルナベ Jr(1960~)は幼少の頃より父の仕事姿に親しみ、17歳の時には正式に弟子入りし20年以上に及ぶ厳しい修行と共同製作の時期を経て、2007年に1世亡き後はこのブランドを引き継ぎます。その後現在に至る2世の時代は父親のブランドコンセプトを十全に継承しつつ、より時代のニーズに合わせた(コストパフォーマンスとプレイヤビリティの双方において)充実したラインナップを展開し、若手のプロギタリストの使用率も高くなっている。現在マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。

〔楽器情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世製作のモデル Especial 2000年製Used 状態良好の美品が入荷致しました。ベルナベはこのころから上位機種でも4種類以上のモデルをカタログ化しており(現在はConcierto、Especial、Torres、Imperial、Royalの5種。なおその下にはよりリーズナブルな価格帯でAtelier シリーズとProfessional シリーズも展開していますが、これらはいわゆるワークショップモデルとなります)、それぞれ使用材のグレードなどによってランク分けされていますが、当モデルは上記ラインナップの中ではConciertoと並び広く普及したモデルで、それゆえこの時期のベルナベサウンドを代表するモデルとして認知されています。

表面板内部構造はサウンドホール上下各一本のハーモニックバー(それぞれ低音側に高さ1㎜ほどの開口部が設けられています)、そして下側バーの真ん中部分、サウンドホールの丁度真下の位置から高音側と低音側の横板に向けて1本ずつ斜めに伸びる力木がちょうどハの字型になるように設置、ボトム部にも逆ハの字型に2本のクロージングバーが設置され、表面板下部の中心部分(駒板の位置)を菱形に囲むような形になっています。その菱形になったスペースの中心に表面板の木目に沿うように平行に設置された3本の力木と、駒板と同じ位置にほぼ同じ大きさの補強プレートが貼られているという配置(厳密には一番低音側の力木はプレートの上下で分断しているため4本)という独特な力木構造で、当時のEspecial モデルのスタンダードな仕様。そしてこれはこのブランドのハイスペックモデルにおける基本構造としていまも多少の改編を加えながら継続されています。

ベルナベの特徴たる高い音圧は本作でも聴かれ、その外観の威容をそのまま音にしたような豪壮な音響はやはり見事。さらに彼の特徴として、低音から高音までこの高い音圧は一定に保たれながら維持されるので、それゆえ自然に高音がブリリアントに鳴ってゆく感覚。ごつごつとしたストイックな低音と、この濃密で艶やかな高音との組み合わせはなかなかに個性的。またベルナベはその表情おいてはむしろ抑制された渋めなものが実は多いのですが、本作においてはいかにもマドリッド的なロマンティックな表情の機微があり、その意外な繊細さもまた魅力の一本となっています。発音は素早く、余計な残響もなく、終止もすっきりときれい着地するところなど、演奏における細かな処理にしっかりと寄与しています。

表面板サウンドホールまわりを中心に細かな傷が全体にありますがいずれも浅く、目を近づけて認識できるレベルです。横裏板はほとんど傷もなくきれいな状態。ネックはやや順反りですが演奏性には問題のないレベル。フレットは適正値を維持しています。ネック形状は薄めのDシェイプ。弦高値は3.8/4.5mm(1弦/6弦 12フレット)とやや高めですがサドルに1.5~1.8mmほどの余剰があり、さらに低く設定することも可能です。ボディ重量はやや重く1.98kg(現在のベルナベJrによるものは1.6㎏ほどに軽量化されています)。糸巻はRubner製を装着しており、3弦つまみにやや緩みありますがギア部分の機能性には問題なく継続しての使用が可能です。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. インペリアル Imperial
001_Pbernabe_1_02_203_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2003年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 3.2 mm/6弦 3.6 mm

〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。2007年に惜しくも亡くなりましたが、現在2世がブランドを引き継いでおり、スペイン、マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。


〔楽器情報〕
ベルナベ1世作「Imperial」モデル2003年製Usedの入荷です。ベルナベは2000年前後から上位機種でも5種類以上のモデルをカタログ化しており(現在はConcierto、Especial、Torres、Imperial10弦、Royalの5種)、それぞれ使用材のグレードや内部構造などによってランク分けされていますが、当モデルは「Royal」とならびこのブランドのハイエンドモデルとして位置付けられているもの。自身の工房で40年以上自然乾燥させた最高級材を使用し、製作家自らが時間をかけて製作したこれらのモデルは文字通りこのブランドのフラッグシップモデルとなっています。

ベルナベ好みの印象的な板目の中南米ローズウッドを横裏板に使用(横板は内側にシープレスを貼り付けた二重構造)。ロゼッタを始め赤と黒を基調にした意匠、やや大きめのたっぷりとしたボディライン、鏡面仕上げによるセラック塗装は全体を艶やかに飾り、いかにもこのブランドらしい威容を備えた外観となっています。

内部構造はクラシックギターとしては珍しいXブレーシングを採用。サウンドホールの上側(ネック側)は通常のハーモニックバーですが、下側はちょうどホールの真下で2本のハーモニックバーがX状に交差しており、ボディ下部は3本の力木を表面板の木目に沿って等間隔に平行に配置。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ広さの薄いパッチ板が貼られ、3本の力木のうちセンターと高音側の2本はそのプレートの上を通過し、低音側の1本はプレートの上下で分断しています。その3本の力木の先端をボトム部でハの字型に配された2本のクロージングバーが受け止めるように配置、その他にも細部で工夫を凝らした構造が試みられています。レゾナンスはF#~Gで設定されています。

音量出力がもともと高いことが特徴のブランドゆえ豪放で華やかなイメージがありますが、音色に関しては実は渋く、表情も落ち着いています。単音ではくっきりとした端正とさえいえる響き、それが和音になると深い奥行きが生まれ、そのコントラストがとても音楽的。そしてやはり音量と発音の迫力はマドリッド派の中でも一頭地を抜いている素晴らしいもので、ブランドの面目躍如たるもの。先代ベルナベによる非常に優れたギターといえるでしょう。

表面板全体に細かな弾き傷や打痕、ブリッジ下部分は1弦2弦の弦とび等があります。横裏板は比較的きれいですがやはり衣服等による摩擦あとが年代相応にあり、またネック裏は5フレット付近にやや深い傷があります。割れ等の大きな修理履歴はありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ加工で、現状で若干の順反りですが演奏性にほぼ影響はないレベル、フレットは1~5フレットでほんのわずかに摩耗が見られますがこちらも適正なレベルを保持しています。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez
モデル/品番 Model/No.
001_velazquezM_03_178
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アメリカ U.S.A
製作年 Year 1978年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース(BAM)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez(1917~2014)
1917年プエルトリコ生まれ。母方の祖父母はスペイン人で、名工サントス・エルナンデスの縁戚にあたります。農業に従事する家系に生まれながらも彼は家具職人として修業を始め、同時にギターも製作するようになります。16歳で最初のギターを製作し、その頃に製作したギターの完成度の高さに感銘を受けた地元のある音楽家からニューヨーク行きを勧められ、1941年移住。第二次大戦の時期には造船所で木工に携わります。地道に製作を続けていた彼のギターは1940年代後半から地元の名演奏家たちに愛用されるようになり、その後はアンドレス・セゴビアが彼のギターを称賛するなど、瞬く間に名声を獲得してゆきます。1972年にプエルトリコに戻りそこで工房を設立、1982年には再びアメリカに戻りヴァージニア州で9年間過ごした後、フロリダに移り製作を続けます。この頃から息子のアルフレッドも製作に参加するようになり、2014年にマヌエルが亡くなった後は彼が工房を引き継いでいます。

もともとマヌエルの製作美学の根底にはトーレス、ハウザー、サントスらのトラディショナルなものへの憧憬があり、特にハウザーの影響が濃くあらわれた1950年代から60年代のものは高い評価を得ています。1970年代から1980年代までの楽器はユーザーの需要もありボディが大型化し、ちょうど人気の絶頂にあったラミレス的な要素を感じさせる力強く豊かな音量を備えたギターになっています。その後はもとのハウザースタイルを基調とした伝統的スタイルへと回帰し、2014年にその生涯を閉じるまでアメリカ最大の巨匠と崇敬されました。

〔楽器情報〕
マヌエル・ベラスケス製作の1978年製、650mm 横裏板インディアンローズウッド仕様のUsed 入荷です。表面板力木配置はサウンドホール上(ネック側)に2本、下(ブリッジ側)に一本のハーモニックバーが配置され、その下側の方のバー中央(ちょうどサウンドホールの真下の位置)から高音側の横板に向かって斜めに伸びるもう一本のいわゆるトレブルバーを配し、7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、そしてブリッジ位置には駒板と同じ幅の薄いプレート板が貼ってあるという全体の構造。レゾナンスはGの少し上に設定されています。彼の敬愛するヘルマン・ハウザー1世の有名なセゴビアモデル的な力木配置を基本とし、そこにトレブルバーを付加したような、1970年代ベラスケスの定番とも言える配置となっています。

この時期のベラスケスはどちらかと言えばスペイン的な(ホセ・ラミレス以降のマドリッドサウンド的な)全体に重厚で、おおらかで、たっぷりとした響きを志向していましたが、本作においては彼の本領たるハウザー的音響設計のヴァリエーションともいえる響きが構築されています。しっかりした重心感覚のある低音からシャープな高音までの一本の線を形成するような自然なバランス、やや強めの粘りを伴いながら跳躍するように発されるくっきりとした艶やかな音像、装飾的効果における細部の明確さ、音量と音色のダイナミクスにおけるタッチとのリニアニティの高さ、これらの特質によって生み出される旋律の自然な繋がりなど、やはり素晴らしい。ボディが軽めで箱が隅々まで響き渡るような感覚と、ハウザー的な透徹した音響とがミックスされ、結果ベラスケスにしかない、不思議なロマンティシズムを湛えた一本に仕上がっています。

オリジナルラッカー塗装により、全体は経年によるウェザーチェック(塗装の細かなひび割れ)が生じていますが現状で使用には全く問題ありません。表面板サウンドホール周りにやや集中して細かな弾き傷があり、横裏板は衣服等による摩擦あとなどありますが割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~7フレットでほんのわずかに摩耗見られますがこちらも現状で問題ありません。ネック裏はキズ補修のため再塗装が施されており、現在とてもきれいな状態です。ネックシェイプは薄めのCシェイプ、弦高値は2.9/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰が1.5~3.0mmありますのでお好みに応じて弦高を低く設定することが可能です。糸巻はSloane製を装着。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 アンティグア・カサ・ヌニェス Antigua Casa Nunez
モデル/品番 Model/No. Exposicion 97030
002_ACnunez_03_174
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アルゼンチン Argentin
製作年 Year 1974年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド合板 South American rosewood
付属品 Option ハードケース茶
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.6mm /6弦 3.0mm

〔製作家情報〕
アンティグア・カサ・ヌニェスは アルゼンチンのブエノスアイレスで設立され、150年以上にわたって現在も営業を続けているショップ&ファクトリーです。もともとはスペイン人の Francisco Nunez Rodriguez(1841~1919)が1858年にブエノスアイレスに移住し、同地の製作家 Salvador Ramirez Gonzalezにギター製作を師事、その後1870年に前身となる「Casa Nunez」 を設立したのが始まり。現在の大規模な生産体制とは異なり Nunez 自身は年に20~30本ほどのペースで地道に製作を続けていましたが、晩年には経営が危ぶみ、1919年 貧困のうちにその生涯を閉じます。しかしこの後 Francicso Diego と Dionisio Gracia の二人の製作家が工房を引継ぎ、1925年に「Antigua Casa Nunez」 と改名してファクトリーを再稼働。第二次世界大戦の前後には南米でのギター需要が非常な高まりを見せ(スペインなどでも作られたギターの多くがこの時期南米に輸出されています)Nunez ブランドもそうした潮流に乗り、飛躍的に生産本数を上げて地歩を固めてゆきます。Diego と Gracia は共同で(Diego y Gracia 名義)またはそれぞれ単独で製作または監修を行い、19世紀後半のスペインギターを思わせる意匠や、かなり大胆な内部構造を採用するなどブランドのアイデンティティを高めるのに成功しています。日本でも南米音楽やジャズなどの音楽家、またフォルクローレの演奏家等からの注目を集め、特に40~60年代のものは中古市場でも人気のアイテムとなっています。

〔楽器情報〕
アンティグア・カサ・ヌニェス 1975年製、グラン・コンシエルト Exposition モデルのUsed入荷です。黒、赤、薄緑を組み合わせた大きなロゼッタとパーフリングのデザイン、使用している中南米産ローズウッドの野趣のある木目、彫刻を施したヘッドプレート、これら全体が醸し出すエキゾチックな佇まいはいかにもこの老舗ブランドらしく独特の味わいがあります。

南米のギターらしい深い奥行きを持った響きで、たっぷりとした低音から高音部に移動するにつれて音がくっきりと前景化してくるような独特の音響感覚があります。指にまとわりつくような粘りを持った発音で、これが和音になると湿度を帯びた響きになり、南米的なロマンティシズムが表出してきます。

表面板内部構造は非常に個性的。サウンドホール上側(ネック側)に水平に1本、下側(ブリッジ側)に低音側から高音側に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のハーモニックバー、そしてこれとは逆に高音側から低音側に向かって斜めに下がってゆくように5本の力木が平行に等間隔に配置され、さらに高音側の横板に近接したところで横板のラインに沿うように2本の力木が設置されています。これは伝統的な扇状力木配置でも、モダンスタイルの格子状力木でもなく、表面板下部を木目に対し一方向から斜めに交差する力木でまんべんなく覆う形に配置したもので、完全にアシンメトリな構造になっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。

造り自体にやや粗さがあるものの、現時点で割れ等の修理履歴はなく、弾き傷等も年代相応のレベルです。ラッカーによる塗装は経年変化により塗装表面に細かなクラック(ウェザーチェック)を生じていますが、現状での継続しての使用に問題ありません。ネック、フレットなどの演奏性に関わる部分での問題もありません。ネックシェイプは非常に薄いCシェイプでコンパクトなグリップ感。表面板の内側のブリッジ部分に2か所ボルトによる駒板の固定が施されています。糸巻はフステーロ製を装着しておりこちらも機能に問題ありません。


品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  220,000 円

製作家/商品名 ベルンド・マルティン Bernd Martin演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. No.202
002_martinB_02_196
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1996年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
ベルンド・マルティン(1954 ドイツ、シュツットガルト~2018 スペイン、グラナダ)
幼少よりピアノとギターの演奏に親しみ、ギタリストになるべく学習を積んでいましたが、名手デビッド・ラッセル若き日の演奏に接した彼は、そこで弾かれたトーレスの音色に魅了され製作家への道を決意、1976年22歳の時にスペイン、グラナダに向かいます。同地でエドゥアルド・フェレールの監修のもとアントニオ・デュラン・フェレールとホセ・ロペス・ベジードの工房で製作の基礎を学び、また当時自身の工房を起ち上げたばかりだった名工アントニオ・マリンの影響も受けながら、同地アルバイシン地区のサン・ニコラス広場から少し下ったプラサ・チャルカに小さな工房を開きます。「明確で深く、透明感を湛えた清潔な音。遠達性があり優美に歌ってくれる楽器が目標です」と語り、そしてなにより製作家と演奏家は互いに啓蒙し合うべきと強調した。そんな彼のギターはドイツ的な職人気質とスペインのおおらかで明朗な音楽性が絶妙に融合した、極めて完成度の高い楽器として結実し、1999年には“Concurso Nacional de Lutheria” (国際製作コンペティション)で1位を受賞しています(主催者はホセ・ルイス・ロマニリョス)。2006年には子息のルーカス・マルティン(1984~)とともに製作。その後も良質なギターを出荷し続けていましたが、2018年64歳の働き盛りで惜しくも逝去。グラナダで初めての「外国人」の製作家であり、その後同地がコスモポリタン的な様相を呈するきっかけとなった製作家でもありますが、彼のギターの魅力はやはりそのドイツ~グラナダ的融合の独特さにあると言えるでしょう。音響的にしっかりとした構築感がありながら、それこそアントニオ・マリン的なふっくらとした明朗な響きが加味された音響が個性的で、日本でも人気を博しました。2006年からは息子のLucas も加わり、同じ工房でそれぞれ独立したラベルで製作していましたが、ベルンドは64歳という働き盛りで惜しくも亡くなります。

〔楽器情報〕
ベルンド・マルティン 1996年製作 No.202 Used の入荷です。1999年に国際製作コンペティションで優勝する以前の、ある意味模索の時期ともいえる作品ですが、ここで彼は尊敬するアントニオ・トーレスをベースとして、魅力的な楽器を作りあげています。

内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、同じくサウンドホールの高音側と低音側にはそれぞれ一本の力木が横板のカーブに沿うようにして設置、ボディ下部は左右対称7本の扇状力木、そしてその先端をボトム部で受け止める2本のハの字型に設置されたクロージングバーといういかにもトーレスそのものといった構造で、これは彼の出自を明確に表していると言えるでしょう。レゾナンスはF#の少し下と低めの設定。

上記レゾナンス設定ゆえbassには奥行きがありまた全体にエア―感のある音像で、後年の彼のギターに比べると甘いロマンティックなニュアンスもありかなり魅力的。また発音も2000年以降の彼と比較すると素直な発音で、スペインの伝統的なギターにより近い感触です。スパニッシュギターの本質的な部分もさすがしっかりとつかんでおり、表現力はとても豊か。

しっかりと弾き込まれているため表面板全体(特にサウンドホール周り、ブリッジ下など)に傷はあります。裏板両肩に割れ補修履歴ありますがとても適切な処置が施されており、今後の使用に問題ございません。ネックは厳密に言えばほんのわずかに順反りですが演奏性には問題ないレベル。またフレット、糸巻(フステーロ製フレタタイプ)も問題ありません。

グラナダスクール最初の外国人製作家、中期の愛すべき一本です。





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